伊根(読み)イネ

デジタル大辞泉 「伊根」の意味・読み・例文・類語

いね【伊根】

京都府与謝郡地名丹後半島の北東部に位置する。同名の湾に建ち並ぶ舟屋群で知られるほか浦島伝説を伝える浦嶋神社などがある。

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精選版 日本国語大辞典 「伊根」の意味・読み・例文・類語

い‐ね【伊根】

  1. 京都府北部、奥丹後半島与謝郡の地名、また、港の名。伊根町には浦島伝説の宇良神社がある。丹後国歌枕
    1. [初出の実例]「橋立の松吹く風におどろきていねのあま人衣打つなり〈覚綱〉」(出典:月詣(1182‐83)九)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「伊根」の意味・わかりやすい解説

伊根(町)
いね

京都府北部、与謝(よさ)郡にある町。丹後(たんご)半島北東端に位置し、若狭(わかさ)湾に臨む。1954年(昭和29)伊根、本庄(ほんじょう)、朝妻(あさづま)、筒川(つつかわ)の4村が合併して町制施行。丹後半島一周道路(国道178号)が通じる。大部分山地で農業は振るわず、奥地の山間部では過疎化が著しく、1963年の豪雪によって廃村も生じた。沿岸一帯は若狭湾を回遊するブリの定置網漁業の好漁場をなし、伊根湾は天然の良港で、中世からブリ漁業で栄え、「丹後ブリ」の名で知られる。また湾岸には、階下に舟を入れる舟屋が密集し、狭い道路を隔てて母屋(おもや)と相対している(伊根浦重要伝統的建造物郡保存地区に選定)。本庄地区には浦島太郎伝説を伝える宇良神社(うらじんじゃ)(浦嶋神社)があり、紙本著色浦嶋(島)明神縁起(えんぎ)(絵巻)は国の重要文化財。面積61.95平方キロメートル(境界一部未定)。人口1928(2020)。

[織田武雄]

『『伊根町誌』(1984~1985・伊根町)』


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改訂新版 世界大百科事典 「伊根」の意味・わかりやすい解説

伊根[町] (いね)

京都府北端,与謝郡の町。人口2410(2010)。丹後半島の東端に位置する。町域の大部分は碇高原が占めるが,筒川沿いの本荘には水田もひらけている。海岸線には伊根,新井,泊,浦島,本庄と漁港が並び,特に伊根は江戸時代からブリの好漁場で丹後ブリと称され,名産であった。近年,織物業も導入されているが,人口は減少傾向にある。日本海,若狭湾に面し,夏には海水浴客でにぎわう。伊根湾には,階下が船場で,2階が住居になっている独特の船屋がある。浦島伝説が伝わる地で,宇良神社(浦島神社)は浦島太郎をまつり,玉手箱,乙姫小袖,浦島絵図などが伝えられ,南北朝期前後の成立とされる《浦島明神縁起》は重要文化財に指定されている。
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百科事典マイペディア 「伊根」の意味・わかりやすい解説

伊根[町]【いね】

京都府与謝(よさ)郡,奥丹後半島先端部を占める町。東部海岸部と西部山間部は,丹後天橋立大江山国定公園に属する。良港をもつ主集落の伊根を中心として,定置網,一本釣り,養殖などの漁業が盛ん。ミカン栽培,畜産も行う。伊根湾に面する漁家は,階下が船場,2階が住居の〈船屋〉とよばれる形態をとる。浦島伝説が伝わり,宇良神社は浦島太郎をまつる。国道178号線が通じ,観光開発も進んでいる。61.95km2。2410人(2010)。

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