刺股(読み)サスマタ

デジタル大辞泉 「刺股」の意味・読み・例文・類語

さす‐また【刺股/指×叉】

江戸時代罪人などを捕らえるのに用いた三つ道具の一。2メートル余の棒の先に、二またに分かれた鉄製頭部をつけたもの。これでのど首を押さえる。→突棒つくぼう袖搦そでがら
[補説]現在も警察で用いられることがあるほか学校などの施設で防犯用具としても使用されている。

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精選版 日本国語大辞典 「刺股」の意味・読み・例文・類語

さす‐また【刺股】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 江戸時代、突棒(つくぼう)袖搦(そでがらみ)とともに犯罪人や乱暴者などを捕えるのに用いた武器、いわゆる三道具(みつどうぐ)の一つ。U字形の鉄製の頭部に、木製の長い柄をつけたもので、のど首を押えつけるのに用いた。さっす。さつまた。琴柱棒(ことじぼう)。首金(くびがね)。〔文明本節用集(室町中)〕
    1. 刺股<b>①</b>〈好色一代男〉
      刺股〈好色一代男〉
    2. [初出の実例]「つくほうや月さすまたの番所〈良次〉」(出典:俳諧・崑山集(1651)一〇)
  3. の頭部のような状態。鍬形や琴柱(ことじ)の、脚のひらいたような形。
    1. [初出の実例]「さす股(また)に踏ん張って、暫く息をぞつぎにける」(出典浄瑠璃曾我会稽山(1718)二)
  4. ( 足駄の歯が刺股のような形をしているところから ) 高野行人のはいている高足駄。
    1. [初出の実例]「さすまたをはいた坊主に人たかり」(出典:雑俳・柳多留拾遺(1801)巻八)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「刺股」の意味・わかりやすい解説

刺股
さすまた

おもに江戸時代に、罪人を逮捕するために用いた長柄(ながえ)の寄道具(よりどうぐ)と称された武器の一種。『文明(ぶんめい)本節用集』や『日葡(にっぽ)辞書』にもその名がみえ、室町時代に始まる武器。捻(ひね)り琴柱(ことじ)とか琴柱棒ともよばれた。近世以降は、刑事にかかわる武器として、捕物の三つ道具、番所の三つ道具と称し、突棒(つくぼう)、袖搦(そでがらみ)とともに、検断の役所に常備された。長さ7尺5寸(2.25メートル)ほどの柄に雁股(かりまた)状の鉄を取り付けて、相手の首を押さえるものである。刑吏の威武の道具として見附(みつけ)番所、辻(つじ)番所にも立てられていた。首金(くびかね)ともいう。

[齋藤愼一]

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普及版 字通 「刺股」の読み・字形・画数・意味

【刺股】しこ

学問に励む。〔戦国策、秦一〕(秦)乃ち夜(よる)書を發(ひら)き、陳篋數十、太陰祕の謀を得、伏して之れを誦(よ)む。~睡らんと欲すれば、錐(きり)を引いて自ら其の股を刺し、血れて踵(かがと)に至る。

字通「刺」の項目を見る

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「刺股」の意味・わかりやすい解説

刺股
さすまた

江戸時代の警護の武器。琴柱棒ともいう。関所番所見付けなどに備えてあり,長い木柄 (6~10尺のかしの棒) に鍬形状の鉄をつけ,狼藉者の捕縛の際などに頸や腕を押え込み捕えるときに用いた。 (→捕手術〈とりてじゅつ〉)

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改訂新版 世界大百科事典 「刺股」の意味・わかりやすい解説

刺股 (さすまた)

三道具(みつどうぐ)

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世界大百科事典(旧版)内の刺股の言及

【三道具】より

…江戸時代における犯罪者逮捕のための3種の武器(図)。袖搦(そでがらみ)(錑(もじり)),突棒(つくぼう),刺股(さすまた)をいう。いずれも長柄の捕道具(とりどうぐ)で,激しく抵抗する犯人を取り押さえるのに,六尺棒,梯子(はしご)などとともに用いた。…

※「刺股」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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