北は房総半島犬吠埼沖の第一鹿島海山から,南は小笠原諸島南東方の小笠原海台まで,ほぼ南北に走る全長約850kmの海溝。最深部(水深9780m)は小笠原諸島北東の北緯29°12′,東経142°50′にある。海溝軸に沿って重力フリーエア異常の負(-300mGal)の帯があり,地殻熱流量も低い。房総南東の北緯34°付近で相模トラフと交わる。伊豆・小笠原海溝の東側は太平洋プレートの一部であり,その西側では,相模トラフより北がユーラシアプレート,南がフィリピンプレートとされている。海溝沿いの地震活動は日本海溝ほどは活発でないが,深発地震面は深さ500kmくらいまで明瞭に描け,その面に沿って太平洋プレートが西側のプレートの下へ沈み込んでいることが示唆される。しかし,深発地震面の傾きは日本海溝に比べて急で,特に三宅島付近より南では,南ほど急傾斜になり,鉛直に近づく。小笠原諸島付近では深発地震面の中間の深さ150~300kmではほとんど地震が起こっていない。沈み込み帯が途中でちぎれて落下しつつあるのを示すという考えもある。海溝軸の西方に約200km離れて,海溝にほぼ平行に伊豆七島-西之島-硫黄島(火山列島)の火山列がある。海溝南部では火山列より100km以上も東の海溝前縁に沿って小笠原諸島を含む前縁弧fore-arcがある。その一部である父島や聟島などには,マグネシウムに富む安山岩の一種である無人岩boniniteを産し,この海溝からの沈み込み開始直後(約4000万年前)の産物とされている。その南東方の海底の高まりからはマントル構成物とされる超マフィック岩類も見いだされており,太平洋プレート内の陸塊である小笠原海台とフィリピンプレート前縁との衝突によって,小笠原諸島やその南東につづく高まりが押し上げられつつあると考えられている。
執筆者:小林 和男
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本州の房総半島沖から、伊豆諸島と小笠原諸島の東側を、これらに並行して南に伸び、硫黄(いおう)島の東にある小笠原海台で、マリアナ海溝と隔てられた海溝。1933年にアメリカの測量艦ラマポ号により鳥島の東方で発見されたラマポ海淵(かいえん)は、1万0347メートルで、伊豆・小笠原海溝の最深部とされていたが、その後の調査では、1万メートルを超える所はないことが判明した。
一般には、海溝は海洋プレートが大陸プレートの下へ潜り込む部分にできるが、伊豆・小笠原海溝は、その南に連なるマリアナ海溝や、ヤップ海溝とともに、太平洋プレートとよばれる海洋プレートが、フィリピン海プレートとよばれる同じく海洋プレートの下へ潜り込んでいる所にできた、特殊なものである。太平洋プレートのほうが全体的にフィリピン海プレートより重いからであると解釈されているが、重い理由は明らかでない。
[安井 正]
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