公家(くげ)調度で屏障具(へいしょうぐ)の一種。T形の几に帷(かたびら)とよぶ帳をかけて垂らし、目隠しや風よけ、あるいは間仕切りとして用いた。几は黒漆塗りで、土居(つちい)とよぶ台に2本の棒を立て、手とよぶ横棒を支える。手と支えの棒の先端に飾り金具をはめ、土居の上場、支えの棒を差し込む孔(あな)に飾りの座金(ざがね)を打つ。この几に蒔絵(まきえ)を施した華麗なものもある。4尺(約120センチメートル)の几帳と3尺の几帳の2種がある。前者は手から土居の上場まで4尺の几に、五幅(いつの)で、それぞれ幅の中央に野筋(のすじ)とよぶ絎(く)け紐(ひも)をつけて垂らし、上部に白左右撚(よ)りの紐を差し通し、芯棒(しんぼう)を差し入れ、各幅上部に釣り紐をつける。後者は四幅(よの)で同様に仕立てられる。
地質は、冬が練(ねり)、夏が生(き)で、表地に白平絹(ひらぎぬ)か白綾(しらあや)、裏地に白平絹、野筋地に濃紅か黒の平絹を用いる。『雅亮(まさすけ)装束抄』によると、野筋の中央を境にして赤と濃き紅の2色をはぎ合わせたものを用いる。美麗几帳といわれるものは、表地に華やかな二陪(ふたえ)織物や、裾濃(すそご)といって下部を濃く、しだいに上へ薄くして上部を白に絣(かすり)の技法と同様に締め切って緂(だん)とした織物や、刺しゅうを施した帷を用いた。夏の美麗几帳には生織(きお)りの綾、または平絹に秋草模様を描いた帷をかけた。
[高田倭男]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
屋内を仕切るために用いる調度の一つ。土居という台に2本の足を立てて,その上に横木をのせ,この横木から帳として布帷(かたびら)を垂らして,視線や風をさえぎるようにしたもの。高さによって,3尺几帳と4尺几帳がある。御簾(みす)の遮蔽性を高めるために,その内側に立てても利用された。平安時代の住宅でよく用いられた屏障具(へいしょうぐ)。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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