精選版 日本国語大辞典 「吉田一穂」の意味・読み・例文・類語
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詩人。北海道上磯(かみいそ)郡に生まれる。本名は由雄(よしお)。早稲田(わせだ)大学英文科中退。同人誌『聖暗』に短歌を発表して片上伸(かたかみのぶる)に認められる。1924年(大正13)5月、最初の著書として童話集『海の人形』を刊行。26年11月第一詩集『海の聖母』、30年(昭和5)3月散文詩集『古園の書』を世に送り、特異な方法論をもった詩人としての地位を確立した。さらに36年12月刊行の詩集『稗子伝(はいしでん)』において、「俳句の弁証法的構造に厳密な比率の構成をみた三行詩」を試み、この自我宇宙確立の三行詩は、40年から5年の歳月をかけてつくられた15章の絶唱『白鳥』に結晶した。「掌(て)に消える北斗の印。/……然(け)れども開かねばならない、この内部の花は。/背後(うしろ)で漏沙(すなどけい)が零(こぼ)れる。」(『白鳥』I)。ほかに詩集『未来者』(1948)、詩論集『黒潮回帰』(1941)、『古代緑地』(1958)などがある。
[窪田般彌]
『『定本 吉田一穂全集』全三巻(1979・小沢書店)』
詩人。本名は由雄。北海道に生まれ早大英文科中退後,はじめは短歌,やがて佐藤一英のすすめで詩作に専念。当時流行の自由詩による根拠のないポエジーを退け,文章形態による濃密な様式と構造を重視した作品を発表して,いちはやく福士幸次郎,北原白秋らに激賞された。昭和詩史の中でも最も難解とされる代表詩集《黒潮回帰》(1941),《古代緑地》(1958)の標題にも象徴されるとおり,一穂の詩魂は北海道の凍(い)てつく風土感覚を土台にした〈原地球精神の回復〉におかれている。それは西洋においてはデカルトの幾何学的直覚につらなり,日本においては道元の禅機の直覚に重なっていた。生涯,〈極の思索〉にふけった詩人であった。〈ブラキストン線の向こう側の詩人〉と呼ばれるにふさわしい。
執筆者:松岡 正剛
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