京都府北部、与謝(よさ)郡にある町。丹後(たんご)半島北東端に位置し、若狭(わかさ)湾に臨む。1954年(昭和29)伊根、本庄(ほんじょう)、朝妻(あさづま)、筒川(つつかわ)の4村が合併して町制施行。丹後半島一周道路(国道178号)が通じる。大部分は山地で農業は振るわず、奥地の山間部では過疎化が著しく、1963年の豪雪によって廃村も生じた。沿岸一帯は若狭湾を回遊するブリの定置網漁業の好漁場をなし、伊根湾は天然の良港で、中世からブリ漁業で栄え、「丹後ブリ」の名で知られる。また湾岸には、階下に舟を入れる舟屋が密集し、狭い道路を隔てて母屋(おもや)と相対している(伊根浦重要伝統的建造物郡保存地区に選定)。本庄地区には浦島太郎伝説を伝える宇良神社(うらじんじゃ)(浦嶋神社)があり、紙本著色浦嶋(島)明神縁起(えんぎ)(絵巻)は国の重要文化財。面積61.95平方キロメートル(境界一部未定)。人口1928(2020)。
[織田武雄]
『『伊根町誌』(1984~1985・伊根町)』
京都府北端,与謝郡の町。人口2410(2010)。丹後半島の東端に位置する。町域の大部分は碇高原が占めるが,筒川沿いの本荘には水田もひらけている。海岸線には伊根,新井,泊,浦島,本庄と漁港が並び,特に伊根は江戸時代からブリの好漁場で丹後ブリと称され,名産であった。近年,織物業も導入されているが,人口は減少傾向にある。日本海,若狭湾に面し,夏には海水浴客でにぎわう。伊根湾には,階下が船場で,2階が住居になっている独特の船屋がある。浦島伝説が伝わる地で,宇良神社(浦島神社)は浦島太郎をまつり,玉手箱,乙姫小袖,浦島絵図などが伝えられ,南北朝期前後の成立とされる《浦島明神縁起》は重要文化財に指定されている。
執筆者:松原 宏
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