複数の中小零細企業の労働者が企業や地域の枠を越え、合同して組織した労働組合。合同労働組合は第二次世界大戦前には産業別組合へ至る前の組織形態としてあったが、現在のそれは、産業別組織がいちおう整理され、それが企業別に組織されている労働組合に対して、企業別に組織することの困難な中小企業、とりわけ零細企業の労働者を対象とした組合をさす。1950年(昭和25)11月、日本労働組合総同盟(総同盟)第5回大会が中小零細企業における未組織労働者の組織化を提唱し、54年の日本労働組合総評議会(総評)大会が中小企業未組織労働者の組織化の重要性を強調して以来、全国にその結成をみている。したがって、合同労働組合は既存の組合の合同ではなく、未組織労働者が企業、地域の枠を越えて産業別に結集し、個人加盟制を組織構成の原則とするが、零細企業の場合には団体で加盟することもある。
従来の合同労働組合の労働者を産業別に分けると、電機、金属、土建、印刷、食品など多岐にわたっている。最近では単産自身がその下部組織として、たとえば全国金属労働組合(全国金属)や全国印刷出版産業労働組合総連合会(全印総連)などのように、産業別の地域的合同労働組合を積極的に組織する姿勢がみられる。日本の合同労働組合は、既存の職業別労働組合がその機能や活動領域を広げるため関係企業と合同をした欧米のそれとは違い、あくまでも未組織労働者の組織化の点にその主眼が置かれていることに特徴がある。
[吉田健二]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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