火工品(読み)カコウヒン

デジタル大辞泉 「火工品」の意味・読み・例文・類語

かこう‐ひん〔クワコウ‐〕【火工品】

ある使用目的に適するように火薬爆薬加工・成形したもの。信管雷管実包・空包・花火など。

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改訂新版 世界大百科事典 「火工品」の意味・わかりやすい解説

火工品 (かこうひん)

火薬,爆薬を加工成形してある目的に適するように作られたもの。火工品は多種多様であるが,代表的火工品としては次のようなものがある。

(1)爆薬を起爆するのに使われるもの 電気雷管および工業雷管。(2)発射薬や推進薬を点火するのに用いられるもの 火管銃用雷管,スキッブなど。(3)時間または距離をおいて火炎爆発を伝えるもの 信管導火線電気導火線導爆線および段発電気雷管。(4)射撃や音による威嚇などに用いられるもの 実包および空包。実包は弾丸,発射薬の入った薬莢(やつきよう),銃用雷管の組合せで,銃に装てんして弾丸を発射するもの。空包は実包から弾丸を取り除いたものである。(5)音を出して信号に使うもの 信号雷管。これは緊急の際に鉄道のレール上に装着し,列車が通過すると爆発音を出して危険を知らせ列車を停止させる。発音剤は過塩素酸カリウムとアルミニウム粉末の混合物である。(6)光や煙を出して信号を送るもの 信号炎管。代表的なものは自動車用緊急保安炎筒で,自動車に常時携帯して踏切等で事故を起こして動けなくなったときに赤色炎によって列車に事故を知らせる。発炎剤は過塩素酸アンモニウム硝酸ストロンチウム炭酸ストロンチウム主成分とし,デンプン,パラフィンなどを加えたものである。日中での信号や消防演習などでは発煙筒が使われる。白色黒色灰色,黄色,赤色,緑色,青色などの着色煙を出すことができる。

 花火やロケットも火工品の一種である。最近多数の火工品が開発され,宇宙ロケットその他の部品として種々の目的に使われている。
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百科事典マイペディア 「火工品」の意味・わかりやすい解説

火工品【かこうひん】

火薬や爆薬を細工してつくった工作物で,火薬を燃焼させたり,爆薬を爆発させるための補助手段として用いられるものの総称。燃焼を起こさせるために火炎を与えるものが火管類(火管),爆発を起こさせるものが雷管類(雷管),一定の時間や距離をおいて働かせるものがヒューズ類(導火線,導爆線,信管)などのほか,交通機関などで危急の際に用いられる保安炎筒など種類はきわめて多い。
→関連項目火薬対人地雷全面禁止条約

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「火工品」の意味・わかりやすい解説

火工品
かこうひん
pyrotechnics

火薬類のうち、火薬、爆薬を使用して、ある目的に適するように加工、成型したものの総称。その種類は多く、使用目的も多様であるが次のようなものがある。爆薬を起爆させるものに工業雷管、電気雷管や信管が、発射薬に点火するものに火管や銃用雷管がある。時間または距離をおいて火炎や爆発を伝えるものに時限信管、導火線、電気導火線、導爆線および段発電気雷管がある。射撃や威嚇などにはそれぞれ実包、空包がある。音や光を出して信号の目的に使われるのは信号雷管、信号炎管、信号火せん、緊急保安円筒などである。花火も火工品の一種である。多数の新しい火工品が開発され、種々の目的に使われるようになってきている。

[吉田忠雄・伊達新吾]

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化学辞典 第2版 「火工品」の解説

火工品
カコウヒン
ammunition, priming material, blasting accessories

火薬類を使用して,目的に適するように加工製造したもの.これには次の分類ができる.
(1)爆薬を爆ごうさせるためのもの:工業雷管,電気雷管.
(2)火薬に点火するためのもの:銃用雷管,火管.
(3)信号のためのもの:信号雷管,信号炎管,信号火箭(せん).
(4)時間または距離をおいて作用するようにしたもの:信管,導火線,導爆線,電気導火線.
(5)銃砲を用いて発射させる実砲,発射させるものをもたない空砲.
(6)火薬または爆薬を使用してこれを観賞し,あるいはおもちゃの目的に供するもの:煙火,玩(がん)具用煙火.
以上のように幅の広い意味をもつ火工品という用語は,外国語には適当な用語がない.十分な適語ではないが,英語をかかげておいた.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

世界大百科事典(旧版)内の火工品の言及

【火薬】より

…広義には火薬類のことを,狭義には発射薬や推進薬のことを火薬と呼ぶ。日本の火薬類取締法では火薬類は火薬,爆薬,火工品の3種に分類され,次のように定義されている。火薬とは推進的爆発の用途に供せられるものであって,火薬類取締法および同法施行規則(以下法令という)で定めるもの,爆薬とは破壊的爆発の用途に供せられるものであって,法令で定めるもの,火工品とは,火薬,爆薬を使用して,ある目的に適するように加工したものであって,法令で定めるもの。…

※「火工品」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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