新撰 芸能人物事典 明治~平成 「加藤嘉」の解説
加藤 嘉
カトウ ヨシ*
- 職業
- 俳優
- 本名
- 加藤 嘉(カトウ タダシ)
- 生年月日
- 大正2年 1月12日
- 出生地
- 東京市 芝区新堀町(東京都 港区)
- 学歴
- 慶応義塾高等部中退
- 経歴
- 昭和9年東宝劇団を経て、11年新築地劇団付属研究所に入り、同年「女人哀詞」で新劇の初舞台を踏む。12年座員となり、「桜の園」「どん底」「土」「綴方教室」などで頭角を現す。15年一斉検挙され、劇団は解散。16年南旺映画「流旅の人々」で映画初主演。18年応召、横須賀海兵団に入隊。戦後の22年滝沢修らが結成した民衆芸術劇場(第一次民芸)に参加するが、26年民芸を退団。40年には劇団文学座に入り、「女の一生」などに出演。◆この間、23年に松竹の「わが生涯の輝ける日」(吉村公三郎監督)で本格的映画デビュー。その後、東映を中心に多くの映画に出演。50年代の代表作、今井正監督「米」(32年)をきっかけに、多くの巨匠、若い監督たちに珍重され、得がたい性格俳優として強い印象を残す。なかでも野村芳太郎監督「砂の器」(49年)の老巡礼、今村昌平監督「神々の深き欲望」(43年)の離島の区長の演技が光る。その延長線上に花開いた演技「ふるさと」(神山征二郎監督)で1983年度モスクワ国際映画祭主演男優賞などを受賞。他の映画の代表作に内田吐夢監督「どたんば」(32年)、「森と湖のまつり」(32年)、「飢餓海峡」(39年)、家城巳代治監督「弾丸大将」(35年)、木下恵介監督「笛吹川」(35年)、山本薩夫監督「真空地帯」(27年)「不毛地帯」(51年)、マキノ雅弘監督「昭和残侠伝・血染の唐獅子」(42年)、今井正監督「子育てごっこ」(54年)など多数。◆◆昭和25年に女優山田五十鈴と結婚するが、3年後離婚。33年「米」で共演した22歳年下の中村雅子と再婚。
- 受賞
- シネ・フロント賞(男優賞 昭58年度)「ふるさと」,モスクワ国際映画祭主演男優賞(第13回 1983年度)「ふるさと」 毎日映画コンクール演技特別賞(昭58年度)「ふるさと」
- 没年月日
- 昭和63年 3月1日 (1988年)
- 家族
- 妻=中村 雅子(元女優)
- 伝記
- わが父の愛と修羅 加藤 千代 著(発行元 主婦と生活社 ’89発行)
出典 日外アソシエーツ「新撰 芸能人物事典 明治~平成」(2010年刊)新撰 芸能人物事典 明治~平成について 情報