交換法則(読み)こうかんほうそく(英語表記)commutative law

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「交換法則」の解説

交換法則
こうかんほうそく
commutative law

交換律ともいう。集合 Sの任意の2元 xyの間にある2演算*が定義されているとする。この演算 (結合法) に関して,xyyxという関係が成り立つとき,この演算は可換であるといい,この関係式で示される法則を交換法則という。交換法則が成り立つ演算でよく知られているものとしては,次のようなものがある。
(1) 自然有理数,無理数,実数,あるいは複素数など数についての加法+,および乗法×。
xyyxx×yy×x
(2) ある集合の部分集合についての結び∪および交わり∩。
xyyxxyyx
(3) 記号論理における命題についての選言詞 (論理和をつくる) ∨,および連言詞 (論理積をつくる) ∧。
xyyxxyyx
(4) ベクトルについての加法+,および内積をつくる乗法・。
xyyxxyyx
正方行列の乗法は交換法則が成り立たない。一般に変換群では,変換を繰返す順序が影響するので,交換法則が成立するとはかぎらないわけである。

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日本大百科全書(ニッポニカ)「交換法則」の解説

交換法則
こうかんほうそく
commutative law

算法に対する法則。たとえば3+5や5+3はともに8に等しく、3×5や5×3はともに15に等しいというように、一つの算法(゜)と元a、bについて、aとbの結合a゜bと、bとaの結合b゜aが等しいという法則で、これは交換律とか可換律などともよばれる。

 この法則は、数の加法(+)、乗法(×)のほか、たとえば二つの整数の最大公約数、最小公倍数とか、二つの実数の最大・最小、二つの集合の和とか、共通部分、2点で決定される直線、2直線の共通部分、そのほかたとえば命題でもA and BとB and Aが同値という意味で交換法則が成立する。しかし、除法については、たとえば3÷2=3/2であるが2÷3=2/3であるように、また、乗法についても、二つの行列A、Bについて、一般にはAB≠BAであるように、交換法則が成立しない例も多い。

[難波完爾]

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百科事典マイペディア「交換法則」の解説

交換法則【こうかんほうそく】

集合Sの要素a,bの演算a・bが定義されているとき,a・b=b・aが任意のa,bについて成り立てば,この演算は交換法則を満足する,または可換であるという。実数,複素数における加法,乗法,行列における加法は交換法則を満足する。→結合法則分配法則
→関連項目四元数

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精選版 日本国語大辞典「交換法則」の解説

こうかん‐ほうそく カウクヮンハフソク【交換法則】

〘名〙 演算の三法則の一つ。演算の項の順序を入れ変えても結果が同じであるという法則。数の加法・乗法では、a+b=b+a, ab=ba が成り立つことをいう。他の演算に対しても準用する。交換の法則。交換律。

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デジタル大辞泉「交換法則」の解説

こうかん‐ほうそく〔カウクワンハフソク〕【交換法則】

演算の順序を変えることができるという法則。加法ではabba乗法ではabbaが成り立つ。また、これらの演算を可換である、または可換性をもつという。交換律。交換則可換則。可換律。

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世界大百科事典 第2版「交換法則」の解説

こうかんほうそく【交換法則 commutative law】

整数m,nの和,を考えると,それぞれ,mnnm,m×nn×mが成り立つ。これらを,整数()の加法,乗法に関する交換法則という。一般に,集合Aにおける演算*が,Aの元a,bについて,abbaを満たすとき,演算*は,交換法則を満たすという。例えば,集合Bの部分集合のにおいて,共通部分,和集合をとる演算は,それぞれB1B2B2B1,B1B2B2B1だから,交換法則を満たす。

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