律令制(りつりょうせい)下において官人や役僧の交替に際し、事務引継ぎ・責任規定などを集成したもので、『延暦(えんりゃく)交替式』『貞観(じょうがん)交替式』『延喜(えんぎ)交替式』の三つがある。『延暦交替式』は正式には『諸国司交替式』と称し、国司が交替する際の疑義をなくすること、勘解由使(かげゆし)の勘判の基準を定めることの二つを目的として、勘解由使によって撰定(せんてい)された。編纂(へんさん)者は菅野真道(すがののまみち)、和気広世(わけのひろよ)、讃岐千継(さぬきのちつぐ)、賀茂立長(かものたつなが)らで、803年(延暦22)の成立。41か条からなる。式と称するが実際には格(きゃく)の体裁をとり、国司の交替に関係のある格を分類配列しており、条文に問題のある部分には「今案」を付して法として明確にしている。『貞観交替式』は正式には『新定内外官(ないげかん)交替式』という。もとは上下2巻であったが、下巻のみが現存している。上巻を欠くので編纂者や成立年代は明らかではないが、同じく勘解由使官人によって編纂されたもので、その中心となったのは南淵年名(みなぶちのとしな)、家原氏主(いえはらのうじぬし)らで、867年(貞観9)の成立と考えられる。内容は『延暦交替式』を増補したもので、内外官の交替に関係のある格を分類配列し、『延暦交替式』の「今案」に対して「新案」を付す。『延喜交替式』は『内外官交替式』と称し、921年(延喜21)の成立。橘澄清(たちばなのすみきよ)、平伊望(これもち)らの勘解由使官人が中心となって編纂。これも『貞観交替式』を増補したものであるが、前の2交替式と異なり、格の体裁を改め、条文化して192条としている。また新たに役僧の交替に関する規定が設けられた。
[福井俊彦]
『早川庄八著「延暦交替式・貞観交替式・延喜交替式」(『国史大系書目解題 上巻』所収・1971・吉川弘文館)』▽『福井俊彦著『交替式の研究』(1978・吉川弘文館)』
律令制下において,官人の交替に際しての規定を定めた法令集。「延暦交替式」巻末の奏文によれば,奈良時代にすでに国司の交替に関する勅書・官符・省例・問答などを集めた交替式という私撰の書があったという。官撰のものとしては「延暦交替式」が最初で,以後「貞観交替式」「延喜交替式」が撰定された。延暦の式は国司のみの,貞観・延喜の式は京官・外官の交替に関する法令集となっている。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
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