名数小辞典(読み)めいすうしょうじてん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「名数小辞典」の意味・わかりやすい解説

名数小辞典
めいすうしょうじてん

この小辞典は、古くからの名数のうち、比較的よく使われるものを選び、解説を付したものである。配列は、「数」の順とし、同じ数のなかでは五十音順とした。解説の最後の→印は、本事典において、本項目として取り上げた用語である。

[監修=林 巨樹]


一宮(いちのみや)
 古代末期に定められた神社社格の一つ。その国でもっとも由緒正しく、多くの信仰を集め、経済的基盤も優れていた神社。選定基準は諸説あり、明らかでない。→一宮
春一番(はるいちばん)
 冬から春へと季節が移るころ、南から吹き込む強風の最初のもの。→春一番
二王(におう)
〔1〕(仏教)仏を守護する密迹(みっしゃく)金剛と那羅延(ならえん)金剛の夜叉(やしゃ)神。→仁王
〔2〕(中国)晋(しん)の書家で、王羲之(ぎし)、王献之(けんし)の親子。王羲之を大王、その子献之を小王と称す。

二官(にかん)
 律令制の官司の最高機関である神祇(じんぎ)官と太政(だいじょう)官。神祇官は祭祀(さいし)関係を担当、太政官は行政上から八省を統括、政務を処理した。

二聖(にせい)
〔1〕(書道)嵯峨(さが)天皇、空海。ともに能書家として知られ、橘逸勢(たちばなのはやなり)とともに三筆に数えられている。

〔2〕(歌道)柿本人麻呂(かきのもとのひとまろ)、山部赤人(やまべのあかひと)。ともに万葉の歌人で「山柿(さんし)」と称される。

〔3〕中国では次の2人をいう。(ア)周の文王と武王。文王は周王朝の太祖、武王は2代。(イ)周公と孔子。周公は文王の子、武王の弟。(ウ)唐の高宗とその皇后。

両界(りょうかい)
 真言(しんごん)密教の説く二つの法門。金剛界、胎蔵界。金剛界は智慧(ちえ)門として五智、五仏を説き、胎蔵界は真理門として三法、三部をたてる。「両部」とも。

両執権(りょうしっけん)
 鎌倉幕府の執権と、その補佐役の連署の併称。連署は北条氏一門の有力者から選ばれた。「両探題」「両執事」「両後見」とも。

両朝(りょうちょう)
 皇統が二つに分かれた南朝と北朝の併称。

両統(りょうとう)
 持明院(じみょういん)統と大覚寺(だいかくじ)統。鎌倉・南北朝時代の、後深草(ごふかくさ)天皇系と亀山(かめやま)天皇系の二つの皇統のこと。後深草上皇が持明院を、亀山系は後宇多(ごうだ)上皇が大覚寺をそれぞれ御所としたのでこの名がある。→両統迭立
三悪道(さんあ(な)くどう)
 悪行を行った衆生が至る三つの道。餓鬼道、畜生道、地獄道。「三悪」「三悪趣」とも。

三会(さんえ)
〔1〕衆生済度のため、仏が行う3回の説法会のこと。未来仏の弥勒菩薩(みろくぼさつ)は仏滅後56億7000万年後の世に現れ、三度の説法会で衆生を済度するとされる。

〔2〕三つの大きな法会。「三大会」とも。(ア)南京(なんきょう)三会。御斎会(宮中大極殿(だいごくでん))、維摩(ゆいま)会(興福寺)、最勝会(薬師寺)。「南都三会」とも。(イ)北京(ほっきょう)三会。最勝会(円宗寺)、法華(ほっけ)会(円宗寺)、大乗会(法勝(ほっしょう)寺)。「天台三会」とも。

〔3〕禅寺で、鐘や鼓を36打することを一会といい、三会は108打することをいう。

三猿(さんえん)
 それぞれ目、耳、口の一つをふさいだ3匹の猿。見ざる、聞かざる、言わざる。→三匹猿
三槐(さんかい)
 太政(だいじょう)大臣、左大臣、右大臣。のちに左大臣、右大臣、内大臣。中国、周の時代、三官が朝庭に植えた3本の槐(エンジュ)に向かって座したことから生じた。「三公」「三台」とも。

三界(さんがい)
〔1〕仏教の世界観で欲界(よくかい)、色界(しきかい)、無色界(むしきかい)をいう。いっさいの衆生が生死流転する3種の世界のこと。→三界
〔2〕過去、現在、未来。仏教でいう三世(さんぜ)のこと。

三関(さんかん)
 三つの関所。

〔1〕伊勢(いせ)の鈴鹿関(すずかのせき)、美濃(みの)の不破関(ふわのせき)、越前(えちぜん)の愛発関(あらちのせき)(のちに近江(おうみ)の逢坂関(おうさかのせき))。古代、奈良・京都防備のために置かれた。→三関
〔2〕近江の勢多(せた)関、伊勢の鈴鹿関、美濃の不破関。

〔3〕磐城(いわき)の勿来関(なこそのせき)、岩代(いわしろ)の白河関(しらかわのせき)、羽前の念珠関(ねずがせき)。「奥羽三関」とも。

三韓(さんかん)
〔1〕馬韓(ばかん)、辰韓(しんかん)、弁韓(べんかん)。古代朝鮮半島の南半部に割拠した三韓民族の総称。→三韓
〔2〕新羅(しらぎ)、百済(くだら)、高句麗(こうくり)。朝鮮の総称として用いられることも。

三寒四温(さんかんしおん)
 冬期に寒い日が3日ぐらい続くと、そのあと比較的温暖な日が4日ぐらい続き、寒暖が繰り返される現象。→三寒四温
三管領(さんかんれい)
 室町幕府の重職、管領に任じられる3家。斯波(しば)、細川、畠山(はたけやま)。「三職(さんしょく)」とも。

三奇橋(さんききょう)
 構造が変わっていることで知られる三つの橋。錦帯橋(きんたいきょう)(山口県岩国市)、愛本(あいもと)橋(富山県黒部市)、猿橋(さるはし)(山梨県大月市)。

三奇人(さんきじん)
 林子平(しへい)、高山彦九郎、蒲生君平(がもうくんぺい)。林子平は『海国兵談』で名高い経世家。高山彦九郎は勤皇家。蒲生君平は『山陵志(さんりょうし)』を著した儒者。いずれも江戸後期に活躍。→寛政の三奇人
三急流(さんきゅうりゅう)
 急流で知られる三つの河川。最上(もがみ)川、富士川、球磨(くま)川。日本三急流とも。

三卿(さんきょう)
 徳川氏の一族の三家。田安(たやす)、一橋(ひとつばし)、清水(しみず)。諸省の卿に任じられるのでこうよぶ。いずれも将軍の庶子を祖とし、御三家(ごさんけ)の次席に位置する家格。→御三卿
三鏡(さんきょう)
 『大鏡』『水鏡』『増鏡(ますかがみ)』。いずれも仮名文字の歴史書。「さんかがみ」とも。

三業(さんぎょう)
〔1〕料理屋、待合、芸者置屋。

〔2〕浄瑠璃(じょうるり)語り(太夫(たゆう))、三味線弾き、人形遣い。人形浄瑠璃における三者をいう。

三曲(さんきょく)
〔1〕邦楽で、箏(こと)、三味線、胡弓(こきゅう)または尺八の3種の楽器による合奏。

〔2〕雅楽で、『流泉』『啄木』『楊真操』の琵琶(びわ)による三つの秘曲。

〔3〕平曲で、『剣の巻』『宗論(しゅうろん)』『鏡の沙汰』の3曲。

〔4〕能の闌曲(らんきょく)で、初瀬六代(はつせろくだい)、東国下(とうごくくだり)、西国下(さいごくくだり)。

〔5〕箏の組歌で、『四季の曲』『扇の曲』『雲井の曲』。

〔6〕万才で、胡弓、三弦、鼓の合奏をいう。

三軍(さんぐん)
〔1〕古代中国で、上軍、中軍、下軍の総称。転じて大軍または全軍の意。

〔2〕陸軍、海軍、空軍の総称。

三家(さんけ)
〔1〕公家(くげ)の三家。閑院、久我(こが)、花山院(かざんいん)。または閑院、花山院、中院(ちゅういん)。いずれも太政(だいじょう)大臣まで昇進しうる家柄。「清華(せいが)三家」「英雄三家」とも。

〔2〕武家の礼式三家。伊勢(いせ)、今川、小笠原(おがさわら)。

〔3〕上杉氏三家。山内(やまのうち)、犬懸(いぬかけ)、扇谷(おうぎがやつ)。

〔4〕赤松氏三家。小寺、別所、宇野。

〔5〕毛利(もうり)氏三家。宍戸(ししど)、小早川(こばやかわ)、吉川(きっかわ)。

〔6〕徳川氏三家。尾張(おわり)、紀伊、水戸。「御三家」とも。→御三家
〔7〕狩野(かのう)派三家。中橋または宗家、木挽町(こびきちょう)、鍛冶橋(かじばし)。

〔8〕浄土宗法然(ほうねん)門下の三家。鎮西流、西山流、浄土宗。

三景(さんけい)
 三つの景勝地。

〔1〕陸前の松島、安芸(あき)の厳島(いつくしま)、丹後(たんご)の天橋立(あまのはしだて)。→日本三景
〔2〕紀伊の和歌浦(わかのうら)、陸前の塩竃(しおがま)、丹後の切戸(きれと)の文殊。

三傑(さんけつ)
 3人の優れた人物。

〔1〕漢の高祖の臣。蕭何(しょうか)、張良、韓信(かんしん)。

〔2〕蜀(しょく)の昭烈帝の臣。諸葛亮(しょかつりょう)(孔明)、関羽、張飛。

〔3〕護良(もりよし)親王の三傑。赤松則祐(そくゆう)、平賀三郎、村上義光(よしてる)。

〔4〕徳川家康の三傑。本多忠勝(ほんだただかつ)、榊原康政(さかきばらやすまさ)、井伊直政(なおまさ)。

〔5〕博多(はかた)の三傑。島井宗室、神谷宗湛(そうたん)、大賀九郎左衛門。近世初期、博多に本拠をもった大商人。

〔6〕山崎闇斎(あんさい)門下の三傑。佐藤直方(なおかた)、浅見絅斎(けいさい)、三宅尚斎(みやけしょうさい)。いずれも江戸中期の儒者。「崎門(きもん)三傑」とも。→崎門学派
三権(さんけん)
 立法権、行政権、司法権。→権力分立
三弦(さんげん)
〔1〕中国の弦楽器の一つ。三弦子ともいう。→三弦
〔2〕三味線の別称。

〔3〕和琴(わごん)、琵琶(びわ)、箏(そう)。雅楽に用いる3種の弦楽器。

三原色(さんげんしょく)
 あらゆる色のもととなる三つの色。絵の具では赤、青、黄。光線では赤、青、緑。→三原色
三公(さんこう)
 天子を助けて、天下を治める三つの高職。太政(だいじょう)大臣、左大臣、右大臣。のちに左大臣、右大臣、内大臣。「三槐(さんかい)」とも。

三国(さんごく)
〔1〕日本、唐土(中国)、天竺(てんじく)(インド)。「三国一の花嫁」などと用いられる中世までの日本の世界観。

〔2〕朝鮮、琉球(りゅうきゅう)、蝦夷(えぞ)。林子平(しへい)の『三国通覧』にみられる中世ごろまでの日本にもっとも近い地域。

〔3〕蜀(しょく)、魏(ぎ)、呉(ご)。『三国志』で有名な後漢(ごかん)末の中国における三国。

〔4〕古代朝鮮の新羅、百済、高句麗(こうくり)。

〔5〕日本国内では、(ア)加賀、越前(えちぜん)(または越中(えっちゅう))、能登(のと)。(イ)伊賀、伊勢(いせ)、志摩。(ウ)薩摩(さつま)、大隅(おおすみ)、日向(ひゅうが)。

三山(さんざん)
〔1〕熊野三山。熊野本宮(ほんぐう)大社、熊野速玉(はやたま)大社、熊野那智(なち)大社。「熊野三社」とも。→熊野三山
〔2〕出羽(でわ)三山。月山(がっさん)、湯殿山(ゆどのさん)、羽黒山。→出羽三山
〔3〕大和(やまと)三山。畝傍(うねび)山、香具(かぐ)山、耳成(みみなし)山。→大和三山
〔4〕湖東三山。金剛輪寺(松尾寺)、百済(ひゃくさい)寺、西明寺。琵琶(びわ)湖東岸の天台宗の三つの古寺。

〔5〕山北(さんほく)、中山(ちゅうざん)、山南(さんなん)。沖縄本島統一以前にあった三つの小国。→三山
三社(さんしゃ)
〔1〕伊勢(いせ)神宮、石清水八幡宮(いわしみずはちまんぐう)、賀茂神社。朝廷から奉幣があるなど、とくに崇敬が厚かった。

〔2〕東京の浅草神社。祭神の土師真中知(はじのまなかち)、檜前浜成(ひのくまのはまなり)、檜前竹成(たけなり)の3人を三社(さんじゃ)といったことによる。

三舟(さんしゅう)
 勝海舟、高橋泥舟、山岡鉄舟。いずれも幕臣で、幕末に活躍した。

三種の神器(さんしゅのじんぎ)
 八咫鏡(やたのかがみ)、草薙剣(くさなぎのつるぎ)(天叢雲剣(あめのむらくものつるぎ))、八坂瓊勾玉(やさかにのまがたま)。古くより皇位の印として歴代天皇が受け継いだ。→三種の神器
三津(さんしん)
 三つの港のこと。「三箇津(さんがのつ)」とも。

〔1〕薩摩(さつま)の坊津(ぼうのつ)、筑前(ちくぜん)の博多津(はかたのつ)、伊勢(いせ)の安濃津(あのつ)。近世初期までの要港。とくに中国貿易港をさすときは安濃津にかえて和泉(いずみ)の堺津(さかいのつ)に。

〔2〕摂津三津。敷津、高津、難波(なにわ)津。

〔3〕江戸時代では、江戸、京、大坂のこと。

三途(さんず)
〔1〕「三悪道」に同じ。すなわち火途(地獄道)、血途(畜生道)、刀途(餓鬼道)。

〔2〕冥土(めいど)の途中のこと。

三助(さんすけ)
 寛政(かんせい)期の昌平黌(しょうへいこう)の3人の儒者。柴野彦輔(しばのひこすけ)(栗山(りつざん))、尾藤良佐(びとうりょうすけ)(二洲(じしゅう))、古賀弥助(こがやすけ)(精里(せいり))。名に「すけ」がつくことからこの呼称がある。寛政の三助とも。→寛政の三博士
三世(さんぜ)
〔1〕仏教で過去、現在、未来、あるいは前世、現世、来世をいう。→三世
〔2〕神代では瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)、彦火火出見尊(ひこほほでみのみこと)、鵜葺草葺不合尊(うがやふきあえずのみこと)の、神武(じんむ)天皇以前の三世をいう。

三聖(さんせい)
〔1〕3人の聖人。(ア)釈迦(しゃか)、孔子、キリスト。(イ)釈迦、孔子、老子。(ウ)中国では一般に孔子、老子、顔回(がんかい)。(エ)ギリシアではソクラテス、プラトン、アリストテレス

〔2〕その道に秀でた3人。(ア)歌道。柿本人麻呂(かきのもとのひとまろ)、山部赤人(あかひと)、衣通姫(そとおりひめ)。(イ)書道。空海、菅原道真(すがわらのみちざね)、小野道風(とうふう)。(ウ)俳諧(はいかい)。山崎宗鑑、飯尾宗祇(そうぎ)、荒木田守武(もりたけ)。

〔3〕画題では寒山(かんざん)、拾得(じっとく)、豊干(ぶかん)。

三蹟(さんせき)
 書道の3人の能筆家。

〔1〕小野道風(とうふう)、藤原佐理(すけまさ)、藤原行成(ゆきなり)。→三蹟
〔2〕兼明(かねあきら)親王、藤原佐理、藤原行成。

〔3〕後西(ごさい)天皇、藤原信守、徳川光友。

三夕の和歌(さんせきのわか)
 秋の夕暮れを詠んだ『新古今和歌集』中の3首の歌。寂蓮(じゃくれん)法師の「さびしさはその色としもなかりけり槙(まき)立つ山の秋の夕暮れ」、西行(さいぎょう)法師の「心なき身にもあはれは知られけり鴫(しぎ)立つ沢の秋の夕暮れ」、藤原定家の「見わたせば花も紅葉(もみじ)もなかりけり浦の苫屋(とまや)の秋の夕暮れ」。

三遷(さんせん)
 孟子(もうし)の母が、孟子の教育のために家を墓所の近くから市場のそばへ、さらに学校のそばへとかえた故事。「孟母三遷の教え」とも。

三千家(さんせんけ)
 茶道の家元の3家。表千家、裏千家、武者小路(むしゃのこうじ)千家。

三蔵(さんぞう)
〔1〕上代に、神物や官物を納めるために宮中に設けられていた三つの倉庫。斎蔵(いみくら)、内蔵、大蔵。

〔2〕大蔵(だいぞう)経における3種。経蔵、律蔵、論蔵。→三蔵
〔3〕名に蔵のつく、3人の著名な人物。(ア)天下の三蔵。平山行蔵(ぎょうぞう)、清水俊蔵、近藤重蔵(じゅうぞう)。(イ)化政(かせい)の三蔵。平山行蔵、近藤重蔵、間宮林蔵(りんぞう)。化政期に北方探検や北方経営論などを展開した。(ウ)緒方門下の三蔵。緒方郁蔵(いくぞう)、有馬摂蔵、伊藤慎蔵。

三宗匠(さんそうしょう)
 茶道の3人の宗匠。

〔1〕千利休(せんのりきゅう)、古田織部、小堀遠州。

〔2〕今井宗久、津田宗及、千利休。

三尊(さんぞん)
〔1〕仏、法、僧の三宝。

〔2〕三尊仏のこと。(ア)阿弥陀(あみだ)三尊。阿弥陀如来(にょらい)、観世音菩薩(かんぜおんぼさつ)、勢至(せいし)菩薩。(イ)釈迦三尊。釈迦如来、文殊(もんじゅ)菩薩、普賢(ふげん)菩薩。(ウ)薬師三尊。薬師如来、日光菩薩、月光(がっこう)菩薩。(エ)盧遮那(るしゃな)三尊。毘盧遮那(びるしゃな)仏、観自在菩薩、虚空蔵(こくうぞう)力士(東大寺の例)。盧遮那三尊は寺により脇侍(きょうじ)が種々異なる。

〔3〕君、父、師。三つの尊敬すべき者。

三大河(さんたいが)
 利根(とね)川(坂東(ばんどう)太郎)、筑後(ちくご)川(筑紫(つくし)次郎)、吉野川(四国三郎)。

三大奇祭(さんだいきさい)
 富士浅間(せんげん)神社の火祭(山梨県)、大井神社の帯祭(静岡県)、国府宮(こうのみや)の裸祭(愛知県)の三つの祭り。広隆寺の牛祭(京都府)、諏訪(すわ)大社の御柱(おんばしら)祭(長野県)を入れる場合もある。

三代格式(さんだいきゃくしき)
 弘仁(こうにん)格式、貞観(じょうがん)格式、延喜(えんぎ)格式。格式とは律令(りつりょう)制の律と令を補完、代位する法典で、それぞれ弘仁、貞観、延喜年間の編集。

三大橋(さんだいきょう)
〔1〕山城(やましろ)の宇治橋、山崎橋、近江(おうみ)の勢多(せた)橋。山崎橋廃止後は淀(よど)橋を加えた。

〔2〕江戸。両国橋、千住(せんじゅ)橋、六郷(ろくごう)橋。

〔3〕大坂。天満(てんま)橋、天神橋、難波橋。

三代集(さんだいしゅう)
 『古今和歌集』『後撰(ごせん)和歌集』『拾遺和歌集』。3代の勅撰和歌集。→勅撰和歌集
三大祭(さんだいまつり)
〔1〕日本三大祭。京都賀茂神社・下鴨(しもがも)神社の葵(あおい)祭、大阪の天満天神祭、東京日枝(ひえ)神社の山王祭。長崎諏訪(すわ)神社のおくんちを入れる場合もある。

〔2〕京都三大祭。葵祭、八坂(やさか)神社の祇園(ぎおん)祭、平安神宮の時代祭。

〔3〕江戸の三大祭。山王祭、神田明神の例大祭、深川富岡八幡(とみおかはちまん)の祭。根津権現(ごんげん)の祭を入れる場合もある。

三大門(さんだいもん)
 平安京外郭の三大門。羅生(らしょう)門、朱雀(すざく)門、応天門。羅生門は正門にあたる。

三哲(さんてつ)
 3人の優れた人物。

〔1〕契沖(けいちゅう)、賀茂真淵(かもまぶち)、本居宣長(もとおりのりなが)。江戸前期から中期の国学者。

〔2〕中国では漢代の劉向(りゅうきょう)、谷永(こくえい)、耿育(こういく)。そのほか、三国時代の劉備、孫権、曹操(そうそう)、あるいは北魏(ほくぎ)の遵業(じゅんぎょう)、袁翻(えんほん)、王誦(おうしょう)とすることも。

三都(さんと)
 三つの都、または都市。日本では江戸、京都、大坂をさす。

三道楽(さんどうらく)
 酒と女色と賭博(とばく)。「飲む、打つ、買う」とも。

三人官女(さんにんかんじょ)
 3月3日の節供に雛(ひな)壇の2段目に飾る3人1組の雛人形。→三人官女
三人吉三(さんにんきちさ)
 歌舞伎(かぶき)『三人吉三廓初買(くるわのはつがい)』の登場人物。和尚(おしょう)吉三、お嬢吉三、お坊吉三。→三人吉三廓初買
三羽烏(さんばがらす)
 ある集団や門下などのなかで、とくに優れている3人をいう。

三白(さんぱく)
〔1〕三河(みかわ)産の三白木綿の略称。

〔2〕米、紙、塩、砂糖などのうちの三つをさす。(ア)讃岐(さぬき)三白。塩、綿、砂糖。(イ)防長三白。米、紙、蝋(ろう)。

三碑(さんぴ)
〔1〕陸前の多賀城碑、上野(こうずけ)の多胡碑(たごひ)、下野(しもつけ)の那須国造碑(なすのくにのみやつこのひ)。「日本三古碑」とも。

〔2〕上野の三碑。山上碑(やまのうえひ)、多胡碑、金井沢碑。

三筆(さんぴつ)
 書道史上の3人の能書家。→三筆
〔1〕平安期。嵯峨(さが)天皇、空海、橘逸勢(たちばなのはやなり)。

〔2〕近世。近衛信尹(このえのぶただ)、本阿弥光悦(ほんあみこうえつ)、松花堂昭乗(しょうかどうしょうじょう)。とくに「寛永(かんえい)の三筆」とも。

〔3〕世尊寺流。藤原行成(ゆきなり)、藤原行能(ゆきよし)、藤原行尹(これゆき)。

〔4〕黄檗(おうばく)の三筆。隠元(いんげん)、木庵(もくあん)、即非(そくひ)。

〔5〕幕末の三筆。市河米庵(べいあん)、貫名海屋(ぬきなかいおく)、巻菱湖(まきりょうこ)。

三品(さんぴん)
〔1〕三つの品目、あるいは等級をいう。→三品
〔2〕大阪三品取引所(のちの中部大阪商品取引所、2011年解散)で取引されていた綿花、綿糸、綿布。→三品取引所
三部経(さんぶきょう)
 3種の経典のこと。

〔1〕浄土三部。観無量寿経、阿弥陀(あみだ)経、無量寿経。

〔2〕真言宗の大日(だいにち)三部。大日経、金剛頂経、蘇悉地(そしつじ)経。

〔3〕法華(ほっけ)三部。妙法蓮華(れんげ)経、無量義経、観普賢菩薩(ぼさつ)行法経。

〔4〕鎮護国家三部。法華経、仁王(にんのう)経、金光明(こんこうみょう)経。

〔5〕弥勒(みろく)三部。観弥勒菩薩上生兜率天(じょうしょうとそつてん)経、弥勒大成仏(じょうぶつ)経、弥勒下生(げしょう)経。→三部経
三奉行(さんぶぎょう)
〔1〕江戸幕府では寺社奉行勘定奉行、町奉行をいう。

〔2〕軍(いくさ)三奉行。大目付、旗奉行、槍(やり)奉行。

〔3〕下(した)三奉行。作事奉行、普請(ふしん)奉行、小普請奉行

三伏(さんぷく)
 夏の土用を三分した初伏と、中伏と、末伏の総称。転じて酷暑をさす。

三房(さんぼう)
 名に房のつく3人。

〔1〕前の三房。藤原伊房(これふさ)、藤原為房、大江匡房(おおえのまさふさ)。

〔2〕後の三房。万里小路宣房(までのこうじのぶふさ)、吉田定房(さだふさ)、北畠親房(きたばたけちかふさ)。

三宝(さんぼう)
 三つの宝の意。

〔1〕仏、法、僧。仏は仏陀(ぶっだ)、法は達摩(だるま)、僧は僧伽(そうぎゃ)の意で、それぞれ教えの主、教えの内容、教えを広める教団を表す。→三宝
〔2〕仏像、経巻、出家。

〔3〕東(とう)寺の三宝。宝厳院の頼宝(らいほう)、観智(かんち)院の杲宝(ごうほう)、賢宝(げんぽう)の3人の僧。

三木一草(さんぼくいっそう)
 南朝の4人の功臣。楠木正成(くすのきまさしげ)、名和長年(なわながとし)、結城親光(ゆうきちかみつ)、千種忠顕(ちぐさただあき)。名和は伯耆守(ほうきのかみ)の、くすの、ゆうで三木、千種はちぐさから草で、この称が生まれた。

三位(さんみ)
 キリスト教で、父と子と聖霊。唯一なる神が、この三つのペルソナ(位格)において啓示された。→三位一体
三名君(さんめいくん)
 江戸時代奥州の3人の藩主。津軽信明(のぶあきら)(弘前藩)、松平定信(さだのぶ)(白河藩)、上杉治憲(はるのり)(米沢藩)。

三門(さんもん)
 禅寺の正面にある門。空門、無相門、無作門。迷いから逃れようとする者が通らなければならない解脱(げだつ)門を意味する。門が一つの場合でも三門と称した。→山門
三役(さんやく)
〔1〕名主、組頭、百姓代。江戸時代、代官や郡奉行(こおりぶぎょう)の下で村政にあたった村役人。

〔2〕伝馬宿入用米、六尺給米、蔵前入用金。江戸時代、幕府直轄地で賦課されたもの。

〔3〕相撲(すもう)。大関、関脇(せきわけ)、小結(こむすび)。

〔4〕茶道。亭主、上客、詰(つめ)。

〔5〕能楽。ワキ方、狂言方、囃子(はやし)方。シテ方に対していう。

三陸(さんりく)
 陸前、陸中、陸奥(むつ)の三つの国。現在の宮城、岩手、秋田、青森の各県にあたる。

三流(さんる)
〔1〕律令(りつりょう)制下に定められた3種の流罪。遠流(おんる)、中流、近流。

〔2〕中国唐律に定められた3種の流刑。二千里、二千五百里、三千里の三つの等級がある。

四気(しき)
 四時の気候とこれに対する四つの気分。温(喜)、熱(楽)、冷(怒)、寒(哀)。ほかに、天地間に消長する四つの気の温(生)、熱(長)、冷(収)、寒(蔵)をいうこともある。

四季(しき)
 季節の春、夏、秋、冬。→四季
四鏡(しきょう)
 仮名文字で書かれた歴史書、『大鏡』『今鏡』『水鏡』『増鏡』。

四苦(しく)
 人生における4種の苦痛。生、老、病、死。

四君子(しくんし)
 日本、中国の画題で蘭(らん)、菊、梅、竹。→四君子
四家(しけ)
 四大家の総称。

〔1〕藤原四家。南家(なんけ)(祖は武智麻呂(むちまろ))、北家(ほっけ)(祖は房前(ふささき))、式家(祖は宇合(うまかい))、京家(祖は麻呂)。→藤原四家
〔2〕藤原浜成(はまなり)、喜撰(きせん)法師、孫姫(ひこひめ)、石見(いわみ)女。日本でもっとも古い歌学書を編んだ4人。

〔3〕茶道。表千家、裏千家、武者小路(むしゃのこうじ)千家、藪内(やぶのうち)家。

四国(しこく)
 阿波、讃岐(さぬき)、伊予、土佐の四つの国。

四座一流(しざいちりゅう)
 江戸時代の能楽シテ方の五流。観世(かんぜ)、宝生(ほうしょう)、金春(こんぱる)、金剛の申楽(さるがく)四座と喜多流。幕府は金剛から分かれた喜多を座と認めなかったため一流とした。

四書(ししょ)
 儒教の中心経典である四つの典籍。『大学』『中庸』『論語』『孟子(もうし)』。→四書
四職(ししょく/ししき)
 室町時代、交代で侍所(さむらいどころ)の所司に任ぜられた山名、一色(いっしき)、京極(きょうごく)、赤松の4家。「四殿衆」「四職家」とも。

四姓(しせい)
 平安~南北朝時代に公家(くげ)・武家層を構成した源氏、平氏、藤原氏、橘(たちばな)氏の4氏。源平藤橘(げんぺいとうきつ)とも。

四則(しそく)
 算法の基本演算。加法、減法、乗法、除法。→四則
四体(したい)
 俳句の風体の4種。雅体、野体、俗体、鄙体(ひたい)。

四諦(したい)
 人生における苦についての四つの真理。苦諦、集諦、滅諦、道諦。→四諦
四大家(したいか)
〔1〕和文の四大家。紀貫之(きのつらゆき)、伊勢(いせ)、清少納言(せいしょうなごん)、紫式部。

〔2〕中国では次の4人。(ア)唐代の文章家で「韓柳欧蘇」と併称される。韓愈(かんゆ)、柳宗元(りゅうそうげん)、欧陽脩(おうようしゅう)、蘇軾(そしょく)。(イ)宋(そう)代の書家。蘇軾、黄庭堅、米芾(べいふつ)、蔡襄(さいじょう)。

四大奇書(しだいきしょ)
 中国の長編小説。『水滸伝(すいこでん)』『三国志伝通俗演義(通称、三国志)』、『西遊記(さいゆうき)』、『金瓶梅(きんぺいばい)』。当初は元代四大奇書として『水滸伝』『三国志』と『西廂記(せいそうき)』『琵琶(びわ)記』(以上二つは戯曲)だったが、のちに明(みん)代の二つの小説にかわった。三国志を除いて「三大奇書」ということもある。→四大奇書
四大師(しだいし)
〔1〕平安朝の四大師。伝教(でんぎょう)大師最澄(さいちょう)、弘法(こうぼう)大師空海、慈覚大師円仁、智証(ちしょう)大師円珍。

〔2〕天台の四大師。伝教大師最澄、慈覚大師円仁、智証大師円珍、慈慧(じえ)大師良源。

四大人(しだいじん)
 国学の四大家。荷田春満(かだあずままろ)、賀茂真淵(かもまぶち)、本居宣長(もとおりのりなが)、平田篤胤(あつたね)。江戸時代の中期~後期に活躍した。

四天王(してんのう)
〔1〕持国(じこく)天(東方)、増長(ぞうちょう)天(南方)、広目(こうもく)天(西方)、毘沙門(びしゃもん)天(多聞(たもん)天。北方)。四方を守護する神で、須弥山(しゅみせん)の中腹にある四王天の主。上は帝釈(たいしゃく)天に仕え、下は仏法に帰依(きえ)する衆生を守護するという。彫刻では本尊の周囲や須弥壇の四隅に置かれる。「四大天王」「護世四天王」とも。

〔2〕ある分野にもっとも秀でた4人。(ア)源頼光(よりみつ)の四天王。渡辺綱(わたなべのつな)、坂田公時(さかたのきんとき)、碓井貞光(うすいさだみつ)、卜部季武(うらべすえたけ)。(イ)源義経(よしつね)の四天王。鎌田藤太郎盛政(もりまさ)、鎌田藤次郎光政(みつまさ)、佐藤三郎兵衛継信(つぐのぶ)、佐藤四郎兵衛忠信(ただのぶ)。(ウ)織田信長の四天王。柴田勝家(しばたかついえ)、滝川一益(かずます)、丹羽長秀(にわながひで)、明智光秀(あけちみつひで)。(エ)徳川家康の四天王。井伊直政(なおまさ)、本多忠勝(ただかつ)、酒井忠次(ただつぐ)、榊原康政(さかきばらやすまさ)。(オ)和歌関係では(a)平安の四天王。小沢蘆庵(ろあん)、伴蒿蹊(ばんこうけい)、西山澄月、大愚慈延。(b)中世歌壇。兼好、浄弁、頓阿、慶運。(カ)狂歌。石川雅望(まさもち)、鹿津部真顔(しかつべのまがお)、銭屋金埒(きんらつ)、銭屋頼光。(キ)茶道(千宗旦(せんのそうたん)門)。藤村庸軒、杉本普斎、山田宗徧(そうへん)、三宅(みやけ)亡羊。(ク)日本画(狩野(かのう)探幽門)。久隅守景(くすみもりかげ)、桃田柳栄、鶴沢探山、加藤遠沢。→四天王
四道(しどう)
〔1〕仏教で涅槃(ねはん)に至る四つの道。加行、無間、解脱(げだつ)、勝進。

〔2〕崇神(すじん)天皇のとき、全国平定のために派遣された将軍の派遣地。北陸道、東海道、西海道(山陽)、丹波(たんば)道(山陰)。→四道将軍
〔3〕平安時代、大学寮に置かれた四つの学科。紀伝、明経(みょうぎょう)、明法(みょうぼう)、算道。紀伝は史学・文章、明経は経学、明法は法学、算道は算学をいう。

〔4〕連歌(れんが)で付合手法の基本型。添(そう)、従(したがう)、離(はなつ)、逆(さからう)。

四等官(しとうかん)
 律令(りつりょう)制の諸官司における幹部の四つの等級の官。長官(かみ)、次官(すけ)、判官(じょう)、主典(さかん)。官司によって用字は異なるが、読みはすべて同じだった。

四拍子(しびょうし)
 長唄(ながうた)の囃子(はやし)に用いる四つの楽器。笛、小鼓(こつづみ)、大鼓(おおつづみ)、太鼓(たいこ)。

四菩薩(しぼさつ)
〔1〕法華経(ほけきょう)を広めるためにこの世に現れるとされる四菩薩。上行菩薩、無辺菩薩、浄行菩薩、安立菩薩。

〔2〕大日如来(だいにちにょらい)を中心に、その四方に位置する四菩薩。観音(かんのん)菩薩(西北)、弥勒(みろく)菩薩(東北)、普賢菩薩(東南)、文殊菩薩(西南)。

四民(しみん)
 江戸時代の身分制の四つの階級。士、農、工、商。転じて国民の総称。

四門(しもん)
〔1〕律令(りつりょう)体制の基本となる四つの法典。律、令、格、式。

〔2〕武芸では、弓術、砲術(鉄砲)または槍、兵法または剣、馬術。武士の基本技とされた。

〔3〕仏教では、有門(うもん)、空門、亦有亦空(やくうやっくう)門、非有非空門。真性、実相の理を悟り、そこに入るための四つ門。

〔4〕真言陀羅尼(だらに)の方位に位置する四つの門。発心門(東)、修行門(南)、菩提(ぼだい)門(西)、涅槃(ねはん)門(北)。

四礼(しれい)
 人生における四つの儀式。冠、婚、葬、祭。冠は元服、婚は結婚、葬は葬式、祭は供え物をして神に仕えることを表す。

五蘊(ごうん)
 物質と精神を五つに分類したもの。色、受、想、行、識。色は人間の肉体、受は感覚、想は想像、行は心作用、識は意識を表す。五陰(ごおん)とも。→五蘊
五戒(ごかい)
 仏教で殺生(せっしょう)、偸盗(ちゅうとう)、妄語(もうご)、邪淫(じゃいん)、飲酒(おんじゅ)の五つの戒め。→五戒
五街道(ごかいどう)
 東海道、中山道(なかせんどう)、日光街道、奥州街道、甲州街道。江戸日本橋を起点として幕府が整備した五つの街道。2、3里ごとに人馬を常備した宿場を設置、要所に関所が置かれた。→五街道
五歌仙(ごかせん)
 平安時代を代表する女流歌人。赤染衛門(あかぞめえもん)、和泉(いずみ)式部、紫式部、馬内侍(うまのないし)、伊勢大輔(いせのたいふ)。一条(いちじょう)天皇の皇后、上東門院の侍女で、「梨壺(なしつぼ)の五歌仙」とも。

五官(ごかん)
〔1〕京都、上賀茂神社における神職の五つの段階。神主、禰宜(ねぎ)、権(ごん)禰宜、祝(はふり)、権祝。

〔2〕感覚を感じとる五つの器官。目、耳、鼻、口、形体。仏教の五根から出た語で、形体は、のちに皮膚にかえられた。

〔3〕生、老、病、死、王官(天子)の総称。

五感(ごかん)
 視覚、聴覚、嗅覚(きゅうかく)、味覚、触覚の五つの感覚。

五畿内(ごきない)
 古代の日本の行政上の中心地区を形成した五つの国。大和(やまと)、摂津、河内(かわち)、和泉(いずみ)、山城(やましろ)。奈良時代までは大和、摂津、河内、山城の四畿内だったが、大化改新で河内が和泉と二分され、五畿内となった。単に「畿内」、あるいは「五畿」ともいう。→五畿七道
五経(ごきょう)
〔1〕『易経』(周易)、『書経』(尚書)、『詩経』(毛詩)、『礼記(らいき)』、『春秋』。儒教の聖典とされる5部の経書。→五経
〔2〕『素問(そもん)』『霊枢(れいすう)』『難経』『金匱要略(きんきようりゃく)』『甲乙経』。漢方医学の基本となる5部の医書。

〔3〕吉、凶、賓、軍、嘉(か)。五つの礼のこと。「五礼」とも。

五行(ごぎょう)
〔1〕古来中国で説かれてきた万物を生ずるとする五つの元素。木、火、土、金、水。→五行説
〔2〕仏教の修行の5種類。布施、持戒、忍辱(にんにく)、精進、止観。

〔3〕人として守るべき五つのこと。仁、義、礼、智(ち)、信。「五常」と同じ。

五葷(ごくん)
〔1〕仏教でいう臭気のある蔬菜(そさい)5種。大蒜(にんにく)、興蕖(にら)、慈葱(ねぎ)、茖葱(らっきょう)、蘭葱(ひる)。僧侶(そうりょ)は食することを禁じられる。

〔2〕道家で禁じられている5種の蔬菜。韮(にら)、薤(おおにら)、蒜(にんにく)、蕓薹(あぶらな)、胡荽(こすい)(=コエンドロ)。

五刑(ごけい)
 5種類の刑罰のこと。

〔1〕大辟(たいへき)、宮、剕(ひ)、劓(ぎ)、墨。『書経』などにみられる中国古代の五刑。それぞれ首切り、去勢、足切り、鼻切り、いれずみ。

〔2〕わが国の律に規定された五刑。笞(ち)、杖(じょう)、徒(ず)、流(る)、死(し)。中国の隋(ずい)・唐代の刑罰体系がモデルとされた。五罪とも。→五罪
〔3〕現代の刑罰体系における五刑は死刑、無期徒刑、有期徒刑、拘留(こうりゅう)、罰金。

五湖(ごこ)
 富士山の北の麓(ふもと)にある湖。山中湖、河口湖、西(さい)湖、精進(しょうじ)湖、本栖(もとす)湖。→富士五湖
五穀(ごこく)
 5種類の穀物。転じて穀物の総称の意にも用いられる。日本では普通、稲、麦、粟(あわ)、黍(きび)、豆をいう。黍のかわりに稗(ひえ)を入れる場合もある。→五穀
五胡十六国(ごこじゅうろっこく)
 4世紀から5世紀初めの中国北部に興亡した国家群、およびその時代。→五胡十六国
五根(ごこん)
〔1〕仏教のことばで、感覚をおこさせるもの、またはその作用。目、耳、鼻、舌、身。→五根
〔2〕信、精進、念、定、慧。仏道修行の根本、人間を悟りへと促すもの。

五山(ござん)
〔1〕渤海(ぼっかい)の東にあるという中国の伝説上の五つの山。岱輿(たいよ)、員嶠(いんきょう)、方壺(ほうこ)(方丈)、瀛州(えいしゅう)、蓬莱(ほうらい)。

〔2〕天竺(てんじく)五山。祇園精舎(ぎおんしょうじゃ)、竹林精舎、大林精舎、誓多林(せいたりん)精舎、那蘭陀(ならんだ)寺。インドの釈迦(しゃか)の五つの遺跡。

〔3〕中国五山。径山興聖(きんざんこうしょう)万寿禅寺、北山景徳霊隠(りんにん)禅寺、太白(たいはく)山天童景徳寺、南山浄慈(じんず)報恩光孝禅寺、阿育王(あいくおう)山広利(こうり)禅寺。宋(そう)代に創建された最高格式の禅寺で、時の政府から特別に保護された官寺。

〔4〕京都五山。天竜寺、相国(しょうこく)寺、建仁寺、東福寺、万寿寺。

〔5〕鎌倉五山。建長寺、円覚(えんがく)寺、寿福寺、浄智(じょうち)寺、浄妙寺。

〔6〕京都尼寺五山。景愛寺、檀林(だんりん)寺、護念寺、恵林寺、通玄寺。

〔7〕鎌倉尼寺五山。太平寺(高松寺)、東慶寺、国恩寺、護法寺、禅明寺。→五山
五舎(ごしゃ)
 内裏(だいり)の五舎殿。昭陽舎(しょうようしゃ)(梨壺(なしつぼ))、淑景舎(しげいしゃ/しげいさ)(桐壺(きりつぼ))、飛香舎(ひぎょうしゃ)(藤壺(ふじつぼ))、凝華舎(ぎょうかしゃ)(梅壺)、襲芳舎(しゅうほうしゃ)(雷鳴壺(かんなりのつぼ))。→五舎
五爵(ごしゃく)
 中国で天子が諸侯・貴族に与えた5段階の爵位。公、侯、伯、子、男。日本では1884年(明治17)に制定、1947年(昭和22)に廃止された。→爵位
五常(ごじょう)
 儒教で、人として守るべき五つの道徳。

〔1〕『孟子』滕文公(とうのぶんこう)では、父子の親、君臣の義、夫婦の別、長幼の序、朋友(ほうゆう)の信。「五倫」「五典」「五教」とも。

〔2〕『書経』では父義、母慈、兄友、弟恭、子孝。家族間の道徳を説いたもので「五典」ともいう。

〔3〕『列子』楊朱篇では仁、義、礼、智(ち)、信。→五常
五節供(ごせっく)
 人日(じんじつ)、上巳(じょうし)、端午(たんご)、七夕(たなばた)、重陽(ちょうよう)の五つの節句。朝廷の儀式である五節会に対して私的な儀式として行われた。1月7日の人日を除き、奇数月の月と同じ数の日で、上巳が3月3日、端午が5月5日、七夕が7月7日、重陽が9月9日。→五節供
五摂家(ごせっけ)
 摂政(せっしょう)・関白に任ぜられるべき家柄。近衛(このえ)、九条、二条、一条、鷹司(たかつかさ)。源頼朝(よりとも)の鎌倉幕府成立以後は、この五つの家から交代で摂政が選出された。「摂籙(せつろく)家」「執柄(しっぺい)家」とも。→五摂家
五臓(ごぞう)
 心臓、肝臓、肺臓、脾臓(ひぞう)、腎臓(じんぞう)。漢方医学でいう五つの内臓。六腑(ろっぷ)とあわせて身体全体を表す意味にも用いる。→五臓六腑
五体(ごたい)
〔1〕漢字の5種の書体。篆書(てんしょ)、隷書(れいしょ)、楷書(かいしょ)、行書(ぎょうしょ)、草書。このほか古文、大篆、小篆、八分(はっぷん)、隷書、または小篆、八分、隷書、行書、草書とするものなど種々ある。

〔2〕筋、脈、肉、骨、毛皮。身体を構成する五つの部分、転じて全身の意味にも使われる。→五体
五大(ごだい)
 仏教でいう物質を構成する四元素の四大(地大、水大、火大、風大)に、空大を加えたもの。地大、水大、火大、風大、空大。空大の空とは虚空(こくう)、つまり空間を意味する。

五大湖(ごだいこ)
 北アメリカ、カナダとアメリカ合衆国との国境付近にある大きな淡水湖。スペリオル湖ミシガン湖ヒューロン湖、エリー湖、オンタリオ湖。→五大湖
五代十国(ごだいじっこく)
 中国で907年から960年までに興亡した国家群、およびその時代をいう。→五代十国
五大州(ごだいしゅう)
 アジア、ヨーロッパ、アフリカ、北アメリカ、南アメリカの五つの大陸。南北アメリカを一つにし、オーストラリア大陸を入れる場合もある。

五大尊明王(ごだいそんみょうおう)
 諸魔を降伏させるとされる密教の五明王。不動明王、降三世(ごうざんぜ)明王、軍荼利(ぐんだり)明王、大威徳明王、金剛夜叉(やしゃ)明王。中、東、南、西、北の五方に配される。「五大尊」「五大明王」とも。→五大明王
五大昔話(ごだいむかしばなし)
 桃太郎、猿蟹(さるかに)合戦、舌切り雀(すずめ)、花咲爺(はなさかじじい)、かちかち山、の五つの昔話。室町時代末から江戸初期に現在伝えられる形となった。「五大お伽話(とぎばなし)」とも。

五大老(ごたいろう)
 豊臣(とよとみ)政権の5人の大老。徳川家康、前田利家(としいえ)、毛利(もうり)輝元、宇喜多(うきた)秀家、小早川隆景(こばやかわたかかげ)(のちに上杉景勝)。五奉行(ぶぎょう)の上に置かれ、有力大名5人が任についた。→五大老
五人男(ごにんおとこ)
 歌舞伎(かぶき)『青砥稿花紅彩画(あおとぞうしはなのにしきえ)』の登場人物。日本駄右衛門(にっぽんだえもん)、忠信利平(ただのぶりへい)、南郷力丸(なんごうりきまる)、赤星重三郎(あかぼしじゅうざぶろう)、弁天小僧菊之助。「白浪(しらなみ)五人男」とも。→青砥稿花紅彩画
五人囃子(ごにんばやし)
〔1〕3月の節句に飾る雛(ひな)人形のうちの5童子。謡手、笛、小鼓(こつづみ)、大鼓(おおつづみ)、太鼓(たいこ)。→五人囃子
〔2〕琴、笛、三味線、太鼓、鼓。この五つの楽器による合奏をいう。

五派(ごは)
〔1〕禅宗の五派。臨済(りんざい)宗、雲門宗、曹洞(そうとう)宗、潙仰(いぎょう)宗、黄檗(おうばく)宗。

〔2〕真宗の五派。本願寺派、大谷(おおたに)派、仏光寺派、高田派、木辺(きべ)派。

五奉行(ごぶぎょう)
 豊臣(とよとみ)政権の5人の奉行。前田玄以(げんい)、長束正家(なつかまさいえ)、浅野長政(ながまさ)、石田三成(みつなり)、増田長盛(ましたながもり)。秀吉・秀頼(ひでより)の2代にわたって政治の中枢に参画、行政を担当した。→五奉行
五部書(ごぶしょ)
 伊勢神道(いせしんとう)の根本教典とされる5書。『天照坐(あまてらします)伊勢二所皇太神宮御鎮座次第記』『伊勢二所皇太神宮御鎮座伝記』『豊受皇太神宮御鎮座本紀』『造伊勢二所太神宮宝基本紀』『倭姫命(やまとひめのみこと)世紀』。「神道五部書」とも。→神道五部書
五不動(ごふどう)
 五色に彩色された江戸の不動明王像5体。目青(めあお)不動(世田谷(せたがや)区・教覚院)、目黄(めき)不動(江戸川区・最勝寺)、目赤(めあか)不動(豊島(としま)区・南谷寺)、目白不動(豊島区・新長谷寺)、目黒不動(目黒区・滝泉寺)。病気平癒、災難除(よ)け、開運祈願に効験があるとされ、とくに正月28日の初不動は大いににぎわった。目青不動は港区青山の最勝寺から、目黄不動は墨田区本所からそれぞれ現在地に移された。目黄不動は台東(たいとう)区三ノ輪の永久寺とする説もある。

五木(ごぼく)
〔1〕食用・薬用や材料として有用な5種の木で、諸説がある。(ア)ウメ、モモ、ヤナギ、クワ、スギ。(イ)エンジュ、モモ、ヤナギ、クワ、カジノキ。(ウ)エンジュ、コウゾ、ヤナギ、クワ、ニレ。(エ)エンジュ、キリ、センダン、クワ、ホオノキ。

〔2〕石炭火、木炭火、竹火、草火、麻荄(まかい)火。火をとる木の5種。

〔3〕梟、盧、雉、犢、塞。中国の賽(さい)に代表される博打(ばくち)の道具。→五木
五味(ごみ)
〔1〕食品や料理の味の基本要素となる5種の味。辛、鹹(かん)、甘、酸、苦。淡を加えて六味とする説もある。

〔2〕5種類の食品。醯(かい)、酒、飴蜜(いみつ)、薑(きょう)、塩。醯は酢、薑は生姜(しょうが)のこと。

〔3〕仏教から出たことばで、牛乳を発酵させる過程で生ずる5段階の味。乳味、酪(らく)味、生酥(しょうそ)味、熟酥味、醍醐(だいご)味。→五味
五輪(ごりん)
 地、水、火、風、空。「五大」と同じで、輪とするのは、法性(ほっしょう)の徳が円満であることから。→五輪塔
六義(りくぎ)
 『詩経』における詩の分類法。風(ふう)、雅(が)、頌(しょう)、賦(ふ)、比(ひ)、興(きょう)。→六義
六芸(りくげい)
 中国周代に、士として修得すべき六つの技芸。礼、楽、射、御、書、数。のちには礼、楽、書、詩、易、春秋の六つをいい、「六経(りくけい)」をも意味するようになった。→六芸
六書(りくしょ)
〔1〕象形(しょうけい)、指事、会意、形声、転注、仮借。漢字の成立と使用に関する六つの原則をいう。→六書
〔2〕「六体」に同じ。

六体(りくたい)
 漢字の六つの書体のこと。大篆(だいてん)、小篆、八分(はっぷん)、隷書(れいしょ)、行書(ぎょうしょ)、草書。

六国史(りっこくし)
 日本の正史を記した史書。『日本書紀』『続日本紀(しょくにほんぎ)』『日本後紀(こうき)』『続日本後紀』『日本文徳(もんとく)天皇実録』『日本三代実録』。奈良時代から平安時代にかけて勅撰(ちょくせん)で編集された。→六国史
六斎日(ろくさいにち)
 仏教で、心身を慎み斎戒すべきとされる日。毎月の8日、14日、15日、23日、29日、晦日(みそか)(いずれも陰暦)。

六地蔵(ろくじぞう)
 六道で衆生を苦患から救うとされる6種の地蔵菩薩。諸説がある。

〔1〕檀陀地蔵、宝珠地蔵、宝印地蔵、持地地蔵、除蓋障地蔵、日光地蔵。

〔2〕延命地蔵、宝処地蔵、宝印地蔵、持地地蔵、堅固意地蔵、宝手地蔵。→六地蔵
六宗(ろくしゅう)
 仏教の六つの宗派。

〔1〕南都六宗。三論宗、法相(ほっそう)宗、華厳(けごん)宗、律宗、成実(じょうじつ)宗、倶舎(くしゃ)宗。→南都六宗
〔2〕大乗六宗。三論宗、法相宗、華厳宗、律宗、天台宗、真言宗。

六勝寺(ろくしょうじ)
 平安時代末期、京都に皇室の御願寺として創建された六つの寺。法勝(ほっしょう)寺、尊勝寺、円勝寺、最勝寺、成勝(じょうしょう)寺、延勝寺。寺名に「勝」の字があるところからこうよぶ。→六勝寺
六所遠流(ろくしょおんる)
 江戸時代、罪人を遠流・遠島(えんとう)した6か所の地。伊豆七島、薩摩(さつま)五島、天草(あまくさ)、隠岐(おき)、壱岐(いき)、佐渡。

六大師(ろくだいし)
 弘法(こうぼう)大師空海、伝教(でんぎょう)大師最澄、慈覚大師円仁、智証(ちしょう)大師円珍、慈慧(じえ)大師良源、円光大師源空。

六道(ろくどう)
 いっさいの衆生が、その業によって赴かなければならないところ。地獄、餓鬼、畜生、修羅(しゅら)、人間、天上。「六趣」とも。→六道
六曜(ろくよう)
 先勝(せんしょう)、友引(ともびき)、先負(せんぷ)、仏滅、大安(たいあん)、赤口(しゃっく)。暦注の一つで、元来は五行と結び付けて時刻の吉凶占いに用いられたもの。室町時代に中国から伝わったとされる。「六輝」「六曜星」とも。→六曜
六家集(ろっかしゅう)
 六つの私家集。藤原俊成(しゅんぜい)の『長秋詠藻(ちょうしゅうえいそう)』、藤原良経(よしつね)の『秋篠月清(あきしのげっせい)集』、慈円の『拾玉(しゅうぎょく)集』、藤原定家の『拾遺愚草(しゅういぐそう)』、藤原家隆(いえたか)の『壬二(みに)集』、西行(さいぎょう)の『山家(さんか)集』。→六家集
六歌仙(ろっかせん)
 僧正遍昭(そうじょうへんじょう)、在原業平(ありわらのなりひら)、文屋康秀(ふんやのやすひで)、喜撰(きせん)法師、小野小町(おののこまち)、大友黒主(おおとものくろぬし)。平安時代初期の優れた歌人6人。→六歌仙
六根(ろっこん)
 仏教の六識(見、聞、嗅(きゅう)、味、触、知を知覚する眼識、耳識、鼻識、舌識、身識、意識の総称)をおこさせる六つの感官。目、耳、鼻、舌、身、意。→六根清浄
六腑(ろっぷ)
 漢方医学でいう6種の内臓。大腸、小腸、胆、胃、三焦(さんしょう)、膀胱(ぼうこう)。→五臓六腑
六法(ろっぽう)
 現代成文法の代表。憲法、民法、商法、民事訴訟法、刑法、刑事訴訟法。→六法
七官(しちかん)
 1868年(明治1)に設置された中央官庁の総称。議政官、神祇(じんぎ)官、行政官、会計官、軍務官、外国官、刑法官。

七経(しちけい)
 古聖賢の著した7部の経書。諸説ある。

〔1〕『詩経』『書経』『礼記(らいき)』『楽経』『易経』『春秋』『論語』。

〔2〕『詩経』『書経』『礼記』『周礼(しゅらい)』『儀礼(ぎらい)』『公羊(くよう)伝』『論語』。

〔3〕『詩経』『書経』『易経』『礼記』『周礼』『儀礼』『春秋』。

七賢(しちけん)
 7人の賢者。中国には諸種ある。

〔1〕春秋の七賢。伯夷(はくい)、叔斉(しゅくせい)、虞仲(ぐちゅう)、夷逸(いいつ)、朱張、少連、柳下恵(りゅうかけい)。

〔2〕後漢の七賢。袁秘、封観(ほうかん)、陳端、范仲礼、劉偉徳(りゅういとく)、丁子嗣、張仲然。

〔3〕漢魏(ぎ)の七賢。衛颯(えいさつ)、茨充(しじゅう)、許荊(きょけい)、欒巴(らんは)、度尚(どしょう)、周昕(しゅうきん)、唐羌(とうきょう)。

〔4〕竹林(ちくりん)の七賢。阮籍(げんせき)、嵆康(けいこう)、山濤(さんとう)、向秀(しょうしゅう)、劉伶(りゅうれい)、阮咸(げんかん)、王戎(おうじゅう)。→竹林の七賢
七五三(しちごさん)
 男子は数え年の3歳と5歳、女子は3歳と7歳の11月15日に、その成長を祝う習俗。→七五三
七書(しちしょ)
 中国の7部の兵書。『孫子』『呉子』『司馬法』『尉繚子(うつりょうし)』『三略』『六韜(りくとう)』『李衛公問対(りえいこうもんたい)』。「武経(ぶけい)七書」とも。ほかに『史記』『漢書(かんじょ)』『荘子(そうじ)』『韓文』『文選(もんぜん)』『説文解字(せつもんかいじ)』『資治通鑑(しじつがん)』の7書をいうこともある。→武経七書
七大寺(しちだいじ)
 東大寺、興福寺、元興(がんごう)寺、大安寺、薬師寺、西大(さいだい)寺、法隆寺。奈良付近にあり、これらの寺を巡拝することを「七大寺詣(もう)で」といった。→南都七大寺
七島(しちとう)
〔1〕伊豆七島。東京都の火山島群。大島、利島(としま)、新島(にいじま)、式根島、神津(こうづ)島、三宅(みやけ)島、御蔵(みくら)島。式根島を除いて八丈島を加える場合も多い。

〔2〕宝(たから)七島。鹿児島県の吐喝喇(とから)列島のうちの7島。宝島、口之島、中之島、臥蛇(がじゃ)島、諏訪瀬(すわのせ)島、平(たいら)島、悪石(あくせき)島。

七道(しちどう)
 律令(りつりょう)制下の地方行政区画。東海道、東山道、北陸道、山陰道、山陽道、南海道、西海道。五畿内(ごきない)に対して、他の諸国を7道に分け、それぞれに都から街道を通した。→五畿七道
七堂伽藍(しちどうがらん)
 寺院の主要な7種の堂宇。初めは数字とは無関係だったが、のちに7種の堂宇をさすようになった。

〔1〕南都六宗。金堂(こんどう)、講堂、塔、鐘楼、経院蔵、僧坊、食堂(じきどう)。一般にはこの7種をいう。

〔2〕禅宗。仏殿、法堂(はっとう)、三門、庫院(くいん)、僧堂、浴室、東司(とうす)。

〔3〕天台宗。相輪橖(そうりんとう)、中堂、講堂、戒壇堂、文殊楼、法華堂、常行堂。

〔4〕真言宗。五重塔、金堂、講堂、鐘楼、経蔵、大門、中門。→七堂伽藍
七難(しちなん)
〔1〕仏教で7種の災難をいうが、経典によってその内容は異なる。

〔2〕種々の欠点、難点。とくに定まった内容はない。

七俳仙(しちはいせん)
 松永貞徳(ていとく)門下の優れた俳人7名。野々口立圃(りゅうほ)、松江重頼(しげより)、山本西武(さいむ)、鶏冠井令徳(かえでいりょうとく)、安原貞室、北村季吟(きぎん)、高瀬梅盛(ばいせい)。

七福神(しちふくじん)
 福をもたらす7人の神。大黒天、恵比須(えびす)、毘沙門天(びしゃもんてん)、弁才天、福禄寿(ふくろくじゅ)、寿老人、布袋(ほてい)。→七福神
七部集(しちぶしゅう)
〔1〕芭蕉(ばしょう)の俳諧(はいかい)集のなかで、とくに代表的な7部の書を集めたもの。『冬の日』『春の日』『曠野(あらの)』『ひさご』『猿簑(さるみの)』『炭俵(すみだわら)』『続猿簑』。→俳諧七部集
〔2〕芭蕉の『俳諧七部集』に倣って刊行された俳諧集。『其角(きかく)七部集』『雪門七部集』『蕪村(ぶそん)七部集』など。→七部集
七仏薬師(しちぶつやくし)
〔1〕衆生済度のため身を変幻した薬師如来(にょらい)の7種の相。善名称吉祥王如来、宝月智厳光音自在王如来、金色宝光妙行成就如来、無憂最勝吉祥如来、法海雷音如来、法海勝慧遊戯神通如来、薬師瑠璃光如来。

〔2〕京都付近の薬師如来を祀(まつ)る七つの寺。観慶寺、護国寺、広隆寺、法雲寺、延暦(えんりゃく)寺、珍重寺、平等寺。

七宝(しちほう/しっぽう)
 7種の宝物。

〔1〕無量寿経では、金、銀、瑠璃(るり)、玻璃(はり)、硨磲(しゃこ)、珊瑚(さんご)、瑪瑙(めのう)。

〔2〕法華経では、金、銀、瑪瑙、瑠璃、硨磲、真珠、玫瑰(ばいかい)。

〔3〕金属の素地(きじ)にガラス質のうわぐすりを焼き付けて装飾する工芸。→七宝
七本槍(しちほんやり)
 戦国時代の合戦で、槍を振るって勇名をはせた武者7人。賤ヶ岳(しずがたけ)の七本槍がとくに知られている。福島正則(まさのり)、加藤清正(きよまさ)、加藤嘉明(よしあき)、平野長泰(ながやす)、脇坂安治(わきざかやすはる)、糟屋(かすや)武則、片桐且元(かたぎりかつもと)。近江(おうみ)賤ヶ岳で柴田勝家を破ったときの羽柴(はしば)(豊臣(とよとみ))秀吉勢。

七雄(しちゆう)
〔1〕戦国時代に、全国統一を図って上洛(じょうらく)を競った7人。織田信長、今川義元(よしもと)、武田信玄、上杉謙信、毛利元就(もうりもとなり)、北条氏康(うじやす)、豊臣(とよとみ)秀吉。

〔2〕戦国時代、西国で覇を競った7人。三好長慶(みよしながよし)、大内義隆(よしたか)、尼子晴久(あまごはるひさ)、島津義久(よしひさ)、毛利元就、大友宗麟(そうりん)、長宗我部元親(ちょうそがべもとちか)。

〔3〕中国の戦国時代の七つの国。秦(しん)、楚(そ)、燕(えん)、斉(せい)、趙(ちょう)、魏(ぎ)、韓。→戦国七雄
七草(ななくさ)
〔1〕春の七草。セリ、ナズナ、ゴギョウ、ハコベ(ラ)、ホトケノザ、スズナ、スズシロ。→春の七草
〔2〕秋の七草。ハギ、オバナ、クズ、ナデシコ、オミナエシ、フジバカマ、キキョウまたはアサガオ。→秋の七草
七つ道具(ななつどうぐ)
〔1〕武士の七つ道具。具足、刀、太刀、弓、矢、母衣(ほろ)、兜(かぶと)。

〔2〕婦人の懐中の七つ道具。鋏(はさみ)、小刀、針、耳かき、毛抜き、糸巻き、さじ。

〔3〕転じて、そろえておくべきいろいろの道具。→七つ道具
七つの海(ななつのうみ)
 七つの大洋。南太平洋、北太平洋、南大西洋、北大西洋、南極海、北極海、インド洋。転じて世界中の海をいう。→七つの海
七不思議(ななふしぎ)
 ある特定の地域において不思議な現象として取り上げられる7種の事柄。→七不思議
八虐(はちぎゃく)
 古代日本の律で定められた8種の罪。謀反(むへん)、謀大逆(ぼうだいぎゃく)、謀叛(むほん)、悪逆、不道、大不敬(だいふきょう)、不孝、不義。「八逆」とも。→八虐
八陣(はちじん)
 軍陣の八つの形式。大江維時(おおえのこれとき)が唐から伝えたとされる八陣は、魚鱗、鶴翼(かくよく)、雁行(がんこう)、彎月(わんげつ)、鋒光(ほうこう)、衡軛(こうやく)、長蛇、方円。→八陣 →大江維時
八大地獄(はちだいじごく)
 熱さで苦しめる8種の地獄。等活、黒縄(こくじょう)、衆合(しゅごう)、叫喚(きょうかん)、大叫喚、焦熱、大焦熱、無間(むげん)。→地獄
八代集(はちだいしゅう)
 8代の勅撰(ちょくせん)和歌集。『古今集』『後撰集』『拾遺(しゅうい)集』『後拾遺集』『金葉集』『詞花(しか)集』『千載(せんざい)集』『新古今集』。→勅撰和歌集
八道(はちどう)
 古代朝鮮半島における八つの行政区分。京畿(けいき)道、江原道、咸鏡(かんきょう)道、平安道、黄海道、忠清道、全羅道、慶尚道。

八平氏(はちへいし)
 桓武(かんむ)平氏の流れをくむ関東の豪族8氏。千葉、上総(かずさ)、三浦、土肥(どひ)、秩父(ちちぶ)、大庭(おおば)、梶原(かじわら)、長尾の各氏。源氏と結び平家追討に協したことから、有力な御家人(ごけにん)として鎌倉幕府で枢要な地位についた。→坂東八平氏
八卦(はっか)
 易の算木の面に表れる8種の形。乾(けん)、兌(だ)、離(り)、震(しん)、巽(そん)、坎(かん)、艮(ごん)、呻(こん)。「はっけ」とも。→八卦
八苦(はっく)
 人生の八つの苦しみ。生、老、病、死、愛別離、怨憎会(おんぞうえ)、求不得(ぐふとく)、五陰盛(ごいんじょう)。

入唐八家(にっとうはっけ)
 平安時代に唐に留学、密教をもたらして布教に努めた8人の高僧。最澄、空海、常暁、円行、円仁、恵運(えうん)、円珍、宗叡(しゅうえい)。「真言(しんごん)八家」とも。

八景(はっけい)
 8か所の景勝地。中国の瀟湘(しょうしょう)八景におこり、日本にもこれに倣(なら)って各地にある。

〔1〕瀟湘八景。山市晴嵐(さんしせいらん)、漁村夕照(せきしょう)、瀟湘夜雨(やう)、遠浦(えんぽ)帰帆、煙寺(えんじ)晩鐘、洞庭秋月、平沙落雁(へいさらくがん)、江天暮雪(ぼせつ)。→瀟湘八景
〔2〕近江(おうみ)八景。比良(ひら)の暮雪、堅田(かたた)の落雁、唐崎(からさき)の夜雨、三井(みい)の晩鐘、矢橋(やばせ)の帰帆、粟津(あわづ)の晴嵐、石山の秋月、瀬田の夕照。→近江八景
〔3〕日本八景。紀伊の和歌浦(わかのうら)、摂津(せっつ)の住吉浦、播磨(はりま)の明石(あかし)浦、大和(やまと)の吉野山、陸奥(むつ)の塩竈(しおがま)浦、山城(やましろ)の加茂川、出羽(でわ)の最上(もがみ)川、駿河(するが)の富士山。

〔4〕金沢八景。横浜市金沢区の平潟(ひらかた)海岸の景勝地。平潟の落雁、称名寺の晩鐘、内川(うちかわ)の暮雪、乙艫(おつとも)の帰帆、野島の夕照、洲崎(すさき)の晴嵐、小泉の夜雨、瀬戸の秋月。→金沢八景
関八州(かんはっしゅう)
 関東の8国。相模(さがみ)、武蔵(むさし)、安房(あわ)、上総(かずさ)、下総(しもうさ)、常陸(ひたち)、上野(こうずけ)、下野(しもつけ)。

八姓(はっしょう)
 古代の姓(かばね)の制度。真人(まひと)、朝臣(あそん)、宿禰(すくね)、忌寸(いみき)、道師(みちのし)、臣(おみ)、連(むらじ)、稲置(いなぎ)。684年に天武(てんむ)天皇が従来の姓制度を再編成して新たに制定した8種の姓で、皇親を最高とする身分制度の樹立を目ざしたもの。「八色(やくさ)の姓(かばね)」とも。→八色の姓
八省(はっしょう)
 律令(りつりょう)官制で太政(だいじょう)官に設けられた八つの行政官庁。中務(なかつかさ)省、式部省、治部(じぶ)省、民部省、兵部(ひょうぶ)省、刑部(ぎょうぶ)省、大蔵省、宮内省。→八省百官
九華族(きゅうかぞく)
 三条、西園寺(さいおんじ)、徳大寺、菊亭、花山院(かざんいん)、大炊御門(おおいみかど)、久我(こが)、醍醐(だいご)、広幡(ひろはた)の9家。「九清華(せいが)」とも。

九州(きゅうしゅう)
 西海道の9か国。筑前(ちくぜん)、筑後(ちくご)、豊前(ぶぜん)、豊後(ぶんご)、肥前(ひぜん)、肥後(ひご)、日向(ひゅうが)、薩摩(さつま)、大隅(おおすみ)。→九州地方
九星(きゅうせい)
 陰陽道(おんみょうどう)における九つの星。一白(いっぱく)、二黒(じこく)、三碧(さんぺき)、四緑(しろく)、五黄(ごおう)、六白(ろっぱく)、七赤(しちせき)、八白(はっぱく)、九紫(きゅうし)。これにより方位・配遇などの相生・相剋(そうこく)をみて吉凶を占う。→九星
九拝(きゅうはい)
 中国周代に定められた敬礼法の9種。稽首(けいしゅ)、頓首(とんしゅ)、空首、吉拝、内拝、奇拝、褒拝、粛拝、振動。転じて何度も拝礼して敬意を表すこと。さらに、手紙の末尾に置いて、敬意を表す語として使われるようになった。

九字(くじ)
 「臨兵闘者皆陳列前行」の9個の文字。道家に始まり、のちに密教、修験道(しゅげんどう)でも行われた護身の秘呪(ひじゅ)。この九字を唱えながら、指で空中に縦に四線、横に五線を描くときは、どんな強敵も恐れる必要はないとする。

十戒(じっかい)
 『梵網(ぼんもう)経』による10の戒め。

〔1〕不殺生(せっしょう)戒、不偸盗(ちゅうとう)戒、不邪婬(じゃいん)戒、不妄語(もうご)戒、不酤酒(こしゅ)戒、不説過(せっか)戒、不自讃毀他(じさんきた)戒、不慳法財(けんほうざい)戒、不瞋恚(しんい)戒、不謗三宝(ぼうさんぼう)戒。

〔2〕『旧約聖書』で、神がモーセを通じてイスラエルの民に与えた戒め。→十戒
十干(じっかん)
 甲(きのえ)、乙(きのと)、丙(ひのえ)、丁(ひのと)、戊(つちのえ)、己(つちのと)、庚(かのえ)、辛(かのと)、壬(みずのえ)、癸(みずのと)。五行(木、火、土、金、水)に陰陽の兄(え)・弟(と)を配したもの。普通、十二支と組んで用いられ、干支(えと)の称が生まれた。→十干十二支
十刹(じっせつ)
 臨済宗で、五山に次ぐ格式をもつ十大寺。

〔1〕京都十刹。等持院、臨川(りんせん)寺、真如寺、安国寺、宝幢(ほうどう)寺、普門寺、広覚寺、妙光寺、大徳寺、竜翔寺。

〔2〕鎌倉十刹。禅興寺、瑞泉(ずいせん)寺、東勝寺、万寿寺、太慶寺、興聖(こうしょう)寺、東漸寺、善福寺、法泉寺、長楽寺。

十哲(じってつ)
 その門下における10人の高弟。

〔1〕孔門の十哲。孔子門下の儒者。顔回(がんかい)、閔子騫(びんしけん)、冉伯牛(ぜんはくぎゅう)、仲弓(ちゅうきゅう)、宰我(さいが)、子貢(しこう)、冉有(ぜんゆう)、子路(しろ)、子游(しゆう)、子夏(しか)。→孔門の十哲
〔2〕蕉門(しょうもん)十哲。芭蕉(ばしょう)門下の俳人。其角(きかく)、支考、許六(きょりく)、去来(きょらい)、嵐雪(らんせつ)、丈草(じょうそう)、野坡(やば)、杉風(さんぷう)、北枝(ほくし)、越人(えつじん)をさす場合が多い。→蕉門十哲
〔3〕木門の十哲。木下順庵(じゅんあん)門下の儒者。新井白石(あらいはくせき)、室鳩巣(むろきゅうそう)、雨森芳洲(あめのもりほうしゅう)、祇園南海(ぎおんなんかい)、榊原篁洲(さかきばらこうしゅう)、南部南山(なんぶなんざん)、松浦霞沼(まつうらかしょう)、三宅観瀾(かんらん)、服部寛斎(はっとりかんさい)、向井滄洲(むかいそうしゅう)。

十悪(じゅうあく)
〔1〕仏教の三業、つまり身と口と心の働きがつくる10の罪悪。殺生(せっしょう)、偸盗(ちゅうとう)、邪淫(じゃいん)、妄語(もうご)、両舌(りょうぜつ)、悪口(あっく)、綺語(きご)、貪欲(とんよく)、瞋恚(しんい)、邪見(じゃけん)。

〔2〕上代において、重く罰せられた10の罪名。謀反(むへん)、謀大逆(ぼうだいぎゃく)、謀叛(むほん)、悪逆、不道、大不敬、不孝、不睦、不義、内乱。

十大弟子(じゅうだいでし)
〔1〕釈迦(しゃか)の十大弟子。舎利弗(しゃりほつ)、目犍連(もくけんれん)、摩訶迦葉(まかかしょう)、須菩提(しゅぼだい)、富楼那(ふるな)、迦旃延(かせんねん)、阿那律(あなりつ)、優婆離(うばり)、羅睺羅(らごら)、阿難(あなん)。

〔2〕空海の十大弟子。真済(しんぜい)、真雅(しんが)、実慧(じちえ)、道雄(どうゆう)、円明(えんみょう)、真如(しんにょ)、杲隣(ごうりん)、泰範(たいはん)、智泉(ちせん)、忠延(ちゅうえん)。→十大弟子
十勇士(じゅうゆうし)
 戦陣でとくに活躍した勇士10人をあげたもの。真田幸村(さなだゆきむら)の家臣の真田十勇士がよく知られる。穴山小助(あなやまこすけ)、海野(うんの)六郎、筧(かけい)十蔵、霧隠才蔵(きりがくれさいぞう)、猿飛佐助(さるとびさすけ)、根津甚八(ねづじんぱち)、三好清海入道(みよしせいかいにゅうどう)、三好伊三(いさ)入道、望月(もちづき)六郎、由利鎌之助(ゆりかまのすけ)。→真田十勇士
十二階(じゅうにかい)
 冠の種類によって朝廷内の十二階の序列を示す最初の制度。「冠位十二階」とも。→冠位十二階
十二宮(じゅうにきゅう)
 黄道(こうどう)に沿った天域を12分割したもの。占星術で用いられる。→黄道十二宮
十二支(じゅうにし)
 暦法などで、12の数を動物の名に置き換えたもの。子(ね)、丑(うし)、寅(とら)、卯(う)、辰(たつ)、巳(み)、午(うま)、未(ひつじ)、申(さる)、酉(とり)、戌(いぬ)、亥(い)。→十干(じっかん)十二支
十二使徒(じゅうにしと)
 キリストが教えを伝えるために選んだ12人の弟子。→使徒
十二神将(じゅうにしんしょう)
 薬師如来(にょらい)の眷族(けんぞく)で、仏教の行者を守護するという12神。宮毘羅(くびら)、伐折羅(ばさら)、迷企羅(めいきら)、安底羅(あんちら)、摩儞羅(まにら)、珊底羅(さんちら)、因陀羅(いんだら)、婆夷羅(ばいら)、摩虎羅(まこら)、真達羅(しんだら)、招杜羅(しょうとら)、毘羯羅(びから)。→十二神将
十二銭(じゅうにせん)
 日本で鋳造された12種の銅銭。和同開珎(わどうかいちん)、万年通宝、神功(じんぐう)開宝、隆平(りゅうへい)永宝、富寿神宝、承和昌宝(じょうわしょうほう)、長年大宝(ちょうねんたいほう)、饒益神宝(にょうやくしんぽう)、貞観(じょうがん)永宝、寛平(かんぴょう)大宝、延喜(えんぎ)通宝、乾元(けんげん)大宝。和同開珎は、和銅元年(708)に鋳造された銭。→皇朝十二銭
十二天(じゅうにてん)
 世界を守護する12種の天神。帝釈(たいしゃく)天、焔魔(えんま)天、水天、毘沙門(びしゃもん)天、火天、羅刹(らせつ)天、風天、伊舎那天、梵(ぼん)天、地天、日天、月天。→十二天
十三代集(じゅうさんだいしゅう)
 『新勅撰(しんちょくせん)集』『続(しょく)後撰集』『続古今集』『続拾遺(しゅうい)集』『新後撰集』『玉葉集』『続千載(せんざい)集』『続後拾遺集』『風雅集』『新千載集』『新拾遺集』『新後拾遺集』『新続古今集』。鎌倉時代から室町時代の13の勅撰和歌集。二十一代集から初めの八代集を除く後代のもの。→勅撰和歌集
十六羅漢(じゅうろくらかん)
 世にとどまって仏法を護持する16人の羅漢(悟りを開いた仏弟子)。→十六羅漢
十八大通(じゅうはちだいつう)
 江戸時代中期の安永・天明年間、江戸新吉原の花柳界や演芸界で豪遊した大通人。→十八大通
十八番(じゅうはちばん)
 歌舞伎市川家が勤めてきた18種の当り狂言。→歌舞伎十八番
十八般(じゅうはっぱん)
 中国の武芸18種のこと。これに倣(なら)って、日本でも、時代ごとに異なるが定められた。→武芸
二十一代集(にじゅういちだいしゅう)
 平安時代から室町時代にかけて編集された21の勅撰(ちょくせん)和歌集。八代集と十三代集をあわせてよぶ。→勅撰和歌集
二十四孝(にじゅうしこう)
 中国古来の代表的な孝子24人。→二十四孝
二十四節気(にじゅうしせっき)
 太陰太陽暦で1年を24等分して季節を表したもの。→二十四節気
二十八宿(にじゅうはっしゅく)
 インド、中国などで、赤道、黄道(こうどう)付近で天球を28の不等な部分に分けて設けた星座。→二十八宿
三十三所(さんじゅうさんしょ)
 観音を安置した33の巡礼霊場。33の数は観音の化身する数に合わせたもの。それぞれの地方名を冠してよばれている。「三十三箇所」「三十三番礼所」とも。→西国三十三所 →坂東三十三所 →秩父三十三所
三十六歌仙(さんじゅうろっかせん)
 藤原公任(きんとう)が選んだ優れた歌人36人。後年、これを模して選ばれたものが多種ある。→三十六歌仙
三十六計(さんじゅうろっけい)
 兵法に説かれている36種の策略。

四十七士(しじゅうしちし)
 吉良上野介(きらこうずけのすけ)の首級をあげ、主君浅野内匠頭(たくみのかみ)の仇(あだ)を討った赤穂(あこう)藩浪士47人。→赤穂浪士
四十八手(しじゅうはって)
 相撲(すもう)の決まり手の通称。四十八は、数多いという意味で、48に限られていなかった。→相撲
五十三次(ごじゅうさんつぎ)
 江戸時代、東海道に置かれた53の宿駅。→宿場
八十八か所(はちじゅうはっかしょ)
 四国の各地に点在する88か所の弘法大師(こうぼうだいし)の霊場。→四国八十八か所
百人一首(ひゃくにんいっしゅ)
 1人1首ずつ100首を選んだもの。『小倉(おぐら)百人一首』がその代表。→百人一首
百八煩悩(ひゃくはちぼんのう)
 108種の煩悩のこと。六根(ろっこん)から生ずる苦・楽・不苦不楽で18種、これを貪者と無貪者に分けると36種、さらに三世(さんぜ)に配して108種の煩悩とした。

四百四病(しひゃくしびょう)
 病気の総称。仏説では、人間は四大(地大、水大、火大、風大)の調和で成り立っている。その調和が崩れると、それぞれから黄病、痰(たん)病、熱病、風病が各101、合計404の病気を生じるという。→四百四病
五百羅漢(ごひゃくらかん)
 釈迦入滅後の、第一結集(けつじゅう)と第四結集のときに来会したとされる500人の羅漢(悟りを開いた仏弟子)。→五百羅漢
千字文(せんじもん)
 中国、梁(りょう)の武帝の命により、1000の漢字を4字句からなる韻文に編んだもの。周興嗣(しゅうこうし)の撰(せん)による。→千字文
三千世界(さんぜんせかい)
 須弥山(しゅみせん)を中心に、周囲は九山八海、上は色界初禅天から下は風輪までが一つの小世界。この1000倍が小千世界、さらに各1000倍ずつすると中千世界、大千世界となる。三千世界とは、小・中・大と千世界が三つ重なることからいったもの。これが一仏の教化範囲となる。「三千大世界」とも。

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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