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公安条例 こうあんじょうれい

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

公安条例
こうあんじょうれい

道路,公園その他公共の使用に供される場所における集会集団行進集団示威運動などの集団行動に対し,各種の制限を定めた地方公共団体条例のこと。もっとも,公安条例を正規の題名とするものはなく,「集会,集団行進及び集団示威運動に関する条例」 (東京都,京都市など) とか「行進及び集団示威運動に関する条例」 (大阪市) といった題名をもつ。これらの条例は,「公共の安全」ないし「公共の安寧」保持のため,集団行動を行わんとする者に対し,公安委員会に届け出またはその許可を得なければならないと定めている。憲法によって保障された集団行動の自由を,抽象的かつ不明確な基準のもとに行政機関の事前抑制 (とりわけ許可制) に服せしめることについては批判が強く,下級審の判決例のなかには条例そのものを違憲としたり,適用違憲の手法等を用いたりするものもみられるが,最高裁判所は,その理由づけに微妙な違いをみせているものの,一貫して合憲であるとの立場を持している。 (→集会の自由 )  

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デジタル大辞泉の解説

こうあん‐じょうれい〔‐デウレイ〕【公安条例】

地方公共団体が公共の秩序と安寧を保つために制定している条例。集会・集団行進・集団示威運動の取り締まりを目的とする。

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百科事典マイペディアの解説

公安条例【こうあんじょうれい】

公安の保持を理由に,集会・集団行進・集団示威運動などにつき,公安委員会への事前届出またはその許可を必要とする趣旨を内容とした諸地方公共団体の条例の通称。憲法で保障されている集会・表現の自由の権利を制限するものとして,違憲論争が続いている。
→関連項目集会結社の自由デモ

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世界大百科事典 第2版の解説

こうあんじょうれい【公安条例】

地方公共団体の制定する条例で,主として道路・公園その他公共の使用に供される場所における集会,集団行進,集団示威運動(デモンストレーション)を取り締まる目的で各種の制限を定めるものの総称。公安条例を正規の表題とするものはなく,〈集会,集団行進及び集団示威運動に関する条例〉(東京都,京都市等),〈行進又は集団示威運動に関する条例〉(愛知県等),〈多衆運動に関する条例〉(石川県等)等の表題をもつ。これらの条例は,〈公共の安全〉ないし〈公共の安寧〉保持のため,集会,集団行進,集団示威運動を行おうとする者に対し,公安委員会に届出(群馬県,徳島市等)またはその許可を受けなければならない(東京都その他県,市条例の大多数)と定めている点に共通性をもつ。

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大辞林 第三版の解説

こうあんじょうれい【公安条例】

公共の秩序を維持する名目で、集会・デモなどの規制・取り締まりに関して地方公共団体が制定する条例の通称。事前の届け出または許可などを規制の内容とする。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

公安条例
こうあんじょうれい

地方公共団体が、社会・公共の安全と秩序を守る目的で、主として屋外の公共の場所で行われる、集会、集団行進、集団示威運動等を規制するために定めた条例の通称。その内容は条例ごとに若干異なるが、これらの集団行動を事前の許可制ないし届出制の下に置き、所要の取締り権限を警察に与え、違反者に刑罰を科する点で共通性がある。この意味での公安条例の先駆は、占領軍の非公式指示により1948年(昭和23)7月31日に制定された大阪市の「行進、示威運動及び公の集会に関する条例」であり、その後多くの公共団体が占領軍の要請で公安条例を制定した。1954年の改正警察法公布に伴い、公安条例が廃止される例は少なからずみられたが、今日も相当数が存続している。
 集団行動は、「動く公共集会」として集会の自由に含まれると解するにせよ、「その他一切の表現の自由」に含まれると解するにせよ、表現の自由を定める憲法第21条によって保障されていることは疑いない。表現の自由は個人の人格にとって不可欠であるのみならず、民主主義実現の基盤をなすものであり、これが十分に保障されていなければ、民主国家としての成立は望みえない。ただ集団行動は、一定の場所に多人数が集まり、あるいは路上を行進するものであるから、他の国民の権利との調整を必要とする。問題は、集団行動の民主的意義にかんがみ、公安条例がその規制に、慎重を期するものであるかどうかである。
 最高裁判所は、1954年の新潟県公安条例判決で、一般的な許可制による集団行動の事前抑制は違憲であるとしつつも、特定の場所または方法につき合理的かつ明確な基準の下での許可制または届出制は許されるとし、公共の安全に対し明らかな差し迫った危険を及ぼすことが予見されるときにのみ禁止できるとした。その後、1960年の東京都公安条例判決で、集団暴徒化論を説いて前記の基準からの逸脱をみせ、1975年の一連の判決では、集団行動を危険視する表現は控えたが、それを純粋な言論活動に劣位させる姿勢は踏襲している。また、公安条例の多くは文言(もんごん)があいまいであることから憲法第31条(罪刑法定主義)違反の疑いがあるが、最高裁判所はかかる主張を退ける態度を示している。[糠塚康江]

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世界大百科事典内の公安条例の言及

【条例】より

…それ以前には条例には国の法令の地域的補完機能が濃く,条文も国ないし府県の用意した〈モデル条例〉を機械的に適用したものが多かった。また〈公安条例〉のように政治的に法律制定が難しい事項について国が条例制定を指導し,それを受けて制定されたものもある。学問的にも〈法令の先占理論〉にみるごとく条例は法令に従属するものと位置づけられていた。…

【届出制】より

…ところで,届出制における届出の受理は,一般に,行政庁のたんなる判断や認識の表示を内容とするいわゆる準法律行為的行政行為であって,そこには行政裁量の余地がなく,適法な届出に対しては,行政庁はその受理を拒むことができないとされている。しかし,届出制であっても,例えば,地方公共団体のいわゆる公安条例に基づく届出のように,届出の受理にあたって各種の条件を付与する権限を公安委員会に与え,その条件に反して実施された集団示威運動などに対して刑事罰を定めているものがある。この場合には,法文上は届出制であっても,その運用のいかんによっては実質的に許可制と異ならない結果となり,公安条例については表現の自由の事前抑制禁止の原則との関係でつとにその問題性が指摘されている。…

※「公安条例」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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