精選版 日本国語大辞典 「保険代理店」の意味・読み・例文・類語
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特定の保険会社の委託を受け,その保険会社のために継続的に保険契約の締結の代理または媒介をする者をいい,損害保険,生命保険双方に存在する。保険会社は,全国どこでも適任者を求めて代理店を委託し,保険契約の募集にあたる販売網をつくっている。保険会社のためではなく,もっぱら保険契約者の側に立ち,保険会社あるいはその代理店との契約の仲介を行う者を保険ブローカーというが,日本ではブローカーは認められていない。代理店を機能別に分類すれば,保険契約の締結の代理をする締結代理店と,単に契約成立の媒介をする媒介代理店に分けられる。損害保険の場合,保険期間が1年ないしはそれ以内のものが多く,また海上保険においては,1航海,1運送期間であるため迅速な契約の締結が必要とされることから,締結代理店が一般的な形態である。一方,生命保険の場合は,契約が長期にわたることが多く,また身体,健康状態についての診査等を保険会社が実施し契約締結の可否を判断することもあり,契約成立を単に媒介する媒介代理店が普通である。両者はともに商法46条で規定されている代理商にあたる。
日本の場合,保険代理店は〈保険募集の取締に関する法律(募取法)〉によって大蔵大臣の監督下におかれている。これにより,保険代理店は大蔵大臣に対して登録することを義務づけられ(同法3条),大蔵大臣の求めに応じて業務に関する報告を行う義務を負う,などの規制がなされている。保険会社と代理店との間の契約の内容に関しては,法文上は,前記の募取法と商法46条以下の代理商の規定が存在するだけであり,具体的に委託される権限等については,保険会社と代理店との間で締結されている代理店委託契約書により,個々に決められている。日本の代理店による保険契約の募集活動は,募取法に基づき登録された代理店またはその使用人にのみ許されている(同法9条)。
執筆者:高木 秀卓
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
一定の保険会社の委託を受けて、その保険会社のために継続的に保険契約の締結の代理または媒介をすることを業務とするもの。代理店には保険契約の締結を代理する締結代理店と、保険契約の媒介をするにすぎない媒介代理店とがある。
わが国においては、損害保険では、保険期間が比較的短く、迅速な締結を要する場合が多いので、締結代理店が普通となっている。代理店の権限などについては別段の規定はない。保険会社と代理店との間に交わされた代理店委託契約書によって規定されており、手数料も代理店の階級制によって差が設けられている。生命保険では、保険期間が長期であり、身体検査などについても日時を要することから、契約の成立を単に媒介する権限にとどまる媒介代理店が常態である。しかも生命保険では、外務員が販売機関の主力となっているので、代理店の実情は微々たるものである。媒介代理店には、特定外務員に見込み客の紹介を行い、外務員から手数料を受け取る紹介代理店と、第2回以降の保険料の集金およびそれに付随する事務を取り扱う集金代理店とがある。後者の代理店には保険料集金額の一定割合が手数料として支給される。
[金子卓治]
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