五領遺跡(読み)ごりよういせき

日本歴史地名大系 「五領遺跡」の解説

五領遺跡
ごりよういせき

[現在地名]東松山市若松町二丁目・柏崎 五領

東松山台地の東方に長く張出した舌状台地の付根の部分に位置する。標高二八メートル。地形的に三つの区域に分けられ、便宜上A区・B区・C区に区分された。昭和二九年(一九五四)から同三八年までに七回にわたり発掘調査が実施され、弥生時代から古墳時代集落跡であることが判明した。一五〇ヵ所以上の竪穴住居跡と、土師器・石製品・鉄製品など膨大な量の遺物が出土し、和泉式土器以前の土師器の内容と集落の様相が初めて明らかにされた。出土土師器群は五領式土器と命名されたが、当時は類例がほとんど確認されていなかったため、その全国的な分布は不明であった。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「五領遺跡」の意味・わかりやすい解説

五領遺跡
ごりょういせき

埼玉県東松山市大字柏崎字東五領大谷地内に分布する,古墳時代前期の集落址。 1954年以来5回にわたって発掘調査され,総数 150ヵ所以上の竪穴住居址と,多量の遺物 (土器,石製品,土製品,鉄器など) が出土した。出土した遺物のなかには,従来未知の古墳時代前期の土器が存在し,遺跡にちなんで五領式土器と名づけられた。竪穴住居址は,古墳時代前期から奈良時代まで各時期のものがすべて含まれていて,古墳時代の竪穴住居の構造と集落形態変遷が具体的に把握できた。五領式土器を出土する竪穴住居址は,中央の広場を囲んで計画的に配置され,農業共同体の単位集団が初めて明らかにされた。また鬼高式土器を出土する古墳時代中期の竪穴住居址には,すべてかまどが付設され,竪穴生活の発展が顕著であった。遺跡は未発掘の場所がまだあるが,東国の古代集落の研究に,多くの資料を提供する重要な遺跡であることはまちがいない。

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