五日市(読み)いつかいち

精選版 日本国語大辞典 「五日市」の意味・読み・例文・類語

いつかいち【五日市】

[一] 東京都あきる野市地名。旧町名で、JR五日市線が通ずる。多摩川支流の秋川の谷口集落として中世末以来五の日ごとに市が立ったことが地名の由来という。
[二] 広島市佐伯区の地名。旧町名で、昭和六〇年(一九八五)広島市に編入、佐伯区となる。広島湾に面し、かつては製塩で栄えた。名は近世の定期市に由来。

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デジタル大辞泉 「五日市」の意味・読み・例文・類語

いつかいち【五日市】

広島市佐伯さえき区の旧称。昭和60年(1985)広島市に合併。→佐伯

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日本歴史地名大系 「五日市」の解説

五日市
いつかいち

戦国期にみえる地名。御井町内に比定されるか。天正七年(一五七九)六月二六日の大友義統袖判高良社大祝領坪付(高良山文書/福岡県史資料七)によれば、高良こうら山領であった「五ケ日市」の三町が高良社大祝鏡山氏に預け置かれている。同一一年三月二八日に大友氏から大祝に付与された「筑後国中六拾町内」の知行地のなかにも「五日市」の三町が含まれる(「大友義統預ケ状」同上)。地名は中世の高良山下、府中ふちゆうの市に由来するものと考えられる。「高良玉垂宮神秘書」に高良社大祝が市への恵比須神勧請の許可を出し、三斎市の進退を執り行ったと記されている。

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改訂新版 世界大百科事典 「五日市」の意味・わかりやすい解説

五日市 (いつかいち)

東京都西部,西多摩郡の旧町。1995年秋川市と合体して,あきる野市となった。多摩川の支流秋川上流の山地を占める。中心集落の五日市は秋川の谷口集落として発達し,近世には5と10のつく日に市が開かれ,木材,薪炭を江戸に運ぶ五日市街道通じていた。現在も短冊形の町並みが残されている。明治中期までは多摩川上流域からも木炭を集荷し,青梅と並ぶ勢力を有したが,商圏を青梅に奪われてからは停滞した。青梅林業の一角を占め,杉,ヒノキなどの良材を産し,製材業が盛んであったが,現在は衰え,立川市など域外への通勤者が増えている。秩父多摩国立公園の一部をなし,秋川渓谷,五日市梅林,大岳鍾乳洞など行楽地が多い。明治初期に自由民権運動の拠点となったことでも知られる。源頼朝が開いたと伝える真言宗の大悲願寺がある。JR五日市線が通じる。
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五日市 (いつかいち)

広島県西部,佐伯郡の旧町。1985年3月,広島市に編入,佐伯(さえき)区となった。市の南西部に位置し,八幡川の三角州上に位置する中心市街の五日市は,中世以来5・10の日に六斎市が立ち,市場町として発達した。海老塩浜は万治年間(1658-61)に開かれ,1910年代まで製塩が行われていた。現在は野菜やイチゴ,洋ランの裁培,養鶏,肉牛の飼育が行われている。輸入材による家具の生産も行われる。海岸に沿って山陽本線,広島電鉄,国道2号線,西広島バイパスが通じ,山陽自動車道の五日市インターチェンジがある。大規模団地の造成が進み,人口増加が著しい。造幣局,魚切ダム,広島市立植物園がある。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「五日市」の意味・わかりやすい解説

五日市
いつかいち

広島市の西部,佐伯区の一地区。旧町名。 1985年広島市に編入。江戸時代,山陽道の宿駅で定期市も立った。地名はこれに由来。海老 (かいろう) は干拓地で,かつて塩田が開けた。第2次世界大戦後,広島市の郊外住宅地として開発が進み,人口が急増。植物公園がある。

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世界大百科事典(旧版)内の五日市の言及

【市場銭】より

…このほか市場内の家屋については在家別,間別に市場銭が課された例が多い。越中国堀江荘市,武蔵国大窪郷五日市の市場在家は口別,間別200文の市場銭が課され,鎌倉末期,備前国西大寺門前市では,業種別(酒屋は年に100文),家別(市日に1家に米2升),市座別(魚座は300文,鋳物座200文,その他の座100文)の市公事が課され,さらに売上高の10分の1の貢納も義務づけられていた。【佐々木 銀弥】。…

【武蔵国】より

…五街道の宿駅の中で品川宿,高井戸宿(後に内藤新宿),板橋宿,千住宿は,それぞれ東海道,甲州道中,中山道,奥州道中の,江戸からの第1宿であるので,江戸の関門的性格も帯びた。このほか,江戸に入る諸街道の,武蔵国の国境には日光御成道に房川渡(ぼうせんのわたし)中田,水戸街道に金町松戸,佐倉道に小岩市川,日光道中に新郷川俣,甲州道中に小仏,甲州道中脇往還に上恩方(かみおんがた)・上椚田(かみくぬぎだ),五日市街道に檜原,秩父から甲州への道に古大滝などの関所が設けられた。また中川から小名木川に入る小名木村には,川の関所として中川番所が置かれた。…

※「五日市」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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