五家七宗(読み)ゴケシチシュウ

デジタル大辞泉 「五家七宗」の意味・読み・例文・類語

ごけ‐しちしゅう【五家七宗】

禅宗五家に、臨済宗分派である楊岐ようぎ黄竜派を加えたもの。

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精選版 日本国語大辞典 「五家七宗」の意味・読み・例文・類語

ごけ‐しちしゅう【五家七宗】

  1. 〘 名詞 〙 中国の禅宗で、もっとも発展した代表的な七つ宗派のこと。曹洞臨済、潙仰(いぎょう)雲門法眼の五家に、臨済宗の分派である楊岐、黄龍の二派を加えたもの。
    1. [初出の実例]「然も諸人者、五家七宗と対論することなく、ただまさにこころをあきらむべし」(出典:伝光録(1299‐1302頃)投子和尚)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「五家七宗」の意味・わかりやすい解説

五家七宗
ごけしちしゅう

中国禅宗集団の分派の総称達磨(だるま)を開祖とする禅宗は、五伝して、唐代に南宗(なんしゅう)の慧能(えのう)と北宗(ほくしゅう)の神秀(じんしゅう)の禅に分かれ、南宗の禅がさらに大きく展開した。南宗の禅は、慧能の弟子の青原行思(せいげんぎょうし)と南岳懐譲(なんがくえじょう)の系統が後世まで発展し、青原系より洞山良价(とうざんりょうかい)と弟子の曹山本寂(そうざんほんじゃく)の曹洞(そうとう)宗、雲門文偃(うんもんぶんえん)の雲門宗、法眼文益(ほうげんぶんえき)の法眼宗の3家が成立、南岳系より潙山霊祐(いさんれいゆう)と弟子の仰山慧寂(きょうざんえじゃく)の潙仰(いぎょう)宗、臨済義玄(りんざいぎげん)の臨済宗の2家が成立し、これらをあわせて「五家」という。宋(そう)代になって臨済宗がとくに勢力をもち、臨済宗の慈明楚円(じみょうそえん)の弟子の黄竜慧南(おうりゅうえなん)と楊岐方会(ようぎほうえ)の系統に分かれ、それぞれの系統を黄竜派、楊岐派とよぶようになった。この2派を五家に加えて「七宗」という。

 もともと個の尊厳性を主張する禅宗では、個性ある禅者を多く輩出するに至る。とくに師の指導方法がいくつかの集団の特色を示すようになり、やがて宋代以降に五家七宗とまとめてよばれて集団名が固定した。

[石井修道]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「五家七宗」の意味・わかりやすい解説

五家七宗
ごけしちしゅう
Wu-jia qi-zong

中国の南宗禅で展開した宗派の総称。中国の禅宗は5祖弘忍の弟子以後,南宗禅と北宗禅に分れ,そのうちの南宗禅は南岳下と青原下の二大法流に分れた。南岳下の臨済宗,潙仰 (いぎょう) 宗,青原下の曹洞宗,雲門宗,法眼宗を五家と呼び,臨済宗から分れた楊岐 (ようぎ) 派と黄竜派を付加して七宗と呼んでいる。禅の五派または七派ということである。

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