ロシア沿岸の北極海を通る欧州と北東アジアの間の最短航路。冬季は氷に閉ざされ、夏季も氷が残るため耐氷船を用い、砕氷船を伴って航行する。アイスランドと日本の間は北極海経由なら1万3千キロ前後で、スエズ運河経由より約1万キロ、南アフリカ回りより1万5千キロ前後短く、時間や燃料が節約できるが、伴走する砕氷船などのコストもかさむ。海洋政策研究財団によると、2014年に同航路を通った船は61隻。拡大基調だった近年では初めて、前年(71隻)を下回った。(共同)
更新日:
出典 共同通信社 共同通信ニュース用語解説共同通信ニュース用語解説について 情報
ヨーロッパとアジアを北極海を通って結ぶ船舶航路。かつて北極海は年間を通じて凍結していたため航行できなかったが、地球温暖化などの影響で夏期に氷が解けるようになったため、本格的な商業利用が現実味を帯びてきた。北極海航路を利用したヨーロッパと日本の主要港間の航行距離は1万2000~1万3000キロメートル。スエズ運河経由(約2万キロメートル)やケープ・タウン経由(約3万キロメートル)より短く、輸送時間の短縮や使用燃料の大幅節減を実現できる。国際紛争や海賊出没などの問題があるマラッカ海峡やソマリア沖などを運航しなくてすむ利点もある。また、地球上の未発見資源のうち、天然ガスの30%、原油の13%が北極海に存在すると推計されており、北極海航路が実現すれば、世界の海運経路が一変するだけでなく、世界規模の資源開発が進むと期待されている。
北極海航路は大航海時代から構想があったが、1878年、蒸気船ベガ号がスウェーデンから北極海を経て日本の横浜港へ着いたのが、初の航行とされる。1990年代には日本やロシア、ノルウェーが共同で、北極海航路の経済性や国際法のあり方、氷海用船舶設計などを研究したが、その後、大きな進展はなかった。しかし海氷の減少もあって、2011年にロシアのプーチン首相が北極海航路を世界的な海運経路として整備するよう指示するなど、欧米諸国が関心を寄せている。
2011年(平成23)には、三光汽船の貨物船が日本の商船として初めて、大西洋から北極海航路経由で太平洋に出ることに成功した。極東アジアのハブ港の地位は、韓国の釜山(ふざん/プサン)港が占めているが、北極海航路が商業利用できれば、日本海側の日本の港がハブ港の地位を奪回できるのではないかとの期待がある。しかし北極海航路が利用できる期間は現在、夏場の数か月に限定されるうえ、商業船舶の航行には砕氷船を先導させる必要があり、氷海用の特殊な船舶構造が必要となるなど、実用化にはさまざまな課題もある。
[編集部]
《〈和〉doctor+yellow》新幹線の区間を走行しながら線路状態などを点検する車両。監視カメラやレーザー式センサーを備え、時速250キロ以上で走行することができる。名称は、車体が黄色(イエロー)...
12/17 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
11/21 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新