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官稲 かんとう

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

官稲
かんとう

奈良,平安時代官有の稲。地方の財源として,田租諸国正倉に収納し,一般に貸付けた。これには恒常臨時の財源となる正税と,救急にあてる籾殻と,各郡に置き臨時の雑用にあてる郡稲の3種があった。

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世界大百科事典 第2版の解説

かんとう【官稲】

律令時代に田租として徴収し,諸国の官(正)倉に収納・出挙(すいこ)して,国衙の諸経費にあてられた稲。当時の国家財政上,重要な意味をもった。賦役令土毛条義解には官稲を分かって大税,籾穀郡稲の3種としている。大税(正税(しようぜい))は,その一部を舂米(しようまい)として京に進納するほか,出挙して利息を得,それを国衙の臨時費に充当した。籾穀は,非常の救急に備える永年貯蓄用として不動倉に収納。郡稲は,大(正)税の一部を別置したもので,毎年出挙してその利を国衙の経常費や交易進上物の代価にあてた。

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大辞林 第三版の解説

かんとう【官稲】

律令制下、地方財政にあてるため田租として諸国に納められた官有の稲。初め正税しようぜい・籾穀・郡稲、のち正税・公廨くがい・雑稲の三種とされた。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

官稲
かんとう

律令(りつりょう)制下において田租(でんそ)として徴収され、諸国の正倉(しょうそう)に収納または出挙(すいこ)されて国衙(こくが)の諸用途にあてられた稲の総称。養老(ようろう)賦役令の土毛(どもう)条義解(ぎげ)は、大税・籾(もみ)穀・郡稲の3種に区分している。大税(正税)は舂米(しょうまい)として一部分が運京されるほかは、出挙しその利を雑用にあて、籾穀は貯備され、郡稲は出挙してその利を例用や交易進上物にあてた。天平(てんぴょう)期(729~749)の諸国正税帳にはこのほかに、公用稲、地子稲、官奴婢(かんぬひ)食料稲(税)、駅起稲(えききとう)、屯田稲(とんでんとう)などの雑官稲がみられる。『続日本紀(しょくにほんぎ)』によれば、734年(天平6)正月、駅起稲を除くすべての官稲が正税に混合・一本化されたことがみえるが、神税・兵家稲・中宮職(ちゅうぐうしき)税なども除外されていたとみられている。こののち、738年に中宮職税が、739年に駅起稲・兵家稲が正税に混合され、744年7月の国分二寺稲の別置、745年11月の公廨稲(くがいとう)の設置により、諸国の官稲は正税・公廨・雑稲の三本立てとして運用されることとなった。正税は国衙の例用・臨時用および運京の舂米にあて、公廨は官物の欠負(かんぷ)未納の補填(ほてん)、運京の費用にあて、残余を国司の俸料として配分した。雑稲は国分寺などの寺社料、修理官舎料、修理池溝料、救急料、修理駅家料、俘囚(ふしゅう)料その他にあてられた。これら正税・公廨・雑稲の各国別の出挙定額数は『弘仁式(こうにんしき)』『延喜式(えんぎしき)』の各主税式に定められている。[加藤友康]

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