八隅説(読み)はちぐうせつ

精選版 日本国語大辞典 「八隅説」の意味・読み・例文・類語

はちぐう‐せつ【八隅説】

  1. 〘 名詞 〙 原子分子を形成する場合、八個の電子によって原子が取り囲まれるように結合を作るという説。アメリカの物理学者G=ルイス提唱。のち、ルイス・ラングミュア原子価理論発展。〔原子の構造(1924)〕

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百科事典マイペディア 「八隅説」の意味・わかりやすい解説

八隅説【はちぐうせつ】

原子価論の古典的考え方の一つ。原子の価電子は立方体の8隅に位置しているとする考え方。各原子は8隅のすべてに電子を満たした希ガス元素型の電子配置をとろうとするため,たとえばハロゲン元素アルカリ金属元素が結合する場合には,前者後者の電子1個を奪ってそれぞれ8隅を満たして負,正のイオンとなりイオン結合をし,共有結合の場合には立方体の稜または面を共有して互いに8隅を満たし合うことによって結合するとする。1916年G.N.ルイスが提唱,ラングミュアシジウィックらが発展させた。なお,現在では共有結合は量子力学的に解釈されている(ハイトラー=ロンドンの理論)。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「八隅説」の意味・わかりやすい解説

八隅説
はちぐうせつ
octet theory

ルイス=ラングミュアの原子価論ともいう。 G.ルイスと I.ラングミュアによって提示された。原子が分子を形成するときの本質に関する仮説である。原子の原子価電子は立方体の頂点のいずれかを占めており,これらの原子が結合して分子を形成する場合は,おのおのの原子の頂点全部に電子を満たした8個の電子群すなわち八隅子を形成する傾向があるとする説。たとえば酸素原子 (電子6個) から酸素分子 O2 をつくる場合,立方体の一面を共有したモデルを考えると,おのおのの原子の各頂点には電子が満たされることになる。しかし例外の結合も多く見出されたので,現在ではあまり用いられない。

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法則の辞典 「八隅説」の解説

八隅説【octet theory】

オクテット理論*八隅子則*参照

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世界大百科事典(旧版)内の八隅説の言及

【化学結合】より

この表記法は現在でもしばしば用いられ,ルイスの点表示と呼ばれる。I.ラングミュアはこのような考え方を八隅説,また結合を共有結合と呼んだ(1919)。ルイスの考え方の重要な点は,化学結合は原子と原子を結びつけている電子対であることを指摘したことにある。…

【ラングミュア】より

…さらに,液体表面上における単分子膜の研究に取り組み,配向単分子層の存在を実証するとともに,この分野の研究の基礎を確立した。彼の研究対象は広範にわたり,G.N.ルイスによる化学結合の電子説に基づき,化学結合の八隅説octet theoryを提唱したことはよく知られている。そのほかに,気体中の放電,熱電子放射および晩年における人工降雨実験などの研究がある。…

※「八隅説」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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