五日市憲法草案(読み)イツカイチケンポウソウアン

デジタル大辞泉 「五日市憲法草案」の意味・読み・例文・類語

いつかいち‐けんぽうそうあん〔‐ケンパフサウアン〕【五日市憲法草案】

自由民権運動家の千葉卓三郎らが明治14年(1881)ごろに起草した私擬憲法草案。昭和43年(1968)東京都西多摩郡五日市町(現あきる野市)の深沢家土蔵から発見された。204条からなり、そのうち150条が国民権利に関する規定にあてられている。標題は「日本帝国憲法」。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「五日市憲法草案」の意味・わかりやすい解説

五日市憲法草案
いつかいちけんぽうそうあん

明治の民権家千葉卓三郎(ちばたくさぶろう)らによって起草された私擬(しぎ)憲法草案。作成されたのは1881年(明治14)4月、5月ごろと推定される。全文204条からなる膨大なもので、現存する四十数種の私擬憲法のなかでも出色の内容をもつものと高く評価されている。その理由は、この憲法草案には「国民の権利」に関する規定が150条ほどもあり、とりわけ36条にわたる人権規定の展開に際して、他の草案にはみられない幾重にも基本的人権を保障しようとする周到さが認められるからである。この基本的人権の尊重という点では現日本国憲法に近似している。また、この集団的創造作業に参加した人々のほとんどが、20代から40代までの多摩地方の平民の民権家であって、この点も当時としては画期的なことといえる。五日市憲法草案は、1968年(昭和43)東京都西多摩郡五日市町(現、あきる野市)深沢の深沢家土蔵の中から色川大吉(1925―2021)、江井秀雄(えいひでお)(1940― )、新井勝紘(かつひろ)(1944― )らの手によって発見された。

[色川大吉]

『色川大吉編『民衆憲法の創造』(1970・評論社)』

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「五日市憲法草案」の解説

五日市憲法草案
いつかいちけんぽうそうあん

千葉卓三郎(たくさぶろう)の起草した私擬憲法。正式名称は日本帝国憲法だが,東京近郊の五日市(現,あきる野市)住民の学習活動のなかで起草されたので,こうよばれる。1881年(明治14)作成。国帝(天皇)は神聖不可侵とされ,立法・行政・司法を総括し,軍を総督する。国会民撰議院元老院の二院制で,立法や租税徴収・財政のほか,憲法・条約議定にも権限が及ぶ。議院内閣制を定め,国民の権利と自由の規定は詳細で,範囲の広い点が特色

出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報

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