信用調査(読み)シンヨウチョウサ

デジタル大辞泉 「信用調査」の意味・読み・例文・類語

しんよう‐ちょうさ〔‐テウサ〕【信用調査】

金銭の貸し付けや手形割引などの取引をするとき、取引先弁済能力を判断するために資産状態・営業状態などを調査すること。

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精選版 日本国語大辞典 「信用調査」の意味・読み・例文・類語

しんよう‐ちょうさ‥テウサ【信用調査】

  1. 〘 名詞 〙 金銭の貸借などに際し、相手方信用状態を、人的調査、物的調査、経理面の分析などをして判定すること。〔商業経済辞典(1938)〕

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改訂新版 世界大百科事典 「信用調査」の意味・わかりやすい解説

信用調査 (しんようちょうさ)

狭義には,金融機関が企業や個人に融資を行うに際し,借手やその保証人などの支払能力や担保価値などを調査することで,信用審査ともいわれる。広義には,メーカー・商社等が取引関係の開始に際し取引先の信用や売掛許容限度などを調査することもいうが,これはとくに貿易上では不可欠のこととされる。調査は,国内取引の場合は取引銀行や興信所,貿易上の外国企業の場合は為替銀行や興信所に依頼して行うのが一般的である。また,割賦販売に際して業者が取引相手の支払能力を調査する場合にもいう。狭義の場合の金融機関が行う調査の内容は,形式的なものから個々の借手に特有の事情に立ち入ったものまで多様であるが,どちらかといえば,消費者金融などの少額の融資については形式的要件(たとえば年収や勤続年数など)を満たせばパスさせることが多い。これは一つには,審査にも費用が必要であって,少額のものまで1件ずつ審査していてはペイしない可能性が強く,形式的審査の不十分さを高い利子率で補うという方針を反映したものと思われる。また,銀行などの金融機関は企業との預金取引や貸出しを通じて日々情報収集を行っており,この意味では顧客との日常の関係が信用調査に活用されているわけである。

 なお,個人の信用調査を各社ごとに十分に行うのはコストがかかりすぎるし,また別のいくつかの金融機関から何口も借りているケースなどをチェックするのは困難なため,近年,各金融機関が保有する個人の信用情報,とくに〈マイナス・データ〉(過去の一定期間以上の滞納不渡りの記録)を集約するセンター的機関が,銀行やサラリーマン金融会社,販売金融会社等によって,それぞれ会員制で設立されている。この種のセンターとしては,1973年1月に社団法人東京銀行協会内に設立された東銀協の個人信用情報センターが最初のもので,これを拡充した全国銀行協会の個人信用情報センターも78年末に完成している。このほかいくつかの個人信用情報機関があり,一本化が検討されていたが,日本割賦協会,全国信販協会,家電系クレジット各社は,それぞれの機関を統合,84年9月新たな信用情報機関〈信用情報センター〉を設立,85年4月からサービスを開始することになった。全銀協,サラ金業界も,4月以降,同センターと情報交換を行うことで同意したので,個人信用情報機関の一本化が一気に実現することになる。いずれにせよ,データ利用に際してはプライバシーが十分尊重されなければならない。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「信用調査」の意味・わかりやすい解説

信用調査
しんようちょうさ
credit investigation

一般的には、取引方針を決めるために、取引の相手方について営業状況、財務内容など信用状態を調べることをいう。信用に関する情報の入手手段としては、相手方から直接入手する、販売先・仕入れ先などから間接的に入手する、興信所に依頼する、などの方法がある。金融機関は与信行為の基礎としてこの信用調査を重視し、取引開始時はもちろん、取引後も随時必要に応じて行っている。信用調査の体系としては、(1)人的調査(経営者、従業員、労使関係などに関する調査)、(2)物的調査(外部要素としての所属業界調査および内部要素としての企業の沿革、資本、設備、生産・仕入れ・販売状況などの調査)、(3)経理面の分析(収益状態、財政状態、資金繰りなどの財務分析)よりなる。ただし、銀行などが行う信用調査は、外から企業をみる「外部調査」であるから、資料・情報入手上の制約、財務諸表の信頼性の問題など、いろいろな限界のあることに留意すべきである。

[井上 裕]

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