名板貸契約(読み)ないたがしけいやく

精選版 日本国語大辞典 「名板貸契約」の意味・読み・例文・類語

ないたがし‐けいやく【名板貸契約】

  1. 〘 名詞 〙 自己氏名または商号を使って営業することを他人に許諾する契約。営業の主体を間違えて取引をする者があるので、商法は、名義人営業者連帯責任を負わせている。

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改訂新版 世界大百科事典 「名板貸契約」の意味・わかりやすい解説

名板貸契約 (ないたがしけいやく)

ある者(名板貸主)が他人(名板借人)に自己の氏名または商号を使用して営業をなすことを許諾する契約のこと。名義貸または看板貸契約ともいう。そもそも名板貸は,取引所(そこでは会員しか取引できない)の会員が会員でない者に営業名義を賃貸し,その名義賃借人に会員と同じ効果を収めさせる商慣習から始まったものである。名義使用を許諾した名板貸主は自己を営業主と誤認した取引の相手方に対し,その取引により生じた債務につき名板借人と連帯して責任を負わねばならない(商法23条)。また名板借人は名板貸主の名義を利用するのであっても,取引の主体者として当然責めを負う。たとえ他人がかってに自己の商号等を使用したのであっても,それを知りながら放置するときには黙示的に名義使用を許諾したことになる。このような名板貸による責任は権利外観理論(レヒツシャインRechtsschein)または禁反言法理エストッペルestoppel)に基づき,外観を信頼した第三者を保護するためのものである。免許事業では,脱法行為防止のため名義貸を禁止するものが少なくない(証券取引法44条,道路運送法33条等)。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「名板貸契約」の意味・わかりやすい解説

名板貸契約
ないたかしけいやく

自己の商号を使用して,営業または事業をすることを他人に許諾する契約営業免許を受けた者が無免許者にその営業を可能にさせるために名義の使用を認めたり,また信用のある者が他人に自己の信用・名声を利用させるために名義を貸したりする場合などがある。前者については営業免許制度の脱法行為となるので,明文の規定で禁止されている場合が多い。後者について商法は,商人が自己を営業主であると誤認して取り引きをなした者に対し,その取り引きによって生じた債務につき,名義借主と連帯して弁済する責任を負う旨を規定し(14条),また同様に会社法も,会社が自己の商号の使用を他人に許諾した会社の責任を規定しており(9条),外観を信頼して取り引きする一般の人々の保護をはかっている。

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