日本大百科全書(ニッポニカ) 「函南」の意味・わかりやすい解説
函南(町)
かんなみ
静岡県伊豆半島の基部、田方郡(たがたぐん)にある町。1963年(昭和38)町制施行。町名は函嶺(はこね)(箱根山)の南に位置することに由来する。町の東部は鞍掛(くらかけ)山、日金(ひがね)山、玄(くろ)岳などの山岳部と丹那(たんな)盆地、中部は丘陵地、西部は狩野(かの)川の沖積平野が広がる平坦(へいたん)地である。JR東海道本線、伊豆箱根鉄道、国道1号、136号、熱函(ねっかん)道路、伊豆スカイラインが通じ、丹那トンネル(たんなとんねる)は盆地の直下を通る。丹那盆地の酪農は明治初期に始められ、現在も盛んである。丘陵地ではスイカ、イチゴを栽培、平坦部は穀倉地帯。近年では、宅地造成、別荘地開発などが進み、第一次産業の比重は低下している。熱海(あたみ)市と町の境界をなす十国峠(日金山)はじめ畑毛(はたけ)温泉(一部は伊豆の国市にかかる)、柏谷横穴群(かしやよこあなぐん)(国指定史跡)、丹那断層(国指定天然記念物)、鞍掛山南西斜面の函南原生林など観光資源に富む。面積65.16平方キロメートル、人口3万6794(2020)。
[川崎文昭]
『『函南町誌』全3冊(1974~1985・函南町)』