借貸(読み)シャクタイ

デジタル大辞泉 「借貸」の意味・読み・例文・類語

しゃく‐たい【借貸】

かしかり。貸借
奈良平安時代官稲無利息貸与したこと。窮民救済勧農のために行った。賑貸しんたい仮貸かたい。→出挙すいこ

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精選版 日本国語大辞典 「借貸」の意味・読み・例文・類語

しゃく‐たい【借貸】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 借りることと貸すこと。また、貸すこと。かしかり。貸借。
    1. [初出の実例]「頭会箕歛〈略〉上から人に物を借貸するに頭を数を家々に数へてすくなう借して、反(かへす)時は以箕多取歛むるを、利をつけて一倍で取る心ぞ」(出典:漢書列伝景徐抄(1477‐1515)張耳陳余第二)
    2. [その他の文献]〔杜甫‐寒雨朝行視園樹詩〕
  3. 奈良・平安時代、利息をとらないで、官稲などを貸し与えたこと。利息つきの貸借である出挙(すいこ)に対する語。貧窮の百姓を救済し、また勧農のため行なわれたもの。賑貸(しんたい)
    1. [初出の実例]「借貸参仟伍伯参拾肆束」(出典:正倉院文書‐天平九年(737)八月一三日・和泉監正税帳)

かり‐かし【借貸】

  1. 〘 名詞 〙 借りることと貸すこと。貸し借り。しゃくたい。
    1. [初出の実例]「借(カ)り貸(カ)しは廓の慣ひ、更科金兵衛が借りたがどうする」(出典:歌舞伎・思花街容性(1784)序幕)

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改訂新版 世界大百科事典 「借貸」の意味・わかりやすい解説

借貸 (しゃくたい)

日本古代の無利息の貸付け。有利の貸付けである出挙(すいこ)に対していう。賑貸(しんたい),仮貸(かたい)とも称し,おもに国家が不作,疫病流行などにさいし救済のために,農民に正税(しようぜい)の一部を貸し付けたり,出挙の利を免じて実質的に借貸とすることもあった。このほか国司が無利息の官稲を借りうけ,これを有利で農民に貸し付ける国司借貸もあり,国司の私的収入源となっていた。734年(天平6)にはその貸付け限度額が国の等級別に14万束~8万束までとされたが,弊害も多く2年後にいったん廃止され,のち745年の公廨稲(くがいとう)の制の中に組みこまれ,国司の俸給の一形態となっていった。
出挙(すいこ)
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「借貸」の意味・わかりやすい解説

借貸
しゃくたい

奈良・平安時代の無利息米稲貸与制度。出挙(すいこ)の一種であるが、一般に出挙は有利貸付であるのに対し、無利息による貸与をいう。賑貸(しんたい)ともいう。当初、困窮する農民の救済のために設けた制度で、凶作年などに行われた。734年(天平6)国司を優遇するため、国の等級によって相違するが、国司に一定額の官稲の借貸を許し、彼らはそれを有利貸付である出挙として農民に貸し付け、利稲を得分とする制度が成立した。しかし弊害も多く、まもなく禁止されたが、798年(延暦17)国司に対する公廨田(くがいでん)の廃止により借貸の制が復活し、806年(大同1)新赴任の国司に公廨稲の4分の1を借貸して食料にあてさせる制が生まれ、のち鎮守府(ちんじゅふ)、鋳銭司(じゅせんし)の官人や諸国書生(しょしょう)などの地方官にも借貸を許し、事務多忙の官の労苦に報いた。

[米田雄介]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「借貸」の意味・わかりやすい解説

借貸
しゃくたい

賑貸 (しんたい) ともいう。窮民を救うために無利子で貸付けをすること。養老4 (720) 年春に国税の稲を貸付け,秋にこれを納めさせたのが始り。以来,江戸時代にいたるまで,貧困者を救うために幕府および民間で行われた。 (→出挙 )

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普及版 字通 「借貸」の読み・字形・画数・意味

【借貸】しやくたい

かる。

字通「借」の項目を見る

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