本朝高僧伝(読み)ほんちょうこうそうでん

精選版 日本国語大辞典 「本朝高僧伝」の意味・読み・例文・類語

ほんちょうこうそうでん ホンテウカウソウデン【本朝高僧伝】

江戸中期の仏教書、伝記。七五巻。卍元師蛮(まんげんしばん)著。元祿一五年(一七〇二成立宝永四年(一七〇七)刊。広く諸資料をさぐり、各宗派にわたって、一六六二人の高僧諸神の伝記を載せる。

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デジタル大辞泉 「本朝高僧伝」の意味・読み・例文・類語

ほんちょうこうそうでん〔ホンテウカウソウデン〕【本朝高僧伝】

江戸中期の仏教書。75巻。卍元師蛮まんげんしばん著。元禄15年(1702)成立。日本の各宗の高僧1600余人の伝記を収めたもの。

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改訂新版 世界大百科事典 「本朝高僧伝」の意味・わかりやすい解説

本朝高僧伝 (ほんちょうこうそうでん)

臨済宗卍元師蛮(まんげんしばん)が1702年(元禄15)に著した日本で最も浩瀚(こうかん)な高僧伝。75巻。中国の高僧伝を参考に,法本,浄慧,浄禅,感進,浄律,檀興,浄忍,遠遊,読誦(どくじゆ),願雑の10科に分類して,古代から近世に至るまで各宗の僧ら1662人の伝記を収める。師蛮は若くして僧伝の編集を志し,史料の探訪に努め,1678年(延宝6)に禅僧の伝記集である《延宝伝灯録》41巻を著し,さらに各宗におよぶ完全な僧伝として本書を編集した。豊富な史料を公正に駆使し,洗練された文章で記述している点は,日本の数ある僧伝の中の白眉である。ただ,浄土真宗と日蓮宗の僧に関してはほとんど触れていない。なお本書に続くものとして,真言宗道契(どうかい)が1867年(慶応3)に著した《続日本高僧伝》11巻がある。
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百科事典マイペディア 「本朝高僧伝」の意味・わかりやすい解説

本朝高僧伝【ほんちょうこうそうでん】

江戸中期の仏書。高僧伝の一つ。著者は臨済宗の卍元師蛮(まんげんしばん)。75巻。1702年成立。《元亨(げんこう)釈書》の欠を補うため,広く史料を集め,古代からの1662人の僧の伝記を収める。依拠した史料を掲げ,最も整備された僧伝であるが,日蓮宗・浄土真宗の僧は一人も入っていない。本書に続くものに1867年の道契(どうけい)著《続日本高僧伝》11巻がある。

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「本朝高僧伝」の解説

本朝高僧伝
ほんちょうこうそうでん

仏教渡来以来の日本の高僧の行跡を書き記した一大伝記集成。76巻(目録1巻)。卍元師蛮(まんげんしばん)著。中国の梁・唐・宋の3高僧伝にならい,虎関師錬(こかんしれん)の「元亨(げんこう)釈書」の欠を補う全日本仏教の僧伝の編纂を企図し,25年を費やして1702年(元禄15)に完成。10科に分類し,一向宗と日蓮宗を除く662人を収載し,07年(宝永4)開版した。「大日本仏教全書」所収。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「本朝高僧伝」の意味・わかりやすい解説

本朝高僧伝
ほんちょうこうそうでん

日本の僧侶の伝記。師蛮著。 75巻。元禄 15 (1702) 年成立。総目,巻首,本文で構成され,1664人の人々についての伝記が記されている。三論,法相,倶舎,成実,華厳,律,顕,密,禅,浄土に関する高僧の伝記のほかに,明神,仙人,高徳な人の伝記も載せているが,親鸞と日蓮については触れていない。資料が豊富でしかも公正に使用しているところから,日本仏教史の研究には不可欠の書。

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世界大百科事典(旧版)内の本朝高僧伝の言及

【高僧伝】より

… つぎに高麗・覚訓撰《海東高僧伝》2巻は,仏教を朝鮮に流通させた諸高僧の伝であり,日本にのみ伝存された朝鮮佚書の一つでもある。日本については,聖徳太子伝を巻首におくとともに道昭より天海にいたる僧伝たる性潡撰《東国高僧伝》10巻のほか,より完備したものとして師蛮撰《本朝高僧伝》75巻とそれにつづく道契撰《続日本高僧伝》11巻が,いずれも《大日本仏教全書》に収められている。なお唐の義浄撰《大唐西域求法高僧伝》1巻は,中国より求法のためにインドに赴いた60余人の僧侶たちの伝記であり,高僧伝とは称さないが,比丘尼の事跡を収録した梁の宝唱撰《比丘尼伝》なども,一種の高僧伝とみてよかろう。…

※「本朝高僧伝」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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