簡易裁判所(以下簡裁と略す)に特有の要員。民事訴訟の審理に立ち会って意見を述べ,また和解を勧める際に裁判官の補助を務めることを任務とする(民事訴訟法279条)。しかし裁判の評決自体に加わるのでない点,陪審員等とは異なる。手続を民衆に親しみやすくし,裁判に社会良識を反映させるねらいから設けられたもので,専門の法律家としての資格を要することなく,良識のある者が選ばれるべきことになっている(司法委員規則1条)。実際の事件処理にあたり司法委員を用いるかどうかは,裁判所がそのたびごとに裁量で決するのであり,簡裁手続だから必ず司法委員が活動するというのではない。近年の実績では司法委員が関与した事件は1%ほどしかない。
司法委員と同様の位置を占める存在として家庭裁判所に参与員が置かれている。また主として簡裁で活動する調停委員も,その社会的基盤に共通するものがある。司法委員は簡裁手続の要員であるが,地方裁判所が簡裁裁判官の意見を聴いて毎年あらかじめ選任しておき,その中から事件ごとに裁判所が指定する。
執筆者:住吉 博
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
簡易裁判所で行われる民事手続において、和解を補助したり、あるいは審理に立ち会って意見を述べる民間人(民事訴訟法279条)。陪審員や参審員と異なり、裁判に関与するわけではないが、社会良識を裁判に反映させ、親しみやすい手続を実現する趣旨から認められている。地方裁判所が、毎年あらかじめ良識のある者、その他適当と認められる者のなかから、1簡易裁判所につき10人以上の割合で選任することになっている(司法委員規則1条、3条)。そのなかから各事件につき1人以上が指定されるが、司法委員を利用するか否かは裁判所の裁量にゆだねられており、あまり利用されていないのが実情である。
[大出良知]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…この〈司法事務に携わる者〉に該当するのは,裁判所書記官が典型であるといえる。
[司法委員,民事調停委員]
さらに簡易裁判所の特色は,裁判官のほかにその補助要員として司法委員,民事調停委員が置かれているところにも一つ見いだされる。これらの委員は,必ずしも法律専門家であることが資格要件とはされていない(しかし,弁護士が民事調停委員に任命されることも少なくない)。…
※「司法委員」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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