分子蒸留(読み)ブンシジョウリュウ

化学辞典 第2版「分子蒸留」の解説

分子蒸留
ブンシジョウリュウ
molecular distillation

高真空下(1.3 Pa 程度)における蒸留をいう.高沸点で分解や重合しやすい物質の分離に用いられ,各種ビタミン(ビタミンA,E,Kなど)やグリセリドの分離に工業化もされている.ある真空度と温度下における分子の自由行程範囲内に冷却面があり,分子衝突が起こらなければ冷却面に回収されるので,液体が蒸発面上を流下する方式や回転蒸発面上を遠心方向に流れる形式で環流させている.一般に,分子の蒸発速度Gは,表面積A蒸気圧P分子量M,絶対温度Tとして,以下の式で表される.

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百科事典マイペディア「分子蒸留」の解説

分子蒸留【ぶんしじょうりゅう】

0.01Pa以下の高真空下で蒸発面(液面)と凝縮面(蒸発した蒸気が冷却され凝縮する面)との間隔を数センチ程度にして行う特殊な蒸留法。蒸気分子が途中で他の分子と衝突せずに凝縮面に到達する確率が高く,蒸留速度が速くなり,低温での蒸留が可能。蒸気圧の低い物質,熱に弱い物質の分離・精製に有効で,工業的には各種ビタミン,医薬品などの蒸留に利用。
→関連項目蒸留真空蒸留

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「分子蒸留」の解説

分子蒸留
ぶんしじょうりゅう
molecular distillation

0.1Pa以下の圧力下で行う高真空蒸留のこと。このような高真空では,液面から冷却面まで分子同士が衝突することなく到達するため,蒸留温度のが狭く,また,低温で蒸留できるため,化合物化学変化が少い。しかし処理量の小さいことが欠点である。

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日本大百科全書(ニッポニカ)「分子蒸留」の解説

分子蒸留
ぶんしじょうりゅう
molecular distillation

普通の減圧蒸留では蒸留できない高沸点のものを蒸留するために考案された蒸留法の一種。

[編集部]

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世界大百科事典 第2版「分子蒸留」の解説

ぶんしじょうりゅう【分子蒸留 molecular distillation】

10-1mmHg以下の高真空下で行われる蒸留法。真空度を10-1mmHg以下にすると,分子が他の分子と衝突するまでに飛行する距離(平均自由行程という)が長くなる。したがって,液の蒸発面と蒸発分子の凝縮面を近づけて液を加熱すると,蒸発した分子は他の分子とほとんど衝突することなく凝縮面に到達することになる。蒸発の速度は近似的には成分の蒸気圧に例し,分子量の平方根に逆比例しており,各成分の蒸発速度の比がそのまま蒸留の分離度に相当する。

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世界大百科事典内の分子蒸留の言及

【蒸留】より

…材質としては実験室用にはガラスが用いられ,工業的には主としてステンレス鋼が用いられるが,特別に腐食性の強い物質を取り扱う場合には,その他の材質たとえばガラスが用いられる。 操作圧力としては高圧蒸留(普通は数十気圧まで),常圧蒸留および減圧蒸留があり,減圧蒸留はさらに200mmHg程度までの減圧蒸留,1mmHg程度までの真空蒸留と10-1mmHg以下の分子蒸留とに分けられる。真空蒸留分子蒸留
[特殊な蒸留]
 石油は非常に多数の成分からなる混合物であるが,まずはじめに常圧蒸留塔に供給し,塔頂からはガスを,塔底からは重質残渣油を取り出し,塔の中間では上のほうから順にナフサ,灯油,軽油などを抜き出して製品を得ている。…

※「分子蒸留」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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