伊上凡骨(読み)いがみぼんこつ

百科事典マイペディアの解説

伊上凡骨【いがみぼんこつ】

木版画彫師。本名純蔵。徳島県生れ。浮世絵版画の彫師大倉半兵衛の弟子。明治時代における新聞・雑誌の挿絵原画の複製木版画であったが,凡骨は洋画の筆触,質感を彫刀で巧妙に表現し,名摺師の西村熊吉の協力を得て,みごとな複製版画を作った。作例として《明星》所載藤島武二ら洋画家の絵,白馬会機関誌光風》の口絵がある。また竹久夢二の版画・詩画集の彫版で知られるほか,木下杢太郎・夏目漱石ら詩人・小説家の本の挿絵,装画,装丁,晩年には新潮社の本の装画を手がけた。凡骨の木版技術は,平塚運一により後の創作版画家に継承された。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plusの解説

伊上凡骨 いがみ-ぼんこつ

1875-1933 明治-昭和時代前期の木版彫師。
明治8年5月21日生まれ。24年に上京,初代大倉半兵衛に木版彫刻をまなぶ。33年「明星」の挿絵で注目される。水彩画や素描の質感を木版でたくみに表現した。「光風」の口絵,竹久夢二の版画,夏目漱石らの本の装丁など,ひろい分野に活躍した。昭和8年1月29日死去。59歳。徳島県出身。本名は純蔵(三)。代表作に石井柏亭著「東京十二景」の挿絵。

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

世界大百科事典 第2版の解説

いがみぼんこつ【伊上凡骨】

1875‐1933(明治8‐昭和8)
木版画彫師。本名純蔵。徳島県に生まれる。浮世絵版画の彫師・初世大倉半兵衛の弟子。近代の機械印刷術が未熟な明治時代は,新聞,雑誌の挿絵は原画の複製木版画で,木版工あるいは彫師が彫版した。凡骨はとくに腕のたつ彫師で,洋画家の水彩,素描のペンや色鉛筆,クレヨンなどの筆触,質感を彫刀で巧妙に表現し,名摺師の西村熊吉の協力を得て,原画に近いみごとな複製版画を作った。雑誌《明星》所載の藤島武二ら洋画家の絵や,白馬会の機関誌《光風》の口絵にみる複製版画はその作例で,当時の拙劣なオフセット以上の効果を出している。

出典 株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について 情報

関連語をあわせて調べる

今日のキーワード

ゲーム障害

オンラインゲームなどへの過度な依存により日常生活に支障をきたす疾病。インターネットやスマートフォンの普及でオンラインゲームなどに過度に依存する問題が世界各地で指摘されていることを受け、世界保健機関(W...

続きを読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android