アメリカの作家ヘンリー・ミラーの自伝的な反文学の小説。フランスで1934年、アメリカで1961年刊。金がすべてで非芸術的なアメリカ社会に愛想を尽かし、裸同然の無一文でパリに渡ったミラーと芸術家志望の友人たちとのボヘミアン生活を描いたもの。伝統的な意味での登場人物やプロットといったものはなく、できごとの写実的な描写と形而上(けいじじょう)学的な観想、主人公=語り手の独白とが並べて置かれていたりする。ノルウェーの作家ハムスン、フランスのセリーヌ、あるいはアメリカのホイットマン、ソローの影響のもとに、組織に縛られ、偏狭な観念と偏見と恐怖に支配されて「死の生」しか生きることのできない現代社会の人間一般を批判し、新しい生命の根源を歌い上げようとする。その人間の永遠的な普遍の自然に立脚する、けっして若くはない芸術家の「叫び」は、ときには宗教的、神秘的な厳しさをもち、ときにはラブレー的なユーモアをもって、一貫性と構築性のない小説に、内的な一貫性を与えている。
[筒井正明]
『大久保康雄訳『北回帰線』(新潮文庫)』
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…地球の自転軸は,公転面に立てた垂線に対して23度27分傾いているので,太陽光線が地表に対して垂直に当たる部分は,地球の公転とともに1年の周期で変化する。春分のときは赤道部分であり,時間の経過とともに北側に移動し夏至のとき北の回帰線(北回帰線)上にくる。夏至を過ぎると南に戻り,秋分で赤道上に,さらに冬至には南の回帰線(南回帰線)上に至る。…
※「北回帰線」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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