日本古代の無利息の貸付け。有利の貸付けである出挙(すいこ)に対していう。賑貸(しんたい),仮貸(かたい)とも称し,おもに国家が不作,疫病流行などにさいし救済のために,農民に正税(しようぜい)の一部を貸し付けたり,出挙の利を免じて実質的に借貸とすることもあった。このほかに国司が無利息の官稲を借りうけ,これを有利で農民に貸し付ける国司借貸もあり,国司の私的収入源となっていた。734年(天平6)にはその貸付け限度額が国の等級別に14万束~8万束までとされたが,弊害も多く2年後にいったん廃止され,のち745年の公廨稲(くがいとう)の制の中に組みこまれ,国司の俸給の一形態となっていった。
→出挙(すいこ)
執筆者:勝浦 令子
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
奈良・平安時代の無利息米稲貸与制度。出挙(すいこ)の一種であるが、一般に出挙は有利貸付であるのに対し、無利息による貸与をいう。賑貸(しんたい)ともいう。当初、困窮する農民の救済のために設けた制度で、凶作年などに行われた。734年(天平6)国司を優遇するため、国の等級によって相違するが、国司に一定額の官稲の借貸を許し、彼らはそれを有利貸付である出挙として農民に貸し付け、利稲を得分とする制度が成立した。しかし弊害も多く、まもなく禁止されたが、798年(延暦17)国司に対する公廨田(くがいでん)の廃止により借貸の制が復活し、806年(大同1)新赴任の国司に公廨稲の4分の1を借貸して食料にあてさせる制が生まれ、のち鎮守府(ちんじゅふ)、鋳銭司(じゅせんし)の官人や諸国書生(しょしょう)などの地方官にも借貸を許し、事務多忙の官の労苦に報いた。
[米田雄介]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...
11/21 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新
10/1 共同通信ニュース用語解説を追加