日本大百科全書(ニッポニカ) 「労働保護政策」の意味・わかりやすい解説
労働保護政策
ろうどうほごせいさく
社会政策体系の一部をなし、具体的には標準労働日の設定や女性・少年労働の保護に始まる。労働組合運動が公認されるや、この保護水準に労働組合が関与し、社会的危機のもとでは協調主義の労働政策体系に包摂される。
女性労働者に対する保護は、1999年(平成11)施行の改正均等法(男女雇用機会均等法)によって大きく変化している。改正均等法の施行によって、女性労働者が就労する職種・職務が広がり、性別による取扱いの差は是正されつつある。しかし、成人男子を含む保護基準がかならずしも高いものでないことと、基準規制が弾力化されたことから、労働条件や労働環境はかえって悪化することにもなり、また、女性労働者の保護規程を生物的性差に限定し、母体保護に絞り込む可能性も高い。
なお、パートタイム労働が非正規労働者として制度的に承認されるとともに、パート労働法(パートタイム労働法ともいう。正式名称は「短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律」)が1993年に制定・施行された。これによって、パートタイム労働の雇用管理の改善が図られることになった。
[三好正巳]
2020年(令和2)4月にはパート労働法の改正法である「パートタイム・有期雇用労働法」(正式名称は「短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律」)が施行され、有期雇用労働者も同法の対象に含まれることとなった。
[編集部 2021年3月22日]