北名古屋(市)(読み)きたなごや

日本大百科全書(ニッポニカ) 「北名古屋(市)」の意味・わかりやすい解説

北名古屋(市)
きたなごや

愛知県北西部にある市。2006年(平成18)、西春日井(にしかすがい)郡師勝町(しかつちょう)、西春町(にしはるちょう)が合併して市制施行、北名古屋市となる。新市名は公募から選択され、世界的にも知名度の高い名古屋の北に位置することをアピールした。濃尾平野のほぼ中央部を占め、大部分が海抜5メートル前後の低平地である。北の岩倉市との境を五条(ごじょう)川が巡るように流れ、東部を合瀬(あいせ)川(木津(こっつ)用水)が南流する。合瀬川は南の名古屋市西区との境で、江戸時代に開削された人工河川の新(しん)川に注ぐ。中央部を南北に名古屋鉄道犬山線が貫き、西端部を国道22号線が南北に通る。市域には古代の条里遺構が多く、九之坪(くのつぼ)の地名も残る。六ツ師(むつし)の地に鎮座する牟都志(むつし)神社は、『延喜式』記載の同名社に比定される。古代末には熱田宮領として「六師里」の地名がみえる。同地は、中世史料では六師(むつし)荘(熊野荘とも)とある。同荘は、1431年(永享3)には京都の公家万里小路家が領家職を有し、年貢を尾張守護代の織田氏が100貫文で請け負っていた。織田信雄分限帳には市域のほとんどの地名がみえ、室町末期には織田氏領となっていた。

 低湿地帯にあり、かつては米作中心の農業地帯であったが、第2次世界大戦後に住宅、工場が進出。名古屋市中心部から10キロメートル圏内に位置し、犬山線と名古屋市営地下鉄鶴舞線が相互に乗り入れるなど、名古屋都心へのアクセスが容易なことから、現在は市街地化が著しい。近郊農業も行われ、特産は沖村(おきむら)地区のイチジク。雛(ひな)人形、五月人形の製造が盛んで、「人形の町」として著名。文化勤労会館にはコンピュータ制御による日本でも最大級のからくり人形がある。天台宗の古刹高田寺(こうでんじ)の本堂本尊の木造薬師如来坐像は国指定重要文化財。六ツ師にある旧加藤家住宅の主屋、長屋門土蔵、北高塀、離れ(茶室)などは国の登録有形文化財。市内に名古屋芸術大学がある。面積18.37平方キロメートル、人口8万6385(2020)。

[編集部]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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