東京都武蔵野市と三鷹市にまたがる都営自然公園。面積約33万8000m2。正称は〈井の頭恩賜公園〉。この地は江戸時代から,清遊の地として名高く,《江戸名所図会》は,1629年(寛永6)徳川家光がここの池の水を愛し,城まで引くよう命じ,コブシの大樹に〈井頭〉と彫ったのが地名の由来となったと伝えている。大田南畝の《遊井頭源記》にも,この地の豊富な湧水は上水に貴重なものと見えるように,京橋以北,神田川以南に神田上水として給水された。そのため池畔の中之島にある弁財天は,ひろく江戸町人の信仰をあつめた。水源林の御殿山は幕府が所管,明治維新後民間に払い下げられたがすぐ買い戻され,1889年帝室御料林となった。1917年東京市に下賜され,自然公園として開園された。42年,自然文化園が造られ,その後動植物園,水生物館,彫刻館,資料館,熱帯鳥温室が整備されて今日に至る。水源涵養林は第2次大戦中,樹齢80年以上の杉1万5000本が都民被災死者用棺材として伐採された。
執筆者:河原 武敏
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東京都三鷹(みたか)・武蔵野(むさしの)両市にまたがる都立公園。園内は御殿山(ごてんやま)地区と、井の頭地区に分かれる。井の頭地区は、武蔵野台地最大の湧水(ゆうすい)池、井の頭池を中心とする大自然公園である。井の頭池(別名、七井の池(なないのいけ))は7か所から湧(わ)き出るが、徳川家光(いえみつ)が狩りのため御殿を設けてから御殿山とよばれた台地下のお茶の水とよぶ泉もその一つである。また、池内には、井の頭弁財天や水生物園がある。池は旧神田上水の水源地、池の周辺は明治維新後、皇室の御料地となったが、1913年(大正2)、東京市に下賜された。
総面積28万6000平方メートル。御殿山にある井の頭自然文化園は、1942年(昭和17)開設。動物、植物など自然科学の知識普及を目的とするもので、面積約10万平方メートル。JR中央線、京王電鉄井の頭線の吉祥寺駅に近く、交通の便がよい。公園の周辺には高層のマンションが多い。
[沢田 清]
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…1899年甲武鉄道(現,中央本線)の駅の誘致に成功し,1934年には帝都電鉄(現,京王帝都電鉄井の頭線)が吉祥寺まで延長され,交通の便がよくなった。このころから都市化が進み,近くの井の頭公園(1917開園。三鷹市),井の頭自然文化園(1942開園)も多くの人をひきつけた。…
※「井の頭公園」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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