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人口法則 じんこうほうそく

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

人口法則
じんこうほうそく

人間社会における人口法則については2通りの説明があり,その代表的なものとして T.R.マルサスの『人口論』と K.マルクスの『資本論』 (第1巻) をあげることができる。マルサスの場合,人間の生殖力は食糧が供給されるかぎり一般的に強大であるという前提に立ち,人口の増加は幾何級数であるのに対して,食糧の増加は算術級数的であるがゆえに,人間社会は食糧を上回る人口の存在に絶えず脅かされるとし,これは人間の社会形態のいかんを問わず,自然法則的な人口法則が存在するものであると説明する。一方マルクスの場合は,人間社会の人為的法則として説明される。すなわち巨大な生産手段を独占的に所有する資本家が無産の労働者に生産を強制し,その剰余労働を搾取する資本主義社会において,生産の目的は搾取対象である労働者の剰余労働量の増大,つまり資本蓄積の増大にある。したがって資本家は労働者への支払い部分を減少させ,みずからの収得部分を増大させるべく資本の有機的構成を絶えず高度化するよう努める。このため労働者の過剰が必然的に累進化する。こうした労働者の過剰に表わされる過剰人口の存在は,資本量の増大に対する労働者の相対的過剰 (相対的過剰人口) であり,資本家の有機的構成の高度化を通した資本蓄積によって人為的に形成されたものにほかならない。換言すればそれは資本主義社会に特有な人口法則であるとする。

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世界大百科事典 第2版の解説

じんこうほうそく【人口法則】

人口をめぐる諸現象,ことに人口の過不足動態とその原因や作用をめぐって主張される法則をいう。人口法則をどのように理解するかは,経済社会全体の仕組みや運動をどのように理解するかに応じて異なりうるし,逆にまた経済社会全体についての理解を左右する意義をもつことが少なくない。 A.スミスとD.リカードに代表される古典派経済学は,ほぼつぎのような人口法則を想定していた。すなわち,人口が不足すれば労働市場賃金が上がり,人口増加がうながされ,その結果やがて労働の供給が増大して,賃金が反落する。

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世界大百科事典内の人口法則の言及

【資本論】より

…《資本論》はここで,恐慌を含む産業活動の交代〈産業循環〉を説き,後に第3巻〈利潤〉での〈資本の絶対的過剰生産〉論による,恐慌論の基本的視点を与えている。 マルクスは相対的過剰人口を〈労働需給の法則が運動する背景〉だとし,その形成とそのうえで展開される労働供給の満干運動をもって,〈資本制生産様式に特有な人口法則〉としたのである。これは,蓄積の運動と賃金変動を,人口の絶対量の増減に対応させて考えた,古典派の人口法則に対する批判であった。…

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