奈良時代の学者官僚吉備真備(きびのまきび)が遣唐使として入唐したときの不思議な説話を1巻(現在は4巻に分離)6段に描いた絵巻。制作は12世紀末から13世紀初と考えられる。同じ説話は大江匡房の《江談抄》にあり,この絵巻ももとはさらに帰国までの話を描いた1巻があったと思われる。内容は,唐土に着くなり高い楼上に幽閉された真備のところに,阿倍仲麻呂の霊が化した鬼が現れ,真備の威に服して助力を約束する。唐人は真備の才学を試すため,《文選》の解読,囲碁の勝負の難題を課するが,そのたびに仲麻呂の幽鬼に助けられて切り抜けるというもの。画面は唐土の風物を巧みに描いて平安時代の唐絵の系統をうけついでいるが,各段とも高楼から唐の王宮までを同一パターンで何度も繰り返すなど変化に乏しく,唐人を描く抑揚のある筆致や鮮やかな彩色なども《伴大納言絵巻》の技法と共通性はあるが,やや表現の崩れや硬さがみられ,先行作品の存在が想定される。ボストン美術館所蔵。
執筆者:田口 栄一
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