居住部分と業務部分とが併存しており、その境を完全には区画せずに相互に往来できる住宅。業務部分としては店舗や作業所、事務所、診療所、倉庫などの場合がある。よくみられるものとしては、一階が店舗や作業場で二階に居住部分があり、階段で昇降するようなもの、あるいは表が店舗で奥に居住部分があるようなものである。また、元商家で店をやめた住宅を仕舞屋(しもたや)という(「仕舞うた屋」の転)。併用住宅に対するのは専用住宅(居住専用住宅)であり、ともに総務省統計局の住宅・土地統計調査の「住宅の種類」の分類である。なお住宅・土地統計調査では「店舗その他の併用住宅」とされている。1958年(昭和33)には日本の住宅の39%(うち23%は農林漁業併用住宅)であったが、激減し2008年(平成20)には3%になっている。
併用住宅においては、空間として居住部分と業務部分とが一体であると同時に、居住者自身の居住と仕事とが一体的に行われる。したがって、家事と仕事との両立、家内労働力の利用、通勤時間や就業時間にとらわれない業務時間の設定などが可能となる。また日常生活と仕事の両面で周辺の地域社会との結び付きが強くなりやすい。このような結び付きは日常生活や仕事、社会生活を営みやすくする効果をもっているが、逆に地域と不可分の関係があるために、家族が住宅や環境に生活上の不満、不便を感じても容易には住み替えられない場合が多い。工場併用住宅で騒音や悪臭などの公害発生源になる場合には作業場を住宅地と分離することが好ましいが、居住部分の取扱いや、経済力のない場合の移転費用の対策が課題となる。併用住宅における地域社会との強い結び付きは、業務活動が零細か比較的小規模である場合に限られる。規模が拡大すると、従業員の居住地の遠隔化や取引先の広域化によって、住居と仕事場とが同一場所にあることの利点が失われ、また家内労働力の重みも小さくなり、さらに業務部分の空間が拡大して居住部分を圧迫することになる。その結果、日常生活上、業務活動上、居住部分と業務部分とを分離する要求が高まってくる。
併用住宅と間違いやすいものに「併存住宅」いわゆる「下駄ばき住宅」がある。これは共同住宅で一階部分などに店舗や事務所、作業所などの業務施設が併設されたものである。業務施設と住宅の部分とは完全に区画されており、業務施設の管理者、営業者はかならずしも住宅部分に居住してはいない。
[多治見左近]
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【住宅の種類】
住宅は用途,世帯の属性,所有形態,集合化の程度,立地,様式などによって分類される。用途別には専用住宅と併用住宅とがある。居住以外の用途を含んでいるものを併用住宅といい,店舗,作業場,倉庫などが居住部分に併置されたものや農家などがこれにあたる。…
※「併用住宅」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
〘 名詞 〙 年の暮れに、その年の仕事を終えること。また、その日。《 季語・冬 》[初出の実例]「けふは大晦日(つごもり)一年中の仕事納(オサ)め」(出典:浄瑠璃・新版歌祭文(お染久松)(1780)油...
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