千羽鶴(読み)センバヅル

デジタル大辞泉 「千羽鶴」の意味・読み・例文・類語

せんば‐づる【千羽鶴】

折り鶴を数多く糸に通して連ねたもの。瑞鳥の鶴が千羽そろうのを吉として、社寺に奉納する風習があり、現在では慰安病気見舞いなどに人に贈ることも多い。
多数の鶴を表した模様。
[補説]書名別項。→千羽鶴

せんばづる【千羽鶴】[書名]

川端康成による連作短編小説。昭和24年(1949)から昭和26年(1951)にかけて、雑誌「読物時事別冊」「小説公園」「別冊文芸春秋」に断続的に発表。志野茶碗を象徴的モチーフとしながら、男女愛欲を幻想的に描いた作品続編に「波千鳥」がある。

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精選版 日本国語大辞典 「千羽鶴」の意味・読み・例文・類語

せんば‐づる【千羽鶴】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 折り鶴を数多く糸に通してつらねたもの。
    1. [初出の実例]「千羽鶴いたちごっこのように折り」(出典:雑俳・柳多留‐一〇二(1828))
  3. 模様などに数多くの鶴を染め出したもの。
    1. [初出の実例]「うはぎのお小袖は、千代を染込松葉色、松にむれゐる千羽鶴」(出典:浄瑠璃・傾城島原蛙合戦(1719)五)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「千羽鶴」の意味・わかりやすい解説

千羽鶴
せんばづる

千羽の折り鶴を糸でつないだものや、千羽のツルを描いた絵、また模様などに数多くの鶴を染め出したものをいう。日本では昔から鶴はめでたい鳥とされ、それが千羽そろったのをことさらに吉兆とした。千羽は多数の意で、かならずしも正確な数をいうのではない。起源は明らかでないが、いまも古い社(やしろ)に奉納されている昔の額などに千羽鶴の絵をみることができる。また、折り鶴を祈願の意で社寺に奉納する風もあった。最近は社寺だけでなく、幸福の祈願と、慰安や祝福の意を込めて、病気や不幸を負っている人に贈ることが行われる。

[丸山久子]

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デジタル大辞泉プラス 「千羽鶴」の解説

千羽鶴

①川端康成の連作短編小説。1949年から1951年にかけて断続的に発表。
②1953年公開の日本映画。①を原作とする。監督:吉村公三郎、脚本:新藤兼人、撮影:宮川一夫。出演:木暮実千代乙羽信子、木村三津子、杉村春子清水将夫、森雅之、英百合子ほか。第7回毎日映画コンクール撮影賞、第3回ブルーリボン賞撮影賞受賞。
③1969年公開の日本映画。①を原作とする。監督:増村保造、脚色:新藤兼人。出演:平幹二朗、若尾文子、梓英子、京マチ子、南美川洋子、船越英二、新宮信子、北林谷栄ほか。

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[日本酒・本格焼酎・泡盛]銘柄コレクション 「千羽鶴」の解説

せんばづる【千羽鶴】

大分の日本酒。酒名は、昭和26年(1951)取材で久住を訪れた川端康成と蔵元当主との間に親交が生まれ、小説「千羽鶴」からとって命名。純米大吟醸酒、大吟醸酒、純米吟醸酒、純米酒などがある。平成12、13、16、18、19、24、25年度全国新酒鑑評会で金賞受賞。原料米はこいごころ、山田錦。仕込み水は久住山の伏流水。蔵元の「佐藤酒造」は大正6年(1917)創業。所在地は竹田市久住町大字久住。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「千羽鶴」の意味・わかりやすい解説

千羽鶴
せんばづる

川端康成の長編小説。 1949年5月から 51年 10月にかけて断続発表。後編が『浪千鳥』 (1953~) として書き継がれたが,未完に終った。美しい未亡人とその娘を軸に織りなされる人間関係を描いて,女性の愛と罪業の深さを浮彫りにする。日本の伝統美と抒情との融和した佳作。

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世界大百科事典(旧版)内の千羽鶴の言及

【千人針】より

…この形式は古くからの民間に行われた個人の危機にのぞんで多数が力を合わせて,その個人を救おうとする方法であった。古くは百度参りや千垢離(せんごり)祈願がこれにあたり,第2次大戦後は病気平癒を見舞う千羽鶴を折って贈る風習につながる。要は危機,不安を多数の合力によって防ぎ払おうとするところに意義を認めようとする表現で,千というのは多数を象徴する数である。…

※「千羽鶴」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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