偽造手形(読み)ぎぞうてがた

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

偽造手形
ぎぞうてがた

無権限者が他人の署名を偽って手形行為をした場合の手形。手形の偽造は,盗取または偽造した印章を用いて他人名義の手形行為をするのが通常であるが,署名を偽造したり,別の目的で預っている他人の印章を濫用して行う場合もあり,または別の目的で紙面になされた他人の署名を悪用して手形行為をする場合もある。無権限者が代理方式により手形行為をした場合は,無権代理であって,手形の偽造ではない。手形が偽造された場合,その手形行為は無効であって,被偽造者はなんぴとに対しても手形責任を負わない。しかし一般には手形の偽造は実質的に無権代理と類似の関係が認められるので,被偽造者は,一般私法上の表見代理に関する規定の類推適用により,表見責任を負うものとされている。また,偽造者が被偽造者の使用人である場合には,被偽造者は使用者として不法行為責任を負うことがある (民法 715) 。さらに最近の判例によれば,被偽造者は,無権代理の場合と同様に,これを追認することができるとされている。手形の偽造者は,有価証券偽造罪または有価証券虚偽記入罪としての刑法上の責任 (刑法 162) ,および民法上の不法行為責任 (民法 709) を負う。このほかに,偽造者が手形責任を負うかについて,見解が分れているが,最近の判例によれば,偽造者は,無権代理人の手形責任を定めた手形法8条の類推適用により,手形責任を負うものとされる。手形が偽造された場合,偽造の手形行為は無効となるが,その手形上になされたそれ以外の手形行為は独立して効力を生じ,その署名者は手形責任を負う (手形行為独立の原則) 。

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世界大百科事典 第2版の解説

ぎぞうてがた【偽造手形】

他人の名義をいつわり,または仮設人の名称を使用して手形行為(振出し,裏書,保証,引受けまたは参加引受け)を行うことを手形の偽造といい,偽造の手形行為のある手形を偽造手形という。手形の偽造は,例えばBがAの許しをえないでAの振出人としての署名(記名捺印(なついん)を含む。以下同じ)を手形に記載し,これをA振出しの手形として流通させる場合である。これに対して,BがAの許しをえないで〈A代理人B〉などと記載して手形行為をするのは無権代理であって,偽造ではない。

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精選版 日本国語大辞典の解説

ぎぞう‐てがた ギザウ‥【偽造手形】

〘名〙 無権限で他人の名義を使用して作られた手形。署名の偽造や印章の盗用などによるもののほか、無権代理人の手形行為によるものを含めていうこともある。

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