古史伝(読み)コシデン

デジタル大辞泉 「古史伝」の意味・読み・例文・類語

こしでん【古史伝】

江戸後期の史論書。37巻。平田篤胤ひらたあつたね著。文政8年(1825)成立自著神代史「古史成文」に注釈を加え、著者の神道思想を詳しく述べたもの。

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精選版 日本国語大辞典 「古史伝」の意味・読み・例文・類語

こしでん【古史伝】

  1. 江戸後期の注釈書。三七巻。平田篤胤(あつたね)著。文政八年(一八二五)成立。篤胤が記紀等における上代神話、伝説の類を整理して編んだ神代史「古史成文」に注解を加えたもので、同趣の書「古史徴」とともに、著者の神国思想を伝える書。未定稿であったが、養嗣子鉄胤(かねたね)矢野玄道校訂続稿を行なった。

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改訂新版 世界大百科事典 「古史伝」の意味・わかりやすい解説

古史伝 (こしでん)

平田篤胤(あつたね)の国学書。1812年(文化9)ごろ初稿が成ったが,生前未完,死後門人の手で完成された。全37巻。本居宣長の《古事記伝》にならって,みずから正史として撰した《古史成文》に下した注釈書である。篤胤は宣長のように本文批判には忠実でなく,《古史成文》は《古事記》《日本書紀》などの本文を任意に取捨選択したテキストであり,本書の注釈態度にもきわめて独断的な傾向がある。
古史徴
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「古史伝」の意味・わかりやすい解説

古史伝
こしでん

平田篤胤(あつたね)の著書。37巻。1811年(文化8)に書き始められたが生存中には28巻まで。あとは矢野玄道がまとめた。本居宣長(もとおりのりなが)の『古事記伝』を模するが、神代(じんだい)に限られ、篤胤が神話、伝説などを用いて自作した本文に注をつける形式による。内容は『霊(たま)の真柱(みはしら)』の主張を推し進めたものであるが、注目すべきは『霊の真柱』では大国主(おおくにぬし)神による幽政は天皇の顕政に従属するとされていたのが、本書では、此世(このよ)は「寓世(かりのよ)」で、「幽世(かくりよ)」こそが「本世(もとつよ)」であると変わっていることである。そこには篤胤自身が示唆するごとく、天主教書の影響がみられるとの説が有力である。

[田原嗣郎]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「古史伝」の意味・わかりやすい解説

古史伝
こしでん

平田篤胤がみずから集めた『古史成文』 (1811) の注釈書。 37巻。文化8 (1811) 年に着手,篤胤の死後,この事業はさらに子孫,門弟に受継がれ,出版し終ったのは 1887年で,神代史に対する体系的な解説,私見を披瀝した研究書である。『平田篤胤全集』所収。

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