出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
水産練り製品の一種。魚のすり身に卵黄あるいは全卵を混ぜ、砂糖、みりんなどで甘味をつけ、四角い板状に焼き、簾(すだれ)で渦巻状に巻いたもの。着物の小物の一つ伊達巻に似ているのでこの名がついた。かまぼこには卵白だけを使うため、残った卵黄の利用法として考えられたものという。魚のすり身の種類により品質が決まる。タイ、エビ、ヒラメなどは上等である。魚と卵を使用するため、タンパク質を約15%含む。脂質も多く約8%。また調味に砂糖などの甘味料を使うためエネルギーが高く、100グラムで約200キロカロリーある。そのまま切って食する。正月の重詰めや口取りに用いられることが多い。
[河野友美・大滝 緑]
和装小物の一種。長襦袢(ながじゅばん)の上か、帯の下に胴を整えて締める幅の狭い単帯(ひとえおび)。幅9.5センチメートル、長さ2.1メートル内外で、胴を2回りして端を挟み込んで固定する。または両端に紐(ひも)をつけて結ぶこともある。おもに博多織が用いられ、いちばん締めよい。無地、献上、縞(しま)などが多い。伊達巻を改良したものに伊達締(だてじめ)がある。これは伊達巻の両端の織り方をかえて結びやすくしたもので、近年は一般化している。舞踊、花嫁衣装などのときは、胴を3回りする長いものを用いる。
[藤本やす]
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出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…正絹で中央が堅く織られている博多織がかさばらずに使いよい。伊達巻は倍ほどの長さでぐるぐる巻きつけて体型の補整も兼ね,花嫁衣装の着付などに用いる。男物の伊達締は幅が5cmほどで,寝巻などに使う。…
…関西ではノリ巻,卵巻がともに愛好され,芯には卵焼き,シイタケ,かんぴょう,凍豆腐,ミツバその他を取り合わせて用い,太巻にする。厚焼卵で巻いたものを関東で伊達巻(だてまき)と呼ぶ。薄焼卵で包む茶巾(ちやきん)ずしや,熊野灘沿岸地方に見られるめばりずし(タカナの漬物で包んだもの)なども,巻きずしの類品といえようか。…
…後者は甘みをひかえただしを加えて焼き,焼き上げたものを簀(す)で巻いて形をととのえる。厚焼きでウナギの蒲焼を巻いたものを〈う巻〉といい,魚のすり身を加えた厚焼きを巻いたのが伊達巻(だてまき)である。目玉焼きはフライパンにバターを入れ,熱したところへ割り入れて焼く。…
※「伊達巻」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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