中国、清(しん)代の口語長編小説。全40回。道光年間(1821~50)、満州旗人(きじん)の費莫文康(ひばくぶんこう)が『紅楼夢(こうろうむ)』に対抗して執筆したもので、主人公安公子が罪に陥れられた父の救出のために旅に出て、強盗に危うく命をとられそうになったところを侠女(きょうじょ)十三妹(シイサンメイ)(実は何玉鳳(かぎょくほう))に助けられ、のちに公子は父を救出して、自分とともに十三妹に助けられた張金鳳(ちょうきんぽう)と何玉鳳の2人を妻とし、父母に孝養を尽くし、科挙に合格して立身出世する筋で、思想的にも技巧的にも陳腐な作となっている。ただ作者の善意が全編にあふれ、純粋な北京(ペキン)語の軽妙でユーモラスな叙述によって、特異な侠義小説となっている。武田泰淳(たいじゅん)の『十三妹』はこの小説に基づく。
[藤田祐賢]
『立間祥介訳『中国古典文学大系47 児女英雄伝』(1971・平凡社)』
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中国,清代の白話長編小説。全40回。作者は満人の文康。道光年間(1821-50)の作。美しい女俠の何玉鳳と女々しい貴公子の安竜媒との物語で,何玉鳳が十三妹(シーサンメイ)と名のって父の仇をうつべく多くの悪人とわたりあう場面が,評話(講談)から発展したこの小説の見どころ。最後に二人は結ばれ,それぞれ女らしく男らしくなって大団円となるが,題名の寓意もそこにある。
執筆者:中野 美代子
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