卍元師蛮(読み)マンゲンシバン

デジタル大辞泉 「卍元師蛮」の意味・読み・例文・類語

まんげん‐しばん【卍元師蛮】

[1626~1710]江戸前期の臨済宗の僧。相模の人。日本の僧の伝記編纂発願。三十余年諸国を歩いて資料を収集し、「延宝伝灯録」「本朝高僧伝」などを著した。

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精選版 日本国語大辞典 「卍元師蛮」の意味・読み・例文・類語

まんげん‐しばん【卍元師蛮】

  1. ( 江戸前期の臨済宗の僧 ) ⇒しばん(師蛮)

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改訂新版 世界大百科事典 「卍元師蛮」の意味・わかりやすい解説

卍元師蛮 (まんげんしばん)
生没年:1626-1710(寛永3-宝永7)

江戸中期の臨済宗の禅僧。卍元は号で,また独師とも称す。相模の生れで,俗姓熊沢氏。18歳のとき出家し,妙心寺第232世住持の黙水竜器の法を継いだ。1679年(延宝7)美濃加納の盛徳寺を再興し,常陸清音寺や京都の盛徳寺に住持するなどして,世寿85をもって寂するが,その間に二つの僧伝を著し,妙心寺の学僧として知られている。僧伝編纂を志した師蛮は,30余年に及ぶ長期にわたって資料を集め,まず1678年に日本の臨済宗と曹洞宗の禅僧および居士など1000余人の僧伝を収める《延宝伝灯録》41巻を著し,ついで,1702年(元禄15)には各宗の名僧1662人の伝記を収録する《本朝高僧伝》75巻を著した。《延宝伝灯録》は06年(宝永3),《本朝高僧伝》は07年にそれぞれ刊行された。また,《東国高僧伝弾誤》10巻の著があり,中世における凝然(ぎようねん)や虎関師錬(こかんしれん)とならぶ屈指の日本仏教史研究者である。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「卍元師蛮」の意味・わかりやすい解説

卍元師蛮
まんげんしばん
(1626―1710)

江戸時代の臨済(りんざい)宗の学僧。独師とも号す。俗姓は熊沢氏。相模(さがみ)(神奈川県)の人。18歳で出家し、妙心寺232世黙水龍器(もくすいりゅうき)の法を嗣(つ)ぐ。早くから僧伝編纂(へんさん)の志を抱き、三十余年の資料収集ののち、1678年(延宝6)臨済・曹洞(そうとう)両宗の禅僧約1000名の伝を編んだ『延宝伝燈録(えんぽうでんとうろく)』41巻を著し、ついで1702年(元禄15)1662名の伝を収めた『本朝高僧伝』75巻を刊行した。また『東国高僧伝弾誤(だんご)』10巻の著述がある。美濃加納(みのかのう)(岐阜市)の盛徳(せいとく)寺に葬る。塔(墓標)を海雲塔という。

[鈴木格禪 2017年10月19日]

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朝日日本歴史人物事典 「卍元師蛮」の解説

卍元師蛮

没年:宝永7.2.12(1710.3.11)
生年:寛永3(1626)
江戸前期の臨済宗の僧。相模(神奈川県)生まれ。俗姓は熊沢。18歳で出家し,黙水竜器の法を嗣いだ。延宝7(1679)年,美濃(岐阜県)の盛徳寺を再興したあと,常陸(茨城県)清音寺,京都妙心寺塔頭盛徳院に歴住した。足跡で重要なのは,資料集めに30年余をかけて僧伝を編纂したことである。延宝6年,宋の道原の『景徳伝燈録』に準じて約1000人の禅僧の伝記を収めた『延宝伝燈録』41巻を,元禄15(1702)年,1662人の伝記を収めた『本朝高僧伝』75巻を完成させ,次いで『東国高僧伝弾誤』10巻を著した。鎌倉期の『元亨釈書』の著者虎関師錬と並び2大仏教史家と称される。

(藤田正浩)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「卍元師蛮」の解説

卍元師蛮 まんげん-しばん

1626-1710 江戸時代前期-中期の僧。
寛永3年生まれ。京都の臨済宗(りんざいしゅう)妙心寺の黙水竜器(もくすい-りゅうき)の法をつぐ。美濃(みの)(岐阜県)盛徳寺を再興。常陸(ひたち)(茨城県)清音寺,妙心寺盛徳院などの住持をつとめ,「延宝伝灯録」「本朝高僧伝」などをあらわした。宝永7年2月12日死去。85歳。相模(さがみ)(神奈川県)出身。俗姓は熊沢。別号に独師。

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世界大百科事典(旧版)内の卍元師蛮の言及

【延宝伝灯録】より

…妙心寺派の禅僧卍元師蛮(まんげんしばん)が,資料収集に30余年を費やし,1678年(延宝6)に著した禅僧の伝記。全41巻。…

【本朝高僧伝】より

…臨済宗の卍元師蛮(まんげんしばん)が1702年(元禄15)に著した日本で最も浩瀚(こうかん)な高僧伝。75巻。…

※「卍元師蛮」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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