北回帰線(読み)きたかいきせん(英語表記)Tropic of Cancer

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

北回帰線
きたかいきせん
Tropic of Cancer

北緯 23°27′の緯線夏至線ともいう。夏至の日 (6月 21日頃) に太陽がこの線上の真上に達し,この緯線を北限としてやがてしだいに南へ去っていく。この線はサハラ砂漠を横断し,インドのコルカタ (カルカッタ) ,中国のコワンチョウ (広州) の北を通過,台湾の中央部,硫黄島の南を経てメキシコを通り,キューバの北を通過している。気候区分のうえで,この線の北を温帯,南を熱帯と呼ぶこともある。

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デジタル大辞泉の解説

きた‐かいきせん〔‐クワイキセン〕【北回帰線】

地球上の北緯23度26分の緯線。夏至(げし)の日に太陽がこの線の真上に来る。夏至線。→南回帰線
[補説]書名別項。→北回帰線

きたかいきせん【北回帰線】[書名]

《原題Tropic of Cancerヘンリー=ミラーの長編小説。1934年刊。パリを舞台に、作家である主人公の生活と意見を、超現実的手法などさまざまな表現形式を用いて描いたもの。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

北回帰線
きたかいきせん
Tropic of Cancer

アメリカの作家ヘンリー・ミラーの自伝的な反文学の小説。フランスで1934年、アメリカで1961年刊。金がすべてで非芸術的なアメリカ社会に愛想を尽かし、裸同然の無一文でパリに渡ったミラーと芸術家志望の友人たちとのボヘミアン生活を描いたもの。伝統的な意味での登場人物やプロットといったものはなく、できごとの写実的な描写と形而上(けいじじょう)学的な観想、主人公=語り手の独白とが並べて置かれていたりする。ノルウェーの作家ハムスン、フランスのセリーヌ、あるいはアメリカのホイットマン、ソローの影響のもとに、組織に縛られ、偏狭な観念と偏見と恐怖に支配されて「死の生」しか生きることのできない現代社会の人間一般を批判し、新しい生命の根源を歌い上げようとする。その人間の永遠的な普遍の自然に立脚する、けっして若くはない芸術家の「叫び」は、ときには宗教的、神秘的な厳しさをもち、ときにはラブレー的なユーモアをもって、一貫性と構築性のない小説に、内的な一貫性を与えている。[筒井正明]
『大久保康雄訳『北回帰線』(新潮文庫)』

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世界大百科事典内の北回帰線の言及

【回帰線】より

…地球の自転軸は,公転面に立てた垂線に対して23度27分傾いているので,太陽光線が地表に対して垂直に当たる部分は,地球の公転とともに1年の周期で変化する。春分のときは赤道部分であり,時間の経過とともに北側に移動し夏至のとき北の回帰線(北回帰線)上にくる。夏至を過ぎると南に戻り,秋分で赤道上に,さらに冬至には南の回帰線(南回帰線)上に至る。…

※「北回帰線」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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