倚子(読み)イシ

デジタル大辞泉の解説

い‐し【×倚子】

腰掛けの一。宮中では貴人高官が使用を許されたもの。形や背もたれ・ひじ掛けの有無などは身分により違いがあった。
「螺鈿(らでん)の―立てたり」〈・若菜上〉
[補説]中世以降、禅僧が多く使い、唐音を用いて「いす」といい、「椅子」と書くことが多くなった。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

倚子
いし

方形に脚付きで、座の左右に勾欄(こうらん)をつけ、背部に鳥居形の背もたれのある腰掛。正倉院に遺例がみられるが、平安時代に宮中で天皇をはじめ高官の公卿(くぎょう)が使用した。天皇用のものは御倚子または倚子の御座と称され、紫宸殿(ししんでん)には黒柿(くろがき)製、清涼殿(せいりょうでん)には紫檀(したん)製のものが置かれたが、近世からは漆塗装するようになった。上に錦(にしき)や綾(あや)の毯代(たんだい)を敷き、幼帝の場合には踏み台を要する。皇太子が元服のときに平文(ひょうもん)の装飾を施した小倚子を用いる。[郷家忠臣]

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世界大百科事典内の倚子の言及

【いす(椅子)】より

…また日本のいすは中国とのかかわりが深かった。イスを現在では〈椅子〉と書くが,これは鎌倉時代以後で,平安時代には〈倚子〉と書きイシとよんでいた。 日本で最初にいすが使われたのは,埴輪のいすから判断して6~7世紀ころからと考えられる。…

※「倚子」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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