伊賀局(読み)いがのつぼね

日本大百科全書(ニッポニカ) 「伊賀局」の意味・わかりやすい解説

伊賀局
いがのつぼね

生没年不詳。鎌倉前期の女性。後鳥羽(ごとば)上皇寵姫(ちょうき)。名は亀菊(かめぎく)。もと白拍子(しらびょうし)という。承久(じょうきゅう)の乱(1221)は、上皇が伊賀局に与えた摂津長江(ながえ)・倉橋(くらはし)両庄(しょう)に、幕府補任(ぶにん)した地頭が、領家伊賀局の命を用いなかったので、これを上皇が罷免しようとしたことが一因となったといわれている。承久の乱の結果、後鳥羽上皇隠岐(おき)に流されたが、伊賀局も上皇に従い、崩御まで側近にあって奉仕したという。おそらく上皇の崩御を機会に出家し、帰本(きほん)と号した。

[新田英治]

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「伊賀局」の解説

伊賀局(1) いがのつぼね

?-1384 南北朝時代女官
篠塚重広の娘。後醍醐(ごだいご)天皇の妃阿野廉子(れんし)(新待賢門院)につかえる。貞和(じょうわ)4=正平(しょうへい)3年高師直(こうの-もろなお)の吉野攻めにより,後村上天皇や廉子が賀名生(あのう)(奈良県南部)にのがれたとき,局は巨木の枝をおって橋としたという。のち楠木正儀(くすのき-まさのり)の妻となる。至徳元=元中元年10月13日死去。

伊賀局(2) いがのつぼね

亀菊(かめぎく)

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「伊賀局」の意味・わかりやすい解説

伊賀局
いがのつぼね

鎌倉時代の女官。後鳥羽上皇愛妾。名は亀菊。上皇が局に与えた摂津長江,倉橋庄の地頭改補を幕府に要求したことが,承久の乱の一因となったという。

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歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典 「伊賀局」の解説

伊賀局
(通称)
いがのつぼね

歌舞伎・浄瑠璃の外題。
元の外題
雪芳野恵木顔鏡
初演
文化9.11(江戸・森田座)

出典 日外アソシエーツ「歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典」歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の伊賀局の言及

【亀菊】より

…生没年不詳。後鳥羽上皇の寵愛を得て院中近く召しつかわれ,伊賀局とよばれた。白拍子や遊女が多く住む摂津国河尻・江口にほど近い長江荘,倉橋荘を賜っていたが,1219年(承久1),両荘の地頭職改易を上皇に愁訴し,上皇がこれを幕府に命じたが拒絶された。…

※「伊賀局」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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