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作業仮説 さぎょうかせつworking hypothesis

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

作業仮説
さぎょうかせつ
working hypothesis

実験観察や調査によって,のちに検証されるべき仮の命題であるが,理論的仮説実験観察や調査によって検証可能にするために,概念を技術的に操作可能な変数に置き換えてつくり上げた,より具体的な仮説のこと。まず状況に応じた作業仮説が立てられ,その仮説を検証するための実験観察,調査計画が立てられる。その計画にそって実験観察,調査を行い,結果と仮説を照し合せ,仮説の採用,修正,棄却がなされる。このような過程を通じて,より高度の理論が確立されていく。

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デジタル大辞泉の解説

さぎょう‐かせつ〔サゲフ‐〕【作業仮説】

研究や実験を進める過程で、暫定的に有効とみなされてたてられる仮説。

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大辞林 第三版の解説

さぎょうかせつ【作業仮説】

理論的整合性など仮説としての十分な資格は備えていないが、とりあえず研究や実験を進める上で有効な手段として立てられる仮説。 → 仮説

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

作業仮説
さぎょうかせつ
working hypothesis

新しい知識獲得の手段として用いられる仮説。新しい科学的知識や理論を得ようとする場合、既成の理論における諸命題から仮の命題を構成するが、このいまだ経験的に真であることが証明されていない仮の命題を、仮説という。仮説はさらに、理論仮説theoretical hypothesisと作業仮説の二つのレベルに分けられる。両者はともに、通常二つ以上の変数の相互の関係について述べたものであるが、理論仮説では、そこに含まれている変数はかならずしも測定可能な変数である必要はなく、むしろ概念的であることが多い。また、変数間に生じる関係についての説明の論理を、内に含んでいる。これに対して作業仮説は、具体的に測定可能な変数の関係について言及しており、かならずしも説明の論理は含まない。理論仮説を構成する複数の命題を経験的に操作可能なものに置き換えた、一つの社会調査ないし実験によって検証される下位命題である。たとえば、「人々の性別役割分業意識は現在の状態を合理化・正当化する形で形成される」という理論仮説に関して、「女性の雇用労働者と専業主婦とを比較すれば、後者のほうが性別役割分業肯定率は高い」という命題は、考えうる作業仮説の一つである。
 仮説は、社会調査や実験の具体的な枠組みを設定し、分析の指針となる。社会調査や実験の一連のプロセスにおいては、理論仮説として提出された諸命題と関連する既存の資料が検討され、それがいかなるデータとして、どの部分をどの程度測定する必要があるのか、また測定できるのか、という問題を考えたうえで、作業仮説が導き出される。社会調査や実験では、理論仮説の検証を目的としながら、直接的には作業仮説の検証が行われる。[原 純輔]
『安田三郎・原純輔著『社会調査ハンドブック』第3版(1982・有斐閣) ▽福武直著『社会調査』補訂版(1984・岩波書店)』

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世界大百科事典内の作業仮説の言及

【仮説】より

…なお,研究の初期の段階で,調査や実験やデータの整理などのよりどころとして,とにかくある仮説を立ててみよう,という場合がある。そのようなとき,その仮説は〈作業仮説〉と呼ばれる。【黒崎 宏】。…

※「作業仮説」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト世界大百科事典 第2版について | 情報

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