伏見版(読み)フシミバン

デジタル大辞泉 「伏見版」の意味・読み・例文・類語

ふしみ‐ばん【伏見版】

慶長4~11年(1599~1606)徳川家康の命により、伏見円光寺の僧三要らが木製活字で印刷した書籍の称。「孔子家語」「六韜りくとう」「三略」などがある。円光寺版

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精選版 日本国語大辞典 「伏見版」の意味・読み・例文・類語

ふしみ‐ばん【伏見版】

  1. 〘 名詞 〙 江戸初期、慶長年間(一五九六‐一六一五)、徳川家康の命により三要、元佶(げんきつ)などの僧侶が京都伏見の円光寺で開板した、木製活字版の書籍の称。「孔子家語」「六韜」「三略」などが含まれる。円光寺版。

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改訂新版 世界大百科事典 「伏見版」の意味・わかりやすい解説

伏見版 (ふしみばん)

徳川家康が閑室元佶(かんしつげんきつ)に命じて開版させた古活字版足利学校第9代庠主(しようしゆ)(校長)であった元佶は,家康の信任が厚く,家康から拝領した木活字で1599年(慶長4),《孔子家語》《六韜(りくとう)》《三略》を京都伏見において開版した。家康は1601年,伏見指月(しげつ)に円光寺を建て,元佶を住まわせて畿内の学校とし,和漢典籍の開版を続けさせたので,円光寺版ともいう。円光寺由緒書によれば拝領した木活字は10万本とされる。伏見版は上記のほか,《貞観政要》(1600),《吾妻鏡》(1605),《武経七書》(1606)など8部80冊に及び,日本出版文化史上の意義は大きい。
駿河版
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百科事典マイペディア 「伏見版」の意味・わかりやすい解説

伏見版【ふしみばん】

徳川家康が京都伏見で,足利学校の庠主(しょうしゅ)(校長)であった閑室元佶(円光寺の僧三要(さんよう))に命じて出版させた木活字の古活字版。〈円光寺版〉ともいう。《孔子家語》《六韜》《三略》(〈六韜三略〉)《貞観政要》《吾妻鏡》《武家七書》など8部80冊。このあと家康が駿府に隠棲してから出版した銅活字の版本を〈駿河版〉という。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「伏見版」の意味・わかりやすい解説

伏見版
ふしみばん

円光寺版ともいう。駿河(するが)版とともに徳川家康が刊行した書物として名高い。家康の命によって、足利(あしかが)学校第9代校主三要元佶(さんようげんきつ)が、新彫の木活字を用い、1599年(慶長4)から1606年(慶長11)にかけて、京都伏見の円光寺で出版した書物。『孔子家語(こうしけご)』『貞観政要(じょうがんせいよう)』『六韜(りくとう)』『三略』『周易古注(しゅうえきこちゅう)』『七書(しちしょ)』などがあり、なかでも『六韜』『三略』は三度、『七書』は二度も開版された。

[金子和正]

『川瀬一馬著『増補古活字版之研究』(1967・日本古書籍商協会)』


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世界大百科事典(旧版)内の伏見版の言及

【円光寺】より

…これが当寺の開創で,好学の家康は木活字10万を寄せ,元佶は和漢の典籍の出版にあたった。これを慶長活字本,伏見版,円光寺版といい,当寺は日本の出版史上で特筆すべき役割を果たした。のち寺は現在の地に移り,現在は尼寺である。…

【慶長版】より

…日本において,慶長年間(1596‐1615)に開版された出版物の総称。(1)1597年の《錦繡(きんしゆう)段》《勧学文》に始まり,99年の《日本書紀神代巻》《古文孝経》などを経て1603年の《白氏五妃曲》にいたる後陽成天皇の勅版,(2)1599年の《孔子家語》《六韜(りくとう)》《三略》に始まり,1600年の《貞観政要》その他を経て06年の《七書》にいたる徳川家康の伏見版,(3)徳川家康が駿府(すんぷ)に引退してから金地院崇伝,林道春に命じて開版させた15年の《大蔵一覧集》(いわゆる駿河版)のほか,(4)1605年富春堂五十川了庵が刊行した《太平記》その他がこれに属する。勅版や伏見版は大形の木活字本(古活字版)であるが,駿河版は銅活字を用いた。…

※「伏見版」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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