十二イマーム派(読み)じゅうにイマームは

大辞林 第三版の解説

じゅうにイマームは【十二イマーム派】

イスラム教シーア派中、最大の宗派。イランで支配的。ムハンマドの女婿で従兄弟のアリーからムハンマド=マハディに至る一二人を教主(イマーム)と認める。

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百科事典マイペディアの解説

十二イマーム派【じゅうにイマームは】

イスラムのシーア派最大の派。ジャーファル法学派とも。16世紀のサファビー朝以来イラン国教的存在。ほかにイラク南部,ペルシア湾岸,レバノン,インド,パキスタンなどにも分布する。ムハンマドの血縁であるアリーを初代イマームとして,この男系を12代まで認める。9世紀に12代イマームは〈隠れ〉たとし,世界の終末に再臨して正義を行うとする。イマームが隠れている間は法学者がイマームの意図を知ってウンマ(イスラム共同体)を導く。このため法学者が最高権威として認められ,その学識に応じてホジャトル・イスラム,アーヤトッラー,マルジャエ・タクリードなどと呼ばれる。
→関連項目イランホメイニー

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世界大百科事典 第2版の解説

じゅうにイマームは【十二イマーム派 Ithnā ‘Asharīya】

シーア派内の主要宗派。スンナ派の正統四法学派と並んで,第6代イマーム,ジャーファル・アッサーディクJa‘far al‐Ṣādiq(699ころ‐765)にちなみジャーファル法学派と呼ぶこともある。サファビー朝同派を国教として以来,現代に至るまでイランにおいて支配的である。そのほか,イラク南部,ペルシア湾岸,レバノン南部,インド,パキスタンなどにも同派が分布する。アリーを初代イマームと認め,第2代ハサン,第3代フサインをたて,この男系子孫を第12代ムハンマド・アルムンタザルMuḥammad al‐Muntaẓarまでたどる。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

十二イマーム派
じゅうにいまーむは

イスラム教シーア派のなかの一派。シーア派のなかで最大の信者をもち、サファビー朝以来イランの国教とされ、そのほかイラク、レバノンなどに信者がいる。預言者ムハンマド(マホメット)の従兄弟(いとこ)かつ女婿(じょせい)のアリー(600ころ~661)に始まり、ムハンマド・マハディーに至る12人をイマーム(教主)と認めるところに、その名は由来する。最後のイマームが874年に突如人々から身を隠して(ガイバ)以来、この「隠れイマーム」がふたたび出現し、正義と公正で世界を満たすことを待ち続けている。この再臨に至るまでは、ムジュタヒドとよばれる法学者・神学者たちがイマームの名代として宗教上の権威をもつ。一時婚、イマームへの上納金など、スンニー派と異なる法学や合理主義的な神学を発展させ、また独自の神秘哲学を生んだ。[鎌田 繁]

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世界大百科事典内の十二イマーム派の言及

【イスラム】より

…哲学者はいよいよ純粋に自らの理論をたどり,神学者は哲学者を危険視し始めた。しかし,イブン・ルシュドを最後にムスリムのアリストテレス学派の伝統は絶え,その後はイブン・アルアラビーの神智学と,スフラワルディーの照明哲学の結びついた十二イマーム派の神学的哲学が,イラン世界で独自の発展をとげたため,イスラムにあっては,啓示と理性とのぎりぎりの対決は回避された。 イスラム神秘主義の起源については学者によって意見が分かれ,ある者は外来の要素を重視し,他の者は内的発展の立場に立つ。…

【シーア派】より

…イマームを神格化する派は極端派(グラートGhulāt)と呼ばれ,カルマト派,ヌサイリー派(アラウィー派)がある。これに対し十二イマーム派は穏健な立場をとり,フサインの子孫にイマームをたどり,隠れイマームのガイバの期間は,その意志は宗教法学者ムジュタヒドによって解釈され,また政治的にもムジュタヒドによる指導が行われるべきだという立場をとる。
[儀礼]
 シーア派の主要宗派十二イマーム派は,イスラム法の基本的実践についてはスンナ派とほぼ共通している。…

【ホメイニー】より

…79年イラン革命の象徴的存在としてフランスより帰国。イマーム・マフディーの〈隠れ〉の期間は,最も優れた宗教法学者に国の指導権がゆだねられるべきであるとする十二イマーム派のベラーヤテ・ファキーの理念に基づき,イラン・イスラム共和国の最高指導者となった。【加納 弘勝】。…

【ワキール】より

…たとえばシーア派では,イマームは個人的な代理人(ワキール)を使って信徒たちと連絡を取り合うことがしばしばあった。ことに十二イマーム派では,12代目イマームのムハンマド・アルムンタザルがこの世から隠れ(ガイバ)てしまってからは,イマームに代わってワキールがこの派の代表者の役割を果たした。 イスラム法のある分野では,法的な代理制度(ワカーラ)を認め,ワキールは法的代理人という意味で使われるようになった。…

※「十二イマーム派」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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