(読み)しかり

  • いさか・う いさかふ
  • いさ・う いさふ
  • いさ・ぶ
  • しっ・す
  • しっ・する

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

江戸時代,庶人に科せられた刑罰の一つ。奉行がこれを言い渡し,与力が差添人 (さしぞえにん) 連印の請書を取って放免するもの。罰としては最も軽い。これよりやや重いものに急度 (きっと) 叱がある。『公事方御定書』の規定では,田畑永代売の証人前者が,江戸 10里四方ならびに御留場,および関八州で鉄砲を隠し持っていた村方に後者が,それぞれ科せられることになっている。なお,明治政府もこれを踏襲し,刑名としてではないが,1873年の改定律例において,先例を成文化し,「所犯きわめて軽く,罪懲役 10日に及ばざる者は,ただ呵責 (しかり) して放免す」と定めている。 81年 12月 31日廃止。

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世界大百科事典 第2版の解説

江戸時代の刑罰の一種。公的に叱責して罪をとがめるだけのごく軽い制裁。幕府は叱と急度叱きつとしかり)の軽重2段階を設け,諸刑罰中の最も軽い刑として武士にも庶民にも適用した。庶民の場合,役所の白洲で奉行,代官などから直接申し渡され,同道の差添人ともども落着(らくちやく)請証文に押印させた。明治維新後も改定律例(1873)が呵責(かせき)の刑を規定していたが,旧刑法施行(1882)にともない廃止された。

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精選版 日本国語大辞典の解説

〘他ハ四〙 しかる。責める。
※平中(965頃)二四「さる間に、この女の親、けしきや見けむ、くぜち、まもり、いさかひて」
※十訓抄(1252)七「客人の前には犬をだにもいさかふまじとこそ文にも見えたれ」
〘他バ四〙 しかる。とがめる。非難する。
※大智度論平安初期点(850頃か)一四「金剛力士、瞋りの目をもちて之を比(叱)(イサヒ)き」
※随筆・折たく柴の記(1716頃)上「まして人を叱(イサ)ひ給ふにも、あらあらしきことのたまひし事は聞かず」
[語誌](1)平安時代の訓点資料に散見し、和文に見出し難い語。和文には「いさむ(諫)」が用いられ、これとの音韻交替で成立した語と推定される。
(2)院政期に「イサフ」と清音に発音されるようになり、ハ行転呼によって「イサウ」、室町時代末期からは合音化して「イソウ」と変化したものと考えられる。
[1] 〘自サ変〙 しっ・す 〘自サ変〙 舌打ちをする。
[2] 〘他サ変〙 しっ・す 〘他サ変〙 しかる。しかりつける。
※正法眼蔵(1231‐53)心不可得「ちなみに国師すなはち三蔵を叱していはく」
〘他ハ四〙 ⇒いさぶ(叱)
〘自他サ変〙 ⇒しっする(叱)

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