日本大百科全書(ニッポニカ) 「南種子」の意味・わかりやすい解説
南種子(町)
みなみたね
鹿児島県熊毛郡(くまげぐん)にある町。種子島(たねがしま)の南部を占め、町名もこれに由来する。1956年(昭和31)町制施行。なだらかな丘陵が広がり、南部は沖積地が開け、早場米の水田地帯となっている。国道58号が通じ、島間(しまま)港から屋久(やく)島の宮之浦(みやのうら)へカーフェリーが連絡している。歴史が古く、弥生(やよい)時代から古墳時代移行期にかけての広田遺跡(国史跡)からは、土器や人骨などの遺物とともに、「山」の文字を刻んだ貝符(かいふ)も出土。中世以降、種子島氏の支配下。1543年(天文12)門倉崎(かどくらざき)に南蛮船が漂着、鉄砲伝来の地として有名。農業がおもな産業で、米、サトウキビ、サツマイモ、柑橘(かんきつ)類の栽培が盛んである。茎永(くきなが)にある宇宙航空研究開発機構の種子島宇宙センターには、ロケット発射場のほか宇宙科学技術館があり、門倉岬から延びる砂丘海岸とともに重要な観光資源である。県無形民俗文化財として蚕(かいこ)舞、座敷舞があり、宝満(ほうまん)神社の赤米の御田植祭は国指定重要無形民俗文化財。面積110.36平方キロメートル、人口5445(2020)。
[平岡昭利]
『『南種子町郷土史』(1960・南種子町)』