浜田市(読み)ハマダシ

デジタル大辞泉 「浜田市」の意味・読み・例文・類語

はまだ‐し【浜田市】

浜田

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

日本歴史地名大系 「浜田市」の解説

浜田市
はまだし

面積:一六二・四二平方キロ

石見地方の中央部に位置し、北は日本海に面する。東は江津市、西は那賀郡三隅みすみ町、南は同郡金城かなぎ町・弥栄やさか村。市域の南境には雲城くもぎ(六六七・六メートル)いさり(七一四・三メートル)大麻たいま(五九九メートル)など標高六〇〇―七〇〇メートルの山々がある。これらの山地を下府しもこう川・浜田川・周布すふ川が流れて細い谷をつくって海に注ぎ、河口部に小さな沖積平野を形成している。海岸線は約五五キロに及び、浜田海岸県立自然公園がある。リアス海岸は天然の良港を形成して古くから栄えた。交通は中国縦断自動車道から分岐する中国横断自動車道広島―浜田線(浜田自動車道)、海岸線に沿う国道九号・JR山陰本線、広島県芸北げいほく町に出る国道一八六号などがある。浜田の地名は嘉吉三年(一四四三)から文安元年(一四四四)の間に書写されたといわれる当地宝福ほうふく寺所蔵の大般若経奥書にみえる。また市域は浜田市成立以前はすべて那賀郡に属した。

〔原始〕

中国山地の北縁が海岸に迫る市域では、東部の下府川と西部の周布川の下流にまとまった遺跡の分布がみられる。そのなかで年代的に最もさかのぼるのは日脚ひなし遺跡である。周布川河口近くの丘陵上にある同遺跡では縄文時代早期後葉から前期初めの焼石炉・貯蔵穴・落し穴などが発見され、小規模な集落が断続的に営まれたと推定されている。縄文時代中期の遺跡には当市に隣接する江津市波子はし町に波子遺跡がある。後期から晩期にかけては河川の下流域などにも点々と集落が現れ、波子遺跡もその一つである。弥生時代の遺跡では鰐石わにいし遺跡と上条かみじよう遺跡が著名である。前者は弥生前期の墓地遺跡として知られるが、遺跡の立地個所・出土遺物の内容から弥生時代前半期の大規模な集落遺跡であった可能性が高い。石見地方への弥生人の進出を探るうえで重要な遺跡である。後者は銅鐸出土地として知られる。下府平野の弥生集落群の地域的まとまりを象徴する遺跡であり,扁平鈕式銅鐸分布圏の西限を画する遺跡でもある。そのほかこの時代の遺跡の存在は断片的な弥生土器の出土などによって認めることはできるが、内容のはっきりしたものは今のところない。古墳は周布古墳とめんぐろ古墳が県下の代表的な古墳にあげられている。いずれも周布平野の西側丘陵にあり,前者は中期型の大型前方後円墳として、後者は初期の横穴式石室墳として、石見地方はもとより山陰地方でもその出土品も含め注目されている。また先の日脚遺跡では横穴式石室をもつ古墳群や五世紀末から六世紀初めの須恵器窯が発見されている。


浜田市
はまだし

2005年10月1日:浜田市と那賀郡旭町・弥栄村・金城町・三隅町が合併
【旭町】島根県:那賀郡
【金城町】島根県:那賀郡
【弥栄村】島根県:那賀郡
【三隅町】島根県:那賀郡
【浜田市】島根県

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「浜田市」の意味・わかりやすい解説

浜田〔市〕
はまだ

島根県西部,日本海に臨む市。海沿いはリアス海岸で景観に恵まれ,良港も多い。冠山山地の北側斜面に位置し,丘陵地や山地が市域のほとんどを占める。1940年市制。1955年井野村,大麻村の一部,1969年国府町を編入。2005年金城町,町,弥栄村,三隅町の 4町村と合体。鎌倉時代以後,大陸貿易が行なわれ,元和5(1619)年古田氏が築城,5万石の城下町として発展。明治以後は港町として栄え,1892年には貿易港となり,神戸税関の支署が設置された。帆船時代には日本海を航行する多くの船が寄港した浜田漁港は,近代においても県下有数の漁港。缶詰,かまぼこなどの水産加工業が盛んで,付近には県の水産試験場や水産加工団地などがある。その西側には 1957年に重要港湾の指定を受けた浜田商港がある。伝統工業の石州半紙(→半紙和紙)は国の重要無形文化財に指定,2009年世界無形遺産に登録。周布の木工団地では木材加工が行なわれる。付近には周布古墳,国分寺には下府廃寺塔跡,石見国分寺跡(いずれも国指定史跡)があり,市街地北西部に浜田城跡の石垣が残る。西部の三隅大平ザクラは国指定天然記念物。海岸は国指定天然記念物の石見畳ヶ浦を中心に浜田海岸県立自然公園に,南部の大佐山一帯は西中国山地国定公園に属する。JR山陰本線,国道9号線,186号線が通じ,浜田自動車道のインターチェンジがある。面積 690.68km2。人口 5万4592(2020)。

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