多数人が,特定の目的をもって,一時的に,一定の場所に集合する自由。共通の目的をもたない集合である群衆や共通の目的をもつが集合の態様が観念的・継続的である結社と区別される。この自由は,宗教活動,政治活動,文化活動などに対する国家の干渉からの解放を求める人々の戦いの旗印であり,市民革命を経た近代の諸憲法では,基本的人権の一種として広く承認されるようになった。もっとも,この権利の本性は判然とせず,ドイツ,フランスでは,国民の集団的意思形成の自由そのものに求められるが,イギリス,アメリカでは,内部的・対外的な表現行為の要素に注目して,表現の自由の一種と観念されている。アメリカ憲法の強い影響を受けた日本国憲法は英米型であり,その21条1項で〈集会,結社及び言論,出版その他一切の表現の自由〉としてこれを保障した。なお,デモンストレーションいわゆるデモも,動く集会と考えられ,表現の自由の保護を受ける。
明治維新以後の日本では,とくに自由民権運動の活動が集会条例などで厳しく抑圧され,また,明治憲法29条にいう集会の自由も〈法律ノ範囲内〉に限定され,治安警察法は,集会や集団行動の開催,参加者,内容上の制約などを詳細に規定していた。同法に基づいて集会に臨席監視する警察官の行った〈弁士注意〉や〈弁士中止〉の命令は,〈解散〉命令と連続して強い効果を発揮した。これと対照的に日本国憲法は表現の自由の最大限の尊重をうたっているから集会は自由に行いうるはずだが,公安条例や破壊活動防止法は集会の態様や内容に基づく規制を加えている。
執筆者:江橋 崇
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…公安条例のない地方公共団体では道路交通法による取締りがなされているが,公安条例のあるところでも条例と道路交通法による二重の取締りがなされ,公安条例のある地方とそうでない地方との間には集団行動の規制という点では本質的な違いはみられないようである。 日本国憲法21条は,結社の自由,表現の自由と並んで集会の自由を保障しており,集会はもちろんのこと,集団行進および集団示威運動も集会の意思の表現形態ないしいわば〈動く集会〉として集会の自由の保障の内容をなすものとみることができるが,対外的意思表示の面それ自体を独自にとらえてむしろ端的に表現の自由の保障の内容と解することも可能である。実際マス・メディアを積極的に利用することのできない一般の国民が,その意思を表現する手っとり早い方法として,集団行進等の意義が力説されることが多い。…
※「集会の自由」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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